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アメリカのメディア・バイアス|バイデンには甘い質問、トランプには厳しい質問

アメリカのメディア・バイアス|バイデンには甘い質問、トランプには厳しい質問

バイデン前副大統領 Photo via Flickr

今年の大統領選挙まで残すところあと44日となる中、トランプ大統領とバイデン元副大統領はともに選挙運動の追い込みにはいっている。トランプ大統領は、スタジアムを埋め尽くす熱狂的支持者たちに対して1時間にわたるスピーチを行っているのに対して、バイデン元副大統領はガラガラの室内に向かってテレプロンプターの原稿を読むだけであり、また記者たちからの質問にもほとんど答えることはない。

バイデン氏が、テレプロンプターの原稿を読み上げている際に、誤って「ここで引用終わり(end quote)」という部分まで読み上げてしまう動画がネット上で話題となっている:

テレプロンプターが途中でトラブルを起こし、しどろもどろになる様子も報じられている:

トランプ陣営は、こうしたバイデン陣営の選挙活動を揶揄するツイートを行っている:

【訳】ジョー・バイデンにとって「選挙キャンペーンを行う」ということは、週に一度、自身のプライベート・ジェットに乗り、彼が名前すら覚えられない州を訪問し、ほぼ誰もいない部屋に向かって演説原稿を読み上げ、質問を一切受け付けないということだ。 

そしてバイデン候補が報道陣とやり取りする場合があったとしても、記者たちはあからさまに「甘い質問」しか行わない。保守系ニュースサイトThe Hillのナイアル・スタニッジ記者は、最近CNNが開催したタウンホール・ミーティング(市民と対話する集会)では、「このイベントの司会者であるアンダーソン・クーパーもバイデンに対して恭(うやうや)しい態度であり、元副大統領に対して尋問するような素振りはほとんど見せなかった」と報じており、バイデンに対する質問は「圧倒的に同情的」なものだったと記している。

【訳】バイデンは非常にうまくやっている、その通り。しかし現在の状況は、彼が(FOX Newsの)クリス・ワラス(*)や(CNNの)ジェイク・テッパーからの厳しい質問に答える訓練にはなっていない。(もしバイデンがこうした厳しい質問を受けることにすればの話だが。)

(*ワラス氏は9月29日に開催予定の第1回大統領選挙討論会で進行役を務める予定

ちなみに、このCNN主催のタウンホール・ミーティングで、バイデン候補は頑なにチャイナを「敵対相手(opponent)」と呼ぶことを拒否しており、あくまで「競争相手(competitor)」であると回答している。

【訳】ジョー・バイデンは、チャイナを「敵対相手」と呼ぶことを繰り返し拒否した。

そしてバイデン候補に対して甘い質問しか行わない左派メディアの記者たちは、そのあからさまな偏向姿勢を自ら認めており、開き直りとも取れる言い訳を行っている。

【訳】これは、メディアが一貫して甘い質問をバイデンに行う理由について、(左派ジャーナリストの)ブライアン・ステルターが、真面目な報道のふりをして行っている言い訳:

(引用部分)彼ら(トランプとバイデン)が異なった扱われ方をされるのは当然だ

バイデンがインタビューを受けるのと同じやり方でトランプもインタビューを受けるべきだという考え方はバカげている。

トランプは真実に対して誠実ではなく、彼がカメラの前に立つときは常にそうだ。彼は現代アメリカ政治においてかつてない頻度で嘘をつき、誤った情報で人を欺き、陰謀論を広げている

実際、トランプ大統領に対するメディアの姿勢は、バイデン元副大統領に対するものとは対照的に厳しいものとなっている。

数日前にトランプ大統領を呼んで開かれたABC Newsのタウンホール・ミーティングは対照的に厳しいものだった。トランプは、聴衆や進行役のジョージ・ステファノポロスからも容赦のない厳しい質問に直面した。

・・・

(左派メディア)Politicoのクリストファー・カデラゴは、バイデンのイベントでは「旧知の友人の親しげな同窓会」に似た状況だったの対して、それとは対照的にトランプには「冷徹な厳しい尋問」を行ったThe Hill

【訳】ホワイトハウスの報道官であるケイリー・マクナニーの発言:トランプ大統領は報道陣から非常に卑劣な質問を受けているのに対して、ジョー・バイデンは甘い質問しか受けていない。

【訳】PoliticoがCNNに対して甘いインタビューを行っていると非難する時、それには問題があることを皆が知っている。(訳者注:「どんぐりの背比べ」ということ。)

この男(バイデン)は米国大統領になる可能性があるが、しかしあまりに多くのレポーターたちは自分たちの役割は厳しい質問をすることではなく、彼を当選させるのを手助けすることだと考えている。

メディアは崩壊している。

ニューヨークタイムズ紙のメディア業界専門コラムニストであるベン・スミス氏は、The Hillに送った声明の中で、「選挙キャンペーンについて報じる旧来のやり方はすでに破綻しており、レポーターたちは(それに取って変わる報じ方について)明確な考えを持っていないと私は思う」と記している。

ワシントンポスト紙は、トランプ大統領が在任期間中に「2万件の嘘もしくは誤解を招く発言」を行ったと主張している。こうした左派メディアの主張を元に、ブライアン・ステルターのような左派の報道人たちの多くは、トランプに対して厳しい尋問を行うことは正当化できると考えている。

今晩行われたCNNのヘイト・ニュースレターの中で、オリバー・ダーシーはバイデンが甘い質問しか受けず、またその発言内容についてファクト・チェックされないことを擁護した。その理由は、彼は現職の大統領ではなく、また彼はトランプのような過去に例をみない嘘つきではないからだという。

これはジャーナリズムではない。これはプロパガンダだ。

アメリカの報道機関がここまで偏った報道姿勢を取るもう一つの理由として、2016年の大統領選挙の際、メディアがヒラリー・クリントンのeメール問題を取り上げてしまったことで、トランプを当選させることに意図せずして寄与してしまったという「教訓」がある。

Fox5 DCの元ホワイトハウス担当レポーターであるロニカ・クリアリー氏は次のように指摘している:

主流の報道機関の多くが、2016年に彼らがヒラリー・クリントンのeメール問題とベンガジ問題について時間を費やしてしまったことを後悔していると思う。なぜなら、そうした彼らの報道が、最終的にトランプ大統領が選挙に勝つことを手助けしまったと彼らは信じているからだ。

つまり、今回の選挙レースで、これら同じレポーターたちは自分たちにこう言い聞かせている。「今回は同じリスクを犯すことはできない」と。彼らがバイデンに対して積極的に厳しくしないでいることは否定しようがない。「我々はヒラリー・クリントンに対して厳しくしようとした。しかしその結果がこれだ」と彼らは考えているはずだ。

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