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【パトリック・バーン回顧録】ドナルド・J・トランプはどのようにしてホワイトハウスを賭けた戦いに負けたのか:ホワイトハウスをアポ無し訪問した夜の出来事

【パトリック・バーン回顧録】ドナルド・J・トランプはどのようにしてホワイトハウスを賭けた戦いに負けたのか:ホワイトハウスをアポ無し訪問した夜の出来事

ホワイトハウス内で自撮りするパトリック・バーン氏(Photo via Patrick Byrne)

ある時点でシポローネはこのように異議を唱えた。「アメリカの歴史上、選挙にこのような課題が発生したことはない!」すると フリンは次のように反論した。「アメリカの歴史上、このような状況が起きたことはない。何時間も票集計が停止され、外国人が我々の(投票)機器に接続したり…..」等々。

 

「彼にはそんな権限はない!」とついにシポローネは雷を落とした。シドニーは会話に再び加わると、大統領令13848(そしてオバマ大統領が署名した他のもの)を引用して、「もちろん彼は権限を持っています」と言った。「疑いの余地なく、彼は権限を持っている」。アリッサは大統領令13848を再び取り出し、先ほど取り上げた関連する文言を示して見せた。トランプ氏は憤慨した表情でシポローネを見ると、「君は私の注意をこれに向けた事など一度もなかったな、パット」と言った。そして彼はシポローネに向かって、「分かるかパット、少なくとも彼らは私のために戦いたいと思っている。君は私のために戦うことすらしない。君は私に何ができないかについて言うだけだ」。

 

この時点までにシポローネは腹を立て興奮状態となっていた。大統領に向かって声を上げ、彼は「おい、もしあなたがこれをしたいのなら、私の許可など必要としない。ペンや紙も必要ない。あなたはただ、『我はシドニー・パウエルをホワイトハウス特別検査官として雇う』と言えばいいだけだ」と言った。しかしそれからも、彼は聞いていたすべてのことにさらに異議を唱え続けたが、その全てが延々とこじつけのように聞こえた。軽薄であるとさえ聞こえた。

 

ホワイトハウス法務顧問からこのような根拠の乏しい異論を6回も受けた後、マイクと私はお互いに唖然とした表情を浮かべた。マイクは冷静さを取り戻そうと沈黙し、彼の眉は困惑の色を浮かべていた。そしてついに私は冷静に部屋にいる全員にこう伝えた。「これは、私がこれまでに経験した中で最もシュールな会話だ」と。

 

その頃、アリッサは法的な問題点について発言した——トランプ大統領には、問題のある6つの郡の選挙に十分な特殊性があり、そして、彼の権力の下、これら大統領令の下、彼はこれら6つの郡で票の再集計を行うために連邦チームを送り込むと判断するに足る十分な根拠があることは明らかだ。それは正当性があり、実行することが合理的な行動だった(彼女は法律用語で言った)。その後どうなるかは、(票の再集計で)何が見つかるかで決まる。しかしその時、立ち上がった3人の男性弁護士たちは、彼女に無礼な話しをし始めた。彼らは彼女に「君は法律の何を知っていると思っているんだ」などと質問して挑発した。すると彼女は「私は弁護士です。シドニーのために働いています、そして…」と答えたところで、彼らは嘲笑的に鼻を鳴らしながら彼女の言葉を遮った。

 

フリンは、ボードの上に立ち上がるサーファーのように、私を驚かせるような優雅さと容易さで立ち上がった。彼はアリッサに向かって吠えていた3人の弁護士の方を向いた。そして彼は冷静な口調で3人の弁護士にこう尋ねた。「事情を明確にしよう。あなたたちは11月3日に何が起こったと思うか?あなたたちは、あれが公平な選挙だったと思うか?あなたたちの目から見て、何も異常はなかったか?」

 

三人の弁護士は下を向き、足のつま先で土をほじくり返すようなそぶりをし、目の端では互いをちらりと見ながら、そして何も答えようとしなかった。

 

トランプ大統領は私を直視して優しくこう言った。「パット、私はこれまでの人生で最高の弁護士を雇ってきたよ。世界中から電話がかかってくるんだ。『これについてはどの弁護士を使えばいいんだ?あれについてはどの弁護士を使えばいいんだ?』ってね。でもここでは…. 相手側はあらゆるルールを破っている。だが私は….?私にあるのは、『あなたにはこれはできない、あれはできない』と言う弁護士ばかりだ。私が達成し得たことがどんなものであったか、君には想像できるか….」。彼は話を途中で終えると、シポローネに向き直り、「ダーラムの報告書はどこだ?どこにあるんだ….」と尋ね、彼が法的なことで失望していることを苛立ちながら語り始めた。

 

彼の二人の同僚の隣に立っていたシポローネは、まだ立ち上がったままのフリンと大統領に向かって怒鳴り返し始めた。まだ叫んでいると、彼は無礼にも私たちの方へと歩みを進め、後ろから(不適切に近づき)アリッサを見下ろした。いつの間にか私は立ち上がりフリンと肩を並べており、ほとんど大統領のところまで引き下がっていた。もしシポローネがフリンやアリッサや私にあと1インチでも近づいていたら、私は彼の喉元に拳をめり込ませていただろう。

 

トランプ大統領は「ヘイ、ヘイ、ヘイ!」と言った。私たちは皆、振り返った。私たちに落ち着くように、彼は両手を振っていた。そして信じられないという顔をして、4分の1の笑顔を浮かべながら、彼は「ヘーイ、落ち着け….」と言った。シポローネは再び足早に部屋を出て行った。彼の2人の腰巾着を引き連れて。彼が出て行く前、シドニーはこう言った。「彼を出て行かせればいい。私はこの仕事を引き受ける。そうすれば、あなたは勝つ」。そしてトランプは彼の背中に向かってこう言った。「お好きにどうぞ、パット。出ていけばいい。もう戻ってくるな」。ドアが閉まると、トランプは「あー、あれは本気ではないのに。パットは友人だ、それに……」と優しく言った。彼の声は引きつっていた。私は自分が彼のことを理解し始めていることに、思わず身をよじった。

