ニュースレター登録

Loading

オールドメディアが伝えない海外のニュース

ソフトバンクの孫会長がヘッジファンドのエリオット・キャピタルと秘密会談:孫会長は「非上場化」による企業救済を検討とFT紙が報道

Vision Fund

孫会長(左)とラジーブ・ミスラ氏(中央)

今週月曜、ソフトバンク・グループが4兆5000億円分の資産を売却し、最大180億ドル分の自社株買いを行うと発表した。これにより、同社の暴落していた株価は2日連続で急騰している。同社は発行済株式の45%の株式を買い戻すことになる。

https://twitter.com/BFidr/status/1241982009012097024?s=20

さらに資産を売却して得られた資金で負債の返済が行われることから、ソフトバンク・グループが行ってきたレバレッジをかけた金融取引の解消もある程度進められることになる。

昨年、IPOの直前で株式公開に失敗し、企業価値が暴落したシェア・オフィス企業WeWorkを始め、ソフトバンク・グループがビジョン・ファンドを通して行ってきたユニコーン企業への投資の失敗が続いている。

さらにソフトバンク・グループは、先週、WeWorkを救済するために約束していた30億ドルの投資を一部撤回する可能性があることをWeWorkの株主に通知している。その数日後に、この4兆5000億円分の資産売却のニュースが報じられたことからも、孫会長がそうとう焦った状態にあることは容易に想像できる。

このようなニュースが立て続けに報じられる中、孫会長はソフトバンク・グループの企業価値を下支えしようと奔走しており、その方法の一つにLBO(レバレッジド・バイアウト=他人資本をてこにした買い占め)も含まれているとファイナンシャル・タイムズ(FT)紙が報じた。ヘッジファンドのエリオット・キャピタルが、ソフトバンク・グループ株をさらに買い増しすることに興味があると語ったため、孫会長がLBOという選択肢について同社と議論したと報じられた:

しかし(ソフトバンク・グループ)を非上場化するという可能性については、ソフトバンクの株価と世界市場とを揺り動かしているこの動乱をいかに乗り越えるか、孫氏があらゆる選択肢を検討しているということを表している。先週終わりの時点で、潜在的なプレミアムをすべて差し引いて計算すると、ソフトバンクG株は約500億ドルの資産価値があった。ソフトバンク、エリオット・キャピタル、ムバダラはコメントすることを拒否した。

ソフトバンクGの株価が下落していたため、先週、エリオット・キャピタルのロンドン・オフィスを統括するゴードン・シンガー氏が同社のさらなる株式の購入に興味があると表明した。それを受け、すでに同社の4分の1を保有している孫氏はレバレッジド・バイアウト(LBO)について検討を始めたと、両者の会談について知る一人の人物が語った。彼らの議論の中で、孫氏はソフトバンクを非上場化するために投資家コンソーシアムを形成することを真剣に調べ始めたとこれらの人々は語った。

「このアイディアはマサの周辺にいる人々が出所となっており、彼はそれについて模索することを希望した」とこの状況を知る一人の人物は語った。この議論には、孫氏の主要な右腕となる人たちも含まれており、ソフトバンクCFOの後藤芳光氏、ソフトバンクのビジョンファンドを統括する元ドイツ銀行トレーダーのラジーブ・ミスラ氏、そして同社のCOOであるマルセロ・クラウアー氏が含まれている。この計画は、結局さまざまな理由により破棄された。その理由には、このような大型案件に対して投資家コンソーシアムを迅速に形成することが複雑であること、東京証券取引所への上場ルール、そしてその他の税法上の理由などがあると複数の人物が語った。

孫氏をよく知ると称している人たちによると、「マサ」はソフトバンクの時価総額が、同社資産の簿価と比べて大幅に割り引かれている(ディスカウントされている)ことについてたびたび不満を口にしているという。ビジョンファンドによる度重なる大型投資の失敗から、孫氏の高リスク投資に旺盛な「ギャンブラー」という評判が、「名声」から「悪名」に変わってしまったことも、同社の時価総額が大幅に「ディスカウント」される要因となっている。

ソフトバンクは、同社の簿価に対する時価総額の割引率が、先週末までに73%と同社史上最大となったと発表している。

孫氏はソフトバンクの支配権を取り戻そうと必死であり、いまだに孫氏の投資・経営手腕を信じる数人の友人たちから資金提供を受けることで同社を非上場化しようとしている。しかしその救済者にエリオット・キャピタルというのは奇妙な取り合わせに見える。ただし簿価に対する時価総額の割引率が大幅に上昇しているというのは、ソフトバンクを非上場化するには今が良いタイミングであるという指標となっている。

アメリカでは、連邦政府による救済策を受けるボーイング社や大手航空会社が、これまで借金をしてでも自社株買いを行ってきたことが非難されている。そのため、連銀は今回政府が救済策として直接債券を買い取る企業は、自社株買いを行うことも株主に配当を払うことも禁止すると発表している。孫氏は、アメリカ政府による救済を断ってでも自社株買いを進めるだろうか。

【関連記事】

SoftBankがWeWorkとの救済合意内容を一部撤回とWSJ紙が報道

SoftBankのビジョン・ファンドは詐欺的と専門家らが警鐘:投資先のWeWorkはIPOが頓挫し倒産の可能性もささやかれ始めた

BonaFidrをフォロー

執筆者

コメントを残す

error: コンテンツは保護されています。