習近平主席が中国に潜む「壊滅的な負債爆弾」を避けるために金融の専門家を任命
大方の予想では、2020年の中国のGDP成長率は5.9%前後と報じられており、世界第2位の経済大国は引き続き減速圧力に直面することが予想されている。実際、中国経済は様々な問題を抱えており、減速するインフラ建設投資、悪化する地方政府財政、そして中小の地方都市における信用収縮などにより、中国における巨大な金融崩壊は間近だとする懸念が高まっている。
高まる金融リスクへの対策として、中国の習近平主席は、中国全土から国有銀行の元幹部ら12名を任命したとタイペイ・タイムズ紙が報じた。彼らは、中国国内でくすぶる銀行の破綻問題や負債(債券)のデフォルト問題について対処するため、中国共産党の制御能力を高めることが使命となっている。
最近任命された人物の中には、中央銀行関係者、熟練の証券業界関係者、そして地方長官などがいる。彼らは、中国経済を世界の工場という製造業から、高品質の製品を生産するサービス型経済への移行も支援することになる。それと同時に、中国政府は、2022年に大規模な人事異動を準備しており、25人いる政治局員の少なくとも半数で入れ替えが行われる見込みである。
香港にある独立系研究機関Plenumのフェン・チュンチェン氏は、タイペイ・タイムズ紙に対して次のように語っている:
中国政府はますます金融リスクにさらされているため、現在、銀行関係者の需要は高まっている。
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これらの元銀行関係者および元規制当局者たちは、大規模な金融リスクを回避し、そのリクスを削減するという任務が与えられている。
こうした人材の共産党による任命は、従来の金融政策が経済を成長させるにはその効果を発揮しなくなってしまい、中国の経済成長が30年来の低成長に終わった2019年というタイミングで行われている。
中国で金融政策が効果を発揮しなくなってしまった一つの理由は、企業のバランスシート上の不況が指摘されている。企業は、レバレッジを解消しようと、高額の借金返済に追われており、それが投資を減速させ、経済成長そのものの減速を引き起こしている。
タイペイ・タイムズ紙は、5つの地方銀行が「今年、流動性の問題に直面した。これにより、思いもよらない地域に壊滅的な負債爆弾が潜んでいるのではないかという可能性を提起している」と報じている。
中国社会科学院の金融政策研究センター所長のHe Haifeng氏は、次のように述べている:
金融担当の副知事を各省へ任命することは、金融政策を現地の活動レベルによりうまく統合することを助けるほか、事前に金融リスクを回避することの助けにもなりうる。
世界各国の中央銀行は、2020年に世界の経済成長が復活するという前提で金利を引き下げ、市場に流動性を大量投入している。その一方で、中国は現在、経済の低迷と金融ハルマゲドンが起きるリスクへの準備を進めている。
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