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【連載】エプスティーン事件Part 4:ヴィクトリアズ・シークレットのモデルも犠牲者

エプスティーン事件Part 3」で登場した富豪のレスリー・H・ウェクスナー氏を思い出してほしい。彼は実際にエプスティーンの会社に投資した人物として、公開情報から確認できる唯一の投資家である。さらに、ニューヨークタイムズ紙は、「彼はアパレルチェーンのThe Limitedを含む小売りチェーンの創業者でビリオネアー。さらに(女性下着メーカー)ヴィクトリアズ・シークレットを所有する企業のCEOでもある」と報じている。

ここにきてエプスティーンとヴィクトリアズ・シークレットの「深い」関係が明らかになってきている。

 

エプスティーン事件Part 1」を読む。

エプスティーン事件Part 2」を読む。

エプスティーン事件Part 3」を読む。

 

ヴィクトリアズ・シークレットのモデル部門が売春ビジネスの勧誘窓口に利用されていた

 

エプスティーンは、彼のマンハッタンの豪邸にヴィクトリアズ・シークレットのモデル候補たちを呼び、そこで彼の売春ビジネスに勧誘していたと、ニューヨークポスト紙が報じた

 

さらに、調査報道を行なっているジャーナリスト、コンチータ・サーノフ氏は彼女の最新書籍「Trafficking(人身売買)」でも、エプスティーンがヴィクトリアズ・シークレットのモデル部門を利用して、彼の売春ビジネスで働かせるため未成年の少女たちを勧誘していたと糾弾している。

 

イタリア人モデルのエリザベッタ・タイさんの証言内容によると、彼女は2004年当時21歳であったが、ヴィクトリアズ・シークレットのモデルになりたいという彼女をエプスティーンが勧誘しようとしたという。彼女は、ヴィクトリアズ・シークレットのモデルに選ばれるために、「とても重要な人物」に会えるという約束でエプスティーンに紹介されていた。

 

タイさんは、彼女のモデル事務所から、「この男性がモデル業界で最も重要な人物の一人だと聞かされていたの。モデル事務所の人は、この男性がヴィクトリアズ・シークレットの責任者で私の人生を変える人だとも言ったわ」と証言している。

 

「彼の信じられないような大豪邸のドアベルを私が鳴らすと、執事がドアを開けたわ。息を呑むようなとても美しい豪邸で、私が中に入ると5人くらいのモデルたちが歩きすぎて行くのが見えたの。私はとても興奮したわ」。

 

タイさんは、黒いショートヘアの女性に出迎えられた。彼女は、エプスティーンの長年の親友で「マダム」ギスレーン・マックスウェルだと自己紹介した。ギスレーン・マックスウェルは、エプスティーンの「ビジネス」に関係した罪でまだ起訴はされていないが、彼に若い女性を斡旋したとして3人の女性から訴えられている。

 

エプスティーンと「マダム」ギスレーン・マックスウェル 

 

この黒髪のショートヘアの女性は、タイさんをエプスティーンに紹介した。エプスティーンはカジュアルな格好をしていて、ジーンズとシャツという格好だったと彼女は証言している。エプスティーンは、タイさんに彼女のバックグラウンドについて質問を始めた。その時、彼のデスクのそばにマッサージ・テーブルが置いてあることに彼女は気がついた。

 

その時はそのことを気に留めなかったと言う。(イタリア出身の)彼女は、イタリアでのモデル経験をまとめた自身のポートフォリオをエプスティーンに見せようと手を伸ばした。タイさんは母国イタリアでいくつかモデルの仕事をしていたが、「全然高いレベルのものではなくって、アメリカでやりたいと想像してたレベルではなかった」と彼女はニューヨークポスト紙の取材に答えている。

 

片言の英語で彼女が自身の経験について語っていると、エプスティーンはマッサージ・テーブルに移動し、自分の服を脱ぎ始めた。

 

「私は、彼がマッサージを受ける準備をしているのだと思ったわ。もうすぐ誰かが部屋にやってきて彼にマッサージするものだと」と彼女は語っている。

 

でも、エプスティーンが裸でテーブルに横たわり、彼女にこっちに来るよう呼んだ時、彼女はパニックに陥ったと言う。

 

そして彼は彼女にバイブレーターを手渡したと彼女は言う。

 

「私は凍りついたわ。何をすればいいか全くわからなかった。

 

私はバイブレーターを掴んで彼の頭に投げつけた。

 

それがどこに落ちたかわからなかったわ。頭が真っ白になってできるだけ早くその部屋を飛び出したの」と彼女は証言している。 NY Post

 

彼女がエプスティーンの豪邸から出ようとすると、マックスウェルが彼女を掴んで何をしているのと聞いてきた。マックスウェルに対して、タイさんは中指を立てて見せた。

 

「彼女は、私がここで帰ることはできないと言ったわ。彼女は、この男性がとても重要な人で彼はクリントン大統領の友人だと言ったの」とタイさんは語る。

 

タイさんは、この日の出来事を怖くて誰にも打ち明けることができなかったと語る。

 

「私はとても怖くて、このことを誰にも言えなかった。私はとても内気で恐怖心から、誰かが私を脅しに来るのではないか、それよりももっと恐ろしいことが起きるのではないかと怯えていた」とニューヨークポスト紙に語っている。

 

