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中国政府がSNSサービスのリンクトイン(LinkedIn)を使ってスパイを勧誘−NYタイムズ紙

アメリカ政府の元官僚たちは、就活専用SNSであるリンクトイン(LinkedIn)のメッセージング機能を使って、中国の工作員から中国政府に貢献する「高い給料」の仕事の機会があるという勧誘を受けており、さらに調査・研究のために「中国のシステムに対する大いなるアクセス」を手にすることができると勧誘を受けているとニューヨークタイムズ紙が報じた

ニューヨークタイムズ紙によると、これは外国人工作員を勧誘するための洗練されたネットワークの一部でしかないという。

 

デンマーク政府の元外務官僚は、中国のヘッドハンティング会社に勤務する女性と思われる人物から、北京で会いたいという複数のメッセージをリンクトインで受け取った。彼女の代わりに3人の中年男性が(面会場所に)登場し、調査・研究のために「中国のシステムに対する大いなるアクセス」が得られるよう、彼らはこの元外務官僚を援助することができると語った。

 

オバマ政権下のホワイトハウスで勤務していた元外務官僚は、カリフォルニア工科大学で研究員だと自称している人物から、リンクトイン上でブリーフィングを受けた。この人物のプロフィール・ページは、ホワイトハウスのスタッフや外交官たちとつながっていると表示していた。しかしそのような研究員は存在していない。New York Times

 

西側の防諜要員らによると、海外の工作員は、ソーシャルメディアを悪用しており、リンクトインを「主な狩猟場」として使っているという。英国、ドイツ、フランス、そして米国政府は、外国人工作員がリンクトインのユーザにコンタクトしているという警告を発している。

 

とある元政府職員は、ロビンソン・ザン(Robinson Zhang)と名乗る人物からリンクトイン上で連絡が来たと語っている。ザンと名乗る人物は、R&C Capitalという企業の「PRマネジャー」と記載しており、彼のプロフィール写真(以下)は香港の高層ビルの写真が使われている。R&Cは、「香港を拠点にした国際的コンサルティング企業」であり、「グローバル投資、地政学的問題、公共政策、等」を専門にしていると掲載されている。

 

 

ザン氏は、この元政府官僚に対して、「あなたの履歴書に非常に感銘を受けました。あなたはいくつかの非常に高報酬のポジションに適任だと思います」とメッセージを送ってきたという。この元政府官僚は、このメッセージを受け取って違和感を覚えたという。

 

文言に違和感があったため、この元政府官僚は、ザン氏にウェブサイトを送るよう依頼したと語っている。ザン氏はエッフェル塔の写真が掲載されたホームページを送ってきたが、そこにはR&C Capitalに関する情報はほとんど掲載されていなかった。「彼が即席にでっち上げたもの」のように見えたとこの元政府官僚は語っている。(ニューヨークタイムズ紙はこのサイトを確認したが、この会社にインタビュー申請をメールで送った後、このサイトは削除された。)

 

ザン氏は、彼の会社が中国への旅費を支払うと何度も言及した。この元政府官僚は、何度も会社の詳細情報について質問したが、中身のある返事は得られなかった。 New York Times

 

 

「全米対諜報活動および安全センター(NCSC)」のディレクターであるウィリアム・R・エヴァニナ氏は、「我々は、中国の諜報機関が大規模にこうした活動を行なっていることを目撃している」と語っている。ニューヨークタイムズ紙によると、全米対諜報活動および安全センター(NCSC)は、外国人工作員をトラッキングし、企業に対してスパイが侵入している可能性があることを警告している。「ターゲットとする人物を勧誘するためにスパイをアメリカに送り込むのではなく、中国国内でコンピュータ画面の前に座り、偽装したプロフィールを使って友達申請を数千ものターゲットに送りつける方が効率的だ」と同氏は語っている。

 

アメリカ人政府職員や企業重役が悪意ある目的と呼ぶような活動に、中国政府の工作員がSNSを利用している活動に対して、ここ数週間、ますます慎重な監視体制が敷かれている。フェースブック、ツイッター、YouTubeは、香港の民主主義を求めるデモ活動について間違った情報を流布していたアカウントを削除したと発表した。ツイッターだけでも1000件近いアカウントを削除したと発表している

 

フェースブックとツイッターが、中国からの誤った情報に関連付いたアカウントを削除するのはこれが初めてである。ロシアが2015年と2016年にこの手法を使って大きな効果が得られて以来、多くの政府が似たような方法で誤った情報の種をまいている。(訳者注:このニューヨークタイムズ紙が主張するロシア政府の米大統領選挙への介入は、証拠がないことがモラー特別捜査官の捜査で既に明らかになっている。詳細はここで報じている

 

マイクロソフトが所有しているリンクトインは、潜在的に誤った情報を広める道具であると同時に、それよりも重要なのは工作員を勧誘するための理想的な道具であるということだ、とアメリカ人政府職員らは語っている。 New York Times

 

 

 

一方、元政府職員らは、中国が彼らをターゲットにするのを非常に簡単にしてしまっている。連邦政府の元職員たちの多くが、新しい仕事が見つかる可能性を高めるために、彼らのセキュリティー・クリアランス(国家機密情報の取り扱いに関する権限や許可証)についてリンクトインで公表している。

 

興味深いのは、ほとんどのアメリカの大手SNSが中国では利用禁止されているにも関わらず、リンクトインだけは禁止されていないということだ。リンクトインは、同サイトに投稿される内容を(中国政府の意向に沿って)言論統制することに合意している。

