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もし人民解放軍とつながりある研究者を起訴すれば、アメリカ人を拘束する|チャイナが米国に「歯に衣着せぬメッセージ」で警告

もし人民解放軍とつながりある研究者を起訴すれば、アメリカ人を拘束する|チャイナが米国に「歯に衣着せぬメッセージ」で警告

NYにあるチャイナ領事館(Photo via Flickr)

この夏、アメリカ連邦政府は、チャイナ人民解放軍とのつながりを隠して米国の査証を取得し、米国内の大学や研究機関で勤務していたチャイナ国籍の研究者たちを拘束し、起訴した。チャイナ政府はこうした米国政府による「チャイナ・パージ」を、指をくわえて座視していたわけではなく、過去に例を見ない警告を米国政府につきつけていたことが明らかとなった。10月17日(土曜)、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙がこのニュースを独占報道した

 

WSJ紙はいくつかの情報筋からの話を引用して、アメリカ司法省がチャイナ人民解放軍とつながりのある複数の研究者を起訴した報復として、チャイナ政府関係者たちがチャイナ国内で勤務もしくは居住しているアメリカ国民を逮捕すると脅迫していると伝えた。この夏以降、「複数のチャンネル」を介してこれら一連の警告が発せられたとWSJ紙は報じている。その中には、北京にある米国大使館に直接伝えられた警告メッセージも含まれている

 

米中が制裁の応酬を繰り返す中、先月、トランプ政権は安全保障上のリスクがあるとして、チャイナからの1000人以上の留学生や研究者に対して査証(ビザ)を取り消すと発表したことは記憶に新しい。ビザの取り消し対象となったのは、特に科学や医療分野の研究を行っている大学院生。

 

また7月中旬には、J-1ビザを取得しカリフォルニア大学デービス校で研究を行っていたチャイナ国籍のタン・ジュアン(Tang Juan)が、米中間の外交問題にまで発展していた。彼女はFBIからの事情聴取を受けた際、自分が人民解放軍の空軍軍医大学に所属する現役の軍人であることを隠し、嘘をついていた。その後、査証詐欺でFBIに逮捕されそうになった際、彼女はサンフランシスコにあるチャイナ領事館に逃げ込み、外交特権を使って保護されていると報じられていた。しかし同月末、彼女は他3人の中国籍の研究者たちと共にFBIに逮捕されている

 

そしてわずか3週間前には、また別のチャイナ国籍の科学者が、バージニア大学の有名なアメリカ人研究者から研究秘密を盗んだ容疑をかけられていた。しかし裁判所は、彼にはその研究情報にアクセスする権限が与えられていたと結論づけ、検察側は彼に対する全ての訴訟を取り下げている。それでもなお、アメリカ司法省は、同様のスパイ疑惑で毎月チャイナ国籍の研究者を検挙している。

 

米司法省の強気の動きに対して、チャイナ政府もついに「本気」を出しているようだとWSJ紙は報じている:

こうした人々(情報源の人々)は、チャイナからのメッセージが歯に衣着せぬ単刀直入なもの、つまり、もし米国が自国の裁判所でチャイナ国籍の研究者たちを起訴することを止めなければ、チャイナにいるアメリカ国民はチャイナの法律に違反したとみなされる可能性がある、という内容だと語った。

 

チャイナによる脅迫内容の詳細がこれまで一般に知られることはなかった。しかしこうした「歯に衣着せぬメッセージ」による警告は、この夏以降、外交のバックチャンネルを介してアメリカ側に伝えられ始めたと同記事は記している。

 

さらにこのWSJ紙の記事は次のように伝えている:

この夏、米国側が次々とチャイナ国籍の科学者たちを逮捕し始めて以降、チャイナは警告を伝え始めた・・・とこれらの人々は語った。

 

これまでのところ、米国務省もチャイナ外交部も、こうしたチャイナ政府側が検討している「アメリカ人を拘束する」という報復措置について沈黙している。しかし先月14日、米国務省は、アメリカ国民に対してチャイナへの渡航注意勧告を発表しており、香港を含む中華人民共和国への渡航を見直すよう注意している。その理由として、香港国安法の問題やチャイナのIT企業をエンティティー・リストに追加するなど、米中関係が様々な局面で悪化していることを受けて、チャイナ政府が「外国政府に対する交渉材料を得るために」他国の国民を拘束する可能性があるためと説明している。

 

一方、チャイナ政府は、それはまさしく米国政府や西側諸国の政府が最初にしかけてきたことであると主張している。その最たる例として、ファーウェイの孟晩舟CFOをカナダ政府が拘束したケースを挙げている。このことがきっかけとなり、カナダとチャイナの外交関係は一気に悪化している。チャイナ政府は、孟晩舟を拘束し続けるカナダと米国は共犯の関係にあると非難している。

 

* * *

 

一方、中共政府は、すでに2018年の時点でチャイナにある米国の領事館が「浸透工作と妨害工作」を行っている「敵対的な(外国)勢力」と認識していたことが、リークされた4ページの政府文書によって明らかとなっている。これをエポックタイムス(大紀元の英語版)が報じている

 

2018年4月付けの4ページにわたる「作業計画」の中で、広東省・雷州市の行政局(中共雷州市委维护稳定工作领导小组办公室)は、「チャイナにある米国および西側の領事館」は、同地域における政治的そして社会的安定に脅威をもたらしうる主要な標的であると記している。

 

雷州市の行政局の目標は、「あらゆる脅威とネットワークを破壊」することであり、外国勢力によるそうした試みを実行させる隙を完全に排除することであるとこの政府の内部文書は記している。

 

この文書が作成されてから2年以上がたった今年7月、アメリカ政府はテキサス州ヒューストンにあるチャイナ領事館を閉鎖し、その報復としてチャイナ政府は成都にある米国領事館を閉鎖している。

 

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