マンハッタンのモデル事業にも投資をしていたエプスティーンは、このモデル事務所との関係を利用して少女たちを「オーディション」し、彼にマッサージをさせたり、その後しばしば性的虐待を加えたと検察は非難している。

* * *

匿名を条件に証言したこのモデル事務所の元エージェントは、エプスティーンがヴィクトリアズ・シークレットを利用して売春ビジネスに少女たちを勧誘していたと言う。

 

「彼(エプスティーン)は、自分自身のことを、少女たちがヴィクトリアズ・シークレットの仕事を得られるための「バックドア(裏口)」と言っていた。そうした少女たちの数人は、実際にヴィクトリアズ・シークレットの仕事を手に入れていた」と彼は言う。

 

彼が少女たちに約束していたのは、カタログや広告キャンペーンの仕事で、スーパーモデルたちを起用するファッションショーのポジションではなかった、と彼は語った。 NY Post

 

「若いモデルにとって、カタログの仕事でも大金だった。何十万ドル(何千万円)というような報酬ではなかったけれど、広告キャンペーンやカタログのモデルの仕事を1週間するだけで5000ドル(55万円)くらいは稼げていた。彼に紹介された女性たちが全員、仕事をあてがわれていたわけではないが、彼女たちの多くが仕事を与えられた」と別のモデル・エージェントはニューヨーク・ポスト紙に語っている。

 

マンハッタンにある別のモデル事務所創業者によると、「マダム」マックスウェルは、ヴィクトリアズ・シークレットのイベントで積極的に女性を勧誘していたと証言している。

 

「彼らは、富裕層の男性たちが観客を埋め尽くしているような下品で低俗なファッション・ショーのイベントにいつも来ていた。ギスレーンは、ナチスの憲兵のように、誰がどこの席に座るべきか命令し、そして彼女が若いモデルと呼ぶ新たな犠牲者をそこで見つけ出していたと彼は語っている」。

                           

マダム・マックスウェルへの口止め料?

 

連邦検察は、新たに法廷に提出された文書の中で、(2008年に最初に有罪判決を受ける前)エプスティーンが証人を買収していた可能性があると訴えている。銀行の取引履歴から、エプスティーンは二人の「共犯の可能性がある人物ら」に対して合計35万ドル(約4000万円)を振り込んだことがわかっている。これら二人は、エプスティーンに不利な証言をできる立場にある。「金融機関1」から一人に10万ドルが振り込まれ、その3日後に別の人物に25万ドルが振り込まれていた。5年間の銀行の取引履歴から、これらは1回限りの振込だったようだ。

 

そして、連邦検察が「口止め料」と訴えている資金を受け取った人物の一人が、ギスレーン・マックスウェルではないかと疑われている。「マダム」マックスウェルは、イギリス人メディア王であったマックスウェル氏の娘。2017年にエプスティーンを訴えた犠牲者の一人は、「マダム」マックスウェルのことを、エプスティーンの裏ビジネスにおいて「最高ランクのスタッフ」と表現し、エプスティーンの日常生活と性生活の両方のマネジメントを行っていたと証言している。

 

ウォール・ストリートジャーナル紙は、次のように報道している

 

ギスレーン・マックスウェルは、イギリス人メディア王の娘であり、マンハッタンの社交界で長年にわたってフィクサーであった。そのため、彼女が持っている英国王室やミステリアスな金融資本家のジェフリー・エプスティーンとの親しいつながりから、タブロイド紙にしばしば取り上げられていた。

 

しかし、エプスティーンが先週、性的人身売買の罪で逮捕されたことで、彼女がエプスティーンの裏ビジネスを支える最高ランクの支援スタッフであったとされる役割について再び注目が集まっている。

 

宣誓供述書およびその他の法廷に提出された文書によると、57歳の「マダム」マックスウェルは、エプスティーンのために若い女性をリクルーティングし、性奉仕のために彼女たちを訓練していたとして、3人の女性から訴えられている。法廷文書によると、このうち二人の女性は、マダム・マックスウェルがエプスティーンと共に彼女たちを性的に虐待したと訴えている。

 

さらに、ウォール・ストリートジャーナル紙は別の人物の証言を掲載している:

 

一つの宣誓供述書の中で、(エプスティーンの)パーム・ビーチの自宅でハウス・マネジャーとして1992年〜2002年にかけて勤務していたホアン・アレッシは、マックスウェルのバスルームの戸棚に性的玩具が入ったバスケットがしまわれていたことを証言している。若い女性たちの訪問客が去った後に、彼は掃除をするためにそれら玩具を探し回らないといけなかった。

 

アレッシ氏はまた、マダム・マックスウェルが彼に地元のマッサージ・パーラーとマッサージ訓練学校のリストを作るよう依頼し、その後、彼女を車に乗せてそれら学校の名刺を集めるために運転したことも証言している。

 

マダム・マックスウェルは、エプスティーンと共に、クリントン元大統領の娘、チェルシー・クリントンの結婚式に招待され、参加している。(記事冒頭の写真。)

 

テスラの創業者イーロン・マスクと一緒の写真もある。エプスティーンの「裏ビジネス」は、政界、経済界、芸能界という彼らの広い人脈のどこまで侵食しているのだろうか。

 

 

 

エプスティーン事件Part 5」へ続く。

 

Photo via focusonstyle

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