アマゾンが中国のEコマース市場へ再参入:米国の消費は停滞すると見越して
Eコマース・サイト大手のアマゾンは、アメリカ国内の消費意欲が急速に冷めてきており、西側諸国の市場が2020年代初頭までは停滞する可能性が高いと予想しているようだ。最近アマゾンが投資家向けに行った電話会議で、同社は今季のホリデー・シーズンにおける売上および利益予想が、期待値以下であることを明らかにした。この予想により、ホリデーシーズンが開けても数四半期は消費活動が停滞する可能性がある。少なくともアマゾンはそう予想している。
米国内における消費需要が低下することを見越して、アマゾンは中国市場への再参入の準備を進めているとロイターが報じた。アマゾンは、中国のECサイトを7月に閉鎖したばかり。
アマゾンは、今週月曜(11月25日)、中国のECサイトである拼多多(ピンドゥオドゥオ)上でオンライン・ストアを開設する見込みである。このグローバル・プラットフォームを足掛かりとして、アマゾンは中国人消費者に対して商品の販売を伸ばしていくと見込まれている。また、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、この「ポップアップ・ストア」は、年末までの期間限定ショップだと報じている。
ロイターは、中国国内史上ではアリババとJD.comがEコマース市場を独占していると記している。拼多多(ピンドゥオドゥオ)はわずか4年前に、ようやく小規模の地方都市においてわずかな市場シェアを獲得でき始めたという存在。
情報源の人物がロイターに語ったところ、拼多多(ピンドゥオドゥオ)上のアマゾンのオンライン店舗では、海外からの商品を扱う予定。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、約1000点の商品を扱う予定と報じている。
中国政府は、自国の経済を貿易依存型モデルから国内消費型に変革しようとしており、それに合わせてアマゾンは中国市場への再参入を試みている。この中国政府による政策により、この先数年以内に、中国は世界の中でも最大の消費市場の一つへと変革する可能性が高い。
中国は最近になってアメリカを抜き、世界最大の中産階級人口を抱える国となった。米国の消費財企業はどこも、20世紀はアメリカが独占した時代であったが、現在は中国が21世紀を独占しようとしていると考えているようだ。
(日本だけでなく)アメリカの多くの企業が、2020年代に旺盛な消費意欲を発揮するのは中国であると見込んでおり、2030年までに中国の消費が米国を凌駕し、世界のスーパー・パワーになる可能性が高いとみている。アマゾンも「爆買い」の中心地である中国市場への参入を虎視淡々と狙って進めている。
しかしここで疑問になるのは、中国国内で得た売上金を、中国国外へ持ち出すことが禁止されているということに対して、こうしたアメリカの消費財企業はどう考えているのだろうか。既に現在、アメリカのヘッジファンドが、中国へ投資した資金を国外に持ち出せないことが問題となっていることに対して、アマゾンはどういった見解なのだろうか。
Screenshot via Pinduoduo’s official site
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