武漢ウィルス(COVID-19)のワクチン完成は18ヶ月後とWHO事務局長。製薬会社ノバルティスのCEOは最低12ヶ月と発言
今週火曜、世界保健機関(WHO)はスイス・ジュネーブにある本部で専門家会合を開き、武漢ウィルスの正式名称を「COVID-19」とすると発表した。そしてテドロス事務局長は、「(COVID-19向けの最初のワクチンは)18ヶ月後に利用可能になる見込みであるため、このウィルスと戦うために可能なあらゆる武器を使って、今日できることをやるしかない」と発表した。
https://twitter.com/BFidr/status/1227320189609484288
先週、浙江大学の研究チームが効果的な治療法を開発したと中国メディアが報じたことをロイターが伝えていた。しかしWHOはこうした治療薬のブレークスルーが起きたという報道を認定しておらず、新型コロナウィルスに対する「認められた効果的な治療は存在しない」とWHOの広報官であるタリク・ジャサレビッチ氏は語っている。
一方、先週水曜、イギリスのSky Newsが、インペリアル・カレッジ・ロンドンの科学者チームがブレークスルーとなるワクチンを発見したと報じている。
しかしこうした「革新的ワクチンの開発に成功した」という報道は、株式市場で株価を上昇させる目的に利用されている側面がある。
WHOは、先週、こうしたワクチンがすぐにでも製造されるというような楽観論を煽る報道を否定する声明を発表している:
この2019-nCoVに対する認められた効果的治療法は存在せず、WHOは効能と安全性を確かめるためにランダム化対照試験に登録することを推奨する。
ツイッター上では、ワクチンの完成に18ヶ月かかるというWHOの発表に対して様々な反応が飛び交っている:
Market is acting like there is already a cure
— Stalingrad & Poorski (@Stalingrad_Poor) February 11, 2020
Vaccine for new coronavirus 'COVID-19' could be ready in 18 months: WHOhttps://t.co/7pMnPOeI53
【訳】市場はすでに治療法が存在しているかのように動いている。
新型コロナウィルス「COVID-19」へのワクチンは、18ヶ月後に準備可能:WHO発表
How is Canada still letting flights in from China we have to wait at least 18 months for a vaccine we r on r own https://t.co/kL8ouBCDKL
— zb (@shanezeus89) February 11, 2020
【訳】どうしてカナダ政府はいまだに中国からのフライトを入国させているのか?私たちはワクチンの完成に最低18ヶ月も待たないといけないというのに。私たちは頼るものなく自力でどうにかしないといけない。
#Covid19 #Coronavirus #SARS 2.0 #2019nCov – #WHO's Tedros: The first #vaccine could be ready in 18 months … you read that right, 1.5yr out.
— TraderStef (@TraderStef) February 11, 2020
【訳】#Covid19 #Coronavirus #SARS 2.0 #2019nCov – #WHOのテドロスが発表:最初のワクチンは18ヶ月後に準備可能・・・読み間違いではない、1年半先だ。
Will 18 months be too long to wait for a functioning vaccine? #uemcommunication https://t.co/FfHrnjsED6
— Cecilie (@CecilieRystad) February 11, 2020
【訳】18ヶ月というのは効果あるワクチンを待つには長すぎるということになるだろうか?
しかしスイスの製薬会社大手ノバルティスのCEO、ヴァス・ナラシムハン氏は、先週水曜、CNBCの番組に出演し、WHOよりは楽観的な開発スケジュールを語っている。この番組で、同CEOは、治療薬の開発に最低1年かかるだろうと語っている。
今週火曜、トランプ政権の公衆衛生当局者が、コロナウィルス・ワクチンの初期治験は3ヶ月以内に始まるだろうという過剰に楽観的な発表をしたことで、アメリカの株式市場は一時上昇する場面があった。これまで、「米中貿易戦争の合意が間近」という楽観論が株式市場を牽引していたが、現在では「コロナウィルスの治療薬が完成間近」という楽観論が市場を牽引する格好になっている。
ノバルティスのCEOは、新たなワクチンを開発するのに最低1年はかかると発言した際、さらに新型コロナウィルスの世界的な感染拡大は「非常に深刻」な可能性があるとも語っている。
「現実は、私の予想ではこれに対する新ワクチンを本当に開発するには1年以上かかるだろうということです。そのため、私たちは本当に現状を改善するために、疫学的制御方法を活用する必要があります」とナラシムハン氏はCNBCのジュリアナ・タテルバウムに語った。
すでにオーストラリアの科学者たちが実験室でコロナウィルスを培養することに成功したとロイターが報じており、これが事実であれば培養したウィルスを検出方法の開発や最終的にはワクチンの開発に利用できる可能性がある。
世界の科学者たちの努力により、たとえ有効なワクチンが「数ヶ月以内」に開発できたとしても、その後の動物実験を経て人体に利用可能になるまでに最低1年は必要であると見込まれている。WHOのテドロス事務局長が「18ヶ月」と発言したのは、ワクチン開発に数ヶ月、その後の動物実験に1年、そしてワクチンの製造・流通に数ヶ月かかると想定しているのかもしれない。
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