 

リンクトイン上で明らかに中国から勧誘を受けたと語っているデンマークの元外務省職員、ジョナス・パレロ-プレスナー氏は、「中国は、政界、学術界、そして経済界におけるエリートたちと人脈を構築したいと考えている。この活動の多くは、グレーゾーンで行われていることもあれば、影響力を探していたり、介入を計画していたり、古典的な工作活動を行ったりと幅広い内容で行われている場合もある」と語る。同氏によると、政府による仕事から退職したばかりの人たちは「特に脆弱性にさらされている」という。彼らは積極的に次の仕事を探しているからだ。

 

リンクトインのスポークスパーソン、ニコール・レベリッチ氏によると、同社はなりすましや不審なアカウントを積極的に特定し、削除している。ニューヨークタイムズ紙によると、同社は政府機関を含む様々な情報源から提供される情報を元にこうしたアカウントの削除を行なっているという。

 

「我々は、当社の非常に明瞭なポリシーを強制している:我々の会員を誤解させたり騙したりする目的で、なりすましアカウントを作成したり詐欺行為を行うことは、当社のサービス利用規約違反である」とレベリッチ氏は語っている。

 

最近の複数の事例で、リンクトインは効果的な勧誘ツールであることが証明されている。元CIA職員で国防情報局の元職員でもあるケビン・パトリック・マロリーは、今年5月、中国に協力して工作活動を行っていた罪で20年の実刑判決を受けている。FBIによると、同氏が中国と関係を持ったのは、2017年2月、リンクトイン上で中国の工作員らから受け取ったメッセージに彼が返信した時からだという。

 

起訴状によると、米司法省は、昨年10月、中国人工作員であるヤンジュン・シュー(Yanjun Xu)がリンクトイン上でGEの宇宙工学エンジニアと関係を築き勧誘したとして、彼を経済スパイ活動で告訴している。

 

全米対諜報活動および安全センター(NCSC)のディレクターであるエヴァニナ氏は、中国人工作員たちがリンクトイン上で数千もの人物たちに一度に連絡している、と昨年ロイターの取材に対して語っている。 New York Times

 

 

さらにエヴァニナ氏は、「外国の諜報活動部は、それが機密情報であろうとそうでなかろうと、彼らが欲している企業機密や知的財産、その他の研究開発情報にアクセス権があるいかなる人物を探している」と語っている。

 

先述のデンマーク元外務省職員、ジョナス・パレロ-プレスナー氏は、グレース・ウー(Grace Woo)と名乗る女性から2011年に連絡が来たという。彼女は、DRHRという中国杭州にあるヘッドハンティング企業で勤務していると説明した。彼女は、パレロ-プレスナー氏が2012年に中国を訪問する予定である情報を手に入れると、杭州で面会しようと提案してきた。その際、移動手段を手配するためという理由で、彼のパスポート画像を送るよう依頼してきたという。パレロ-プレスナー氏はその依頼を断っている。

 

しかし、パレロ-プレスナー氏は、代わりに北京にあるセントレジスホテル(St. Regis Hotel)で面会することに同意した。ウーと名乗る女性は現れなかったが、ヘッドハンティング企業のDRHRから来たと言う若い男性が現れ、3人の中年男性が待つ会議室にパレロ-プレスナー氏を案内した。そこでこの3人の中年男性は、パレロ-プレスナー氏を快く迎え、自分たちのことを中国政府の研究機関から送られてきたと説明した。彼らは名刺を持っていなかった。

 

パレロ-プレスナー氏は、「この面会はとても怪しいと思った」と語っている。さらに、これらの男性は、もしパレロ-プレスナー氏が彼らに協力すれば、彼の研究・調査に資金提供することができると語ったという。

 

パレロ-プレスナー氏は、彼が住んでいたロンドンに戻ると、英国政府職員にこのことを報告した。

 

「もし私がリンクトインだったら、今すぐに対策を講じるだろう。これは氷山の一角にしか過ぎない」とパレロ-プレスナー氏は語っている。

 

DRHRは、2017年12月、中国の工作員たちがフロント組織として使っていると、ドイツの国内諜報部員が名指しした3社のうちの1社である。ドイツ諜報部員は、中国工作員たちはリンクトインを使って1万人のドイツ人に連絡を取ろうとしていたと結論づけている。リンクトインは、DRHRやウー女史のアカウントを含め、いくつかのアカウントを削除している。

 

昨年10月、フランスの諜報機関は自国政府に対して、中国の工作員たちがSNS(特にリンクトイン)を使って4000人のフランス人に連絡を取ろうとしたと報告した。フランスの新聞ル・フィガロ(Le Figaro)によると、ターゲットになったのは政府職員、科学者、そして企業の重役である。New York Times

 

 

ここまで大規模に、欧米の元政府職員、科学者、企業重役がリンクトイン経由で中国工作員から勧誘を受けている事実が判明したということは、当然、日本人に対しても同様の工作活動が行われていると考えるのが自然だ。

 

日本の政府職員、科学者、企業重役、そして可能性として政治家の中にも、中国工作員の勧誘に負けて協力している人がいると考えられる。日本の場合は、ジャーナリストやテレビ局社員にも中国工作員に協力している人たちが少なからずいそうであることが想像に難くない。

 

日本の正義感あるジャーナリストたちには、芸能人の不倫報道ではなく、こうした内通者を暴くような骨のある調査報道を行って欲しいと願うばかりである。

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