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ミネアポリス暴動が全米に広がる|黒人男性が白人警察官に殺害された事件を発端に、全米で警察、メディア、政府への不満が爆発

ミネアポリス暴動が全米に広がる|黒人男性が白人警察官に殺害された事件を発端に、全米で警察、メディア、政府への不満が爆発

ジョージ・フロイドさんを膝で押さえつけているデレク・ショービン容疑者(Screenshot via CBC News)

 

武漢ウイルス災禍が発生し、全米各地で自宅待機命令が出されて数ヶ月––––いずれ社会不安が高まり米国では暴動が起きると予想されていたが、それがついに現実のものとなった。そのきっかけとなったのは、今週月曜、ミネアポリスで白人警察官により黒人男性が白昼堂々と殺害されたニュースだ。

 

 

日本語メディアでもこの事件は大々的に報じられている:

 

【産経新聞(5月30日)】米ミネソタの黒人暴行死 白人元警官を訴追 抗議デモ収束せず

 

【時事(5月30日)】黒人死亡で白人警官逮捕 殺人容疑、異例の対応もデモ続く―米中西部

 

【読売新聞(5月30日)】首をひざで9分間押さえつけ…黒人男性死亡事件、元警官を逮捕

 

【BBC(5月30日)】米ミネアポリス市警の元警官、黒人男性の殺害罪で起訴

 

【ウォール・ストリート・ジャーナル(5月30日)】米黒人死亡事件、容疑者の警官を殺人罪で起訴

 

【CNN(5月30日)】米黒人死亡事件、元警官を第3級殺人で訴追 ミネアポリスに夜間外出禁止令

 

 

 

■ 繰り返される警察官による過剰暴力

 

今週月曜、ミネアポリスの惣菜店で偽造小切手を使おうとした人物がいると通報を受け、警察官が現場にかけつけたと地元メディアは報じている。警察官は、無抵抗のジョージ・フロイドさん(46歳)を拘束し、その際、後手に手錠をかけ地面にうつ伏せにした。現場にいた4人の警官の一人であるデレク・ショービン(44歳)は、そんな無抵抗で地面にうつ伏せに横たわる彼の首に膝で体重をかけ押さえ続けた。他の3人の警察官は彼らを囲んで見守り続けた。「息ができない」と訴えるフロイドさんの声は聞き入れられず、約9分後に彼は亡くなった。この事件に関わった4名の警察官は全員免職となっている。

 

その時の様子を撮影した動画:

 

 

この様子は一般市民により動画が撮影され、ネット上で拡散されると一気に警察官による過剰な暴力に対する怒りの声が上がった。しかも白人警察官が無抵抗の黒人男性に対して過剰に暴力をふるい死亡させるという事件は、過去に何度も起きている。

 

その中でも今回の事件と酷似しているのは、2014年7月17日、ニューヨーク市のスタッテン島で起きた事件。タバコを違法にバラ売りしているという容疑で、エリック・ガーナーさんが数人の白人警察官に取り押さえられた際、首をはがいじめにされ、同じように「息ができない」という言葉を残して死亡した。

 

今回、ミネアポリスでフロイドさんが殺害された際、警察官のデレク・ショービンはすぐには逮捕されなかった。地元検察が彼を第3級殺人の容疑で起訴したのは、事件が起きてから4日後の5月29日(金曜)である。他の3人の警察官、トウ・タオ、トーマス・レイン、アレクサンダー・クーイングも起訴されるだろうとミネソタ州ヘネピン郡検事のマイク・フリーマン氏は記者の質問に答えている

 

 

■ 全米に広がる暴動

 

この事件が起きた翌日の5月26日(火曜)から毎日抗議デモが行われており、金曜で4日目に突入している。しかし怒りに満ちた抗議の声は、自宅待機命令が出され溜まっていた鬱憤と社会不安を爆発させるはけ口にもなっている節があり、当初は警察への抗議やデモ活動を行なっていた市民はいつのまにか暴徒と化している。中には小売店から商品を略奪し、車両や建物に火を付ける者たちも現れ始めている。ミネアポリスで始まったデモ活動は略奪・破壊行為へと姿を変え、全米に拡散している。

 

米国現地時間の金曜夜の時点で、デモ活動と暴動は、ニューヨーク市、ロサンゼルス、アトランタ、タンパ、フェニックス、セントルイスなど、東西海岸、南部、中西部と全米に広がっている。

 

https://twitter.com/TerriGreenUSA/status/1266507998173765633?s=20

 

 

■ 奇妙な展開

 

その後の報道で、殺害されたフロイドさんと、逮捕されたショービン容疑者は、ミネアポリスのナイトクラブで、警備員として同時期に働いていた記録があることが判明している。二人に面識があったかは不明だが、同じ時間帯のシフトで勤務した記録があると報じられている。もし二人が知り合いだった場合、これは単に警察官が勤務中に過剰暴力をふるって一般市民を死亡させたケースではなく、何らかの殺害の意図があった可能性があると地元メディアは報じている

 

 

■ 度々問題を起こしていたショービン容疑者:当時検事のクロブッシャー上院議員に批判が集まる

 

ショービン容疑者は今週解雇されるまでミネアポリス警察で19年勤務しており、過去にも過剰な武力行使で問題を起こしていたと報じられている。2008年、家庭内暴力の通報を受けた際、ショービン容疑者は一般市民の男性を銃で撃ち、また2011年にも銃撃事件を起こしていた。そして2006年には、警官に向けてショットガンをちらつかせたウェイン・レイズ(当時42歳)を、6人の警官が撃ち殺す事件が発生。ショービン容疑者はその6人の警官の一人だった。今年の大統領選挙に民主党から出馬し、現在、副大統領候補にも名前が挙がっているエイミー・クロブッシャー上院議員(下の写真右側)は、当時、ミネソタ州のヘネピン郡検事だったが、ショービン容疑者を含めこの事件に関わった警察官を訴追陪審に持ち込まなかったことが改めて報じられ批判されている。当時、郡検事だったクロブッシャー氏は、その後ミネソタ州から上院選挙に出馬し当選した。クロブッシャー氏が郡検事を辞任すると、この6人の警官が市民を銃殺した事件は大陪審で審理にかけられている。

 

デレク・ショービン容疑者(左)とエイミー・クロブッシャー上院議員(右)

(Photo via New York Post)

 

 

■ 偏向報道を行うリベラル・メディア

 

木曜夜、ミネアポリスの警察署が放火されるなど、もはや平和なデモ活動でなく暴動と略奪行為が広がっている。しかしリベラル系メディアのMSNBCやCNNは、これを頑なに「デモ活動」と報じ、「略奪」や「暴徒」という言葉は使わないようにという内部通達が出されていたことが判明している。

 

MSNBCの司会者で、NBCの朝の番組『Today』を担当しているクレイグ・メルビン氏は、次のツイートを投稿し、社内で「偏向報道」を行うよう通達が行われていることを暴露している:

 

 

【訳】これは、我々がミネソタで(今回の事件を)報道するための(社内)ガイダンス。「ミネアポリスの現場での状況は流動的であり、また暴力もすでに発生しているが、現時点では、今起きていることを表現するのに最も正確なのは「暴動」ではなく「デモ活動」だ」。

 

 

CNNのレポーターも、放火され炎上している警察署の前で、「デモ活動は平和に行われています」と中継する様子が捉えられている。

 

 

■ ツイッター社も暴走?:トランプ大統領のツイートになりふり構わずクレームをつけ始める

 

ミネアポリスで発生した暴動に対して、トランプ大統領は次のツイートを投稿して自制を求めている:

 

【訳】偉大なアメリカの街ミネアポリスでこうしたことが起きるのを、私は傍観することはできない。リーダーシップが完全に欠けている。非常に弱腰で急進左派の市長、ジェイコブ・フレイが立ち上がって市を制御しなければ、私は国家警備隊を送り込み、市を制御させる・・・

 

・・・彼ら暴漢たちは、ジョージ・フロイドの記憶を踏みにじっている。私はそんなことはさせない。たった今、ティム・ウォルツ知事と話をした。私は彼に、米軍が常に彼と共にあると伝えた。どんな困難があろうとも、我々は統制権を回復するだろうが、略奪(looting)が始まれば、発砲(shooting)が始まる。よろしく!

 

 

トランプ大統領と法律を巻き込んだ闘争状態にあるツイッター社は、このトランプ大統領のツイートが、「暴力を賛美している」として利用規約に違反したという判定を下している。

 

https://twitter.com/TwitterComms/status/1266267446979129345

【訳】我々はこのツイートに公共の利益についての通知を行なった。

 

このツイートは、暴力を賛美することに関するツイッターの規約に違反している。しかし、ツイッター社はこれに公共の利益があるかもしれないと判断したため、依然として閲覧可能の状態にしている。

 

 

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『全米各地の暴動・デモ活動の映像』

 

 

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