 

私は大統領にもう一度、挑戦してみた。「もう一度言いますが、ルディがあなたの友人であることは知っています。彼は素晴らしい人です。彼はアメリカの市長だ。私はルディを愛している。彼に恥をかかせたくはありません。でも、マイクとシドニーがいかに物事を前進させているかあなたは見るべきだ。非常に 組織化されていてよく計画されている…」。すると彼は再び私の話を遮り、「いやいや、ルディでなくてはいけない… 」と言った。私は心の中で崩れ落ちた。

 

弁護士たちが戻ってくると、私たちが話していたことに口を挟むようになり、第三ラウンドがあった。取るに足らない押し返しの第三ラウンドだったが、反対できることを探していた自分の身内からの押し返しに、今回ついに(疲れた感じで)腹を立てたのはトランプ大統領だった。もしこんなことを我慢しなくても良かったとしたら、私はこの4年間で何を成し遂げることができていたか、君には想像できるか?というセリフと共に、彼は再び私に何か不満をつぶやいた。そしてしまいに、トランプ大統領は、シドニーが提案したあのような一連のアクションを、なぜシポローネは検討しなかったのかと尋ねた時、この弁護士はこのように返事した。「我々は選挙運動の弁護士ではない」。

 

私は彼が何を意味しているのか検討もつかなかったが、シポローネが純粋に妨害主義者であることは痛いほど明らかであり、彼は「私はどうやってこれを止められるか?」という立場で物事を考えていた。

 

トランプ氏はため息をつき、疲れ果てた様子でシポローネに向かって「分かるかパット?数分前に『私はそれを言うだけで実行できる』と君は言っていたじゃないか。そうだ….OK。私は決めた。今から私は言うよ。『シドニー・パウエルを、ここにホワイトハウス特別検査官に任命する』。ほら、以上だ」と言った。

 

「彼女にはクリアランス(機密情報取扱許可)が必要だ!彼女がその許可を得るには 数ヶ月はかかるだろう」と他の弁護士の一人が口を挟んだ。

 

私でさえ、その異論がいかに取るに足らないものであるかを知っていたが、フリンが不信感を持って最初に口を開いた。「大統領閣下、あなたはクリアランスについても同じことができます。どんなクリアランス許可でも、その場で口頭で与えることができます」。

 

悲しげに、そして反抗的にトランプ大統領は3人の弁護士を見てこう言った。「我はここにシドニー・パウエルにトップ・シークレットのセキュリティー・クリアランスを与える」。

 

またしても彼らは部屋を出て行った。そして再び大統領、シドニー、マイク、アリッサ、そして私の間で会話は続いた。そこで私は、自分が予想していたのとは全く違った感情を抱いていることに気がついた。彼が置かれた状況を目の当たりにし、本物の暖かい気持ちが沸き起こる瞬間だった——彼は74歳の男性であり、疲れ、彼の再選で騙されていることを知っていて、(法廷闘争の)ほとんどで敗北しており、自分の過ちを後悔し、現実とは異なるあったかもしれないことに思いを馳せていた。私は彼の机の後ろに向かって歩き、彼を後ろから腕で包み込み、彼にこう言いたいと思った——Yes、私はあなたが直面してきたことが今になって理解できます、と。

 

最終的にトランプ大統領は、30分後に居住区の「イエロー・オーバル」(確か部屋の名前だったと思う)で全員で会おうと言った。その間にルディ(ジュリアーニ弁護士)が入ってきて、私たちは、ルディとシドニーの間でうまくやっていく方法を探さなければならなかった。別れ際に大統領はこう言った。「200年の間に、この部屋で今起こったような会議はなかったんじゃないかな……」。彼が立ち去ろうとした時、彼は私の横を通り過ぎて、立ち止まり、そして低い声で静かに話しながら、とても親切で意味のあることを言った。このことは、大統領が私について、私が想像していたよりもずっと多くのことを知っていたことを示していた。

 

数分後、シドニー、マイク、アリッサと私は閣議室でルディを待っていた。暗かったため、私たちはいくつかランプを探すのに苦労した。マイクと私は、みんなで楽しく仕事ができるよう、シドニーとルディの会議がうまくいくようにしようと思っていた。

 

10分後、ネクタイをしめながらルディが入ってくると、あまり不機嫌な態度ではなかったものの、おそらく夕飯を中断されたことで不機嫌になった様子でこう言った。「分かるか、シドニー、もし私たちが一緒に仕事をするのであれば、君は情報を共有しないといけない」。私は彼の口調が過度に攻撃的なものであるとは受け取らなかったが、人間関係の中で新たな一歩を踏み出そうとしていたものに聞こえた。おそらく。

 

シドニーはすぐさまこう彼に言った。「私は情報共有しているわ、ルディ。あなたはメールも全然読まないじゃない。テキストだってあなたは全然読まない」。

 

「そんなことないよ、シドニー!私はただ、君が私に情報を与えず暗闇に閉じ込めておくのは止めて欲しいんだ」。

 

「ルディ、私はあなたを暗闇に閉じ込めてなどいないわ!あなたは・・・」

 

「シドニー、何もかも自分だけの秘密にするのは止めてくれ!もし君が私と情報共有しないのなら、私は君と一緒に仕事をすることはできない!」

 

一瞬のうちに、会話は制御不能に陥っていた。1分ほど口論した後 、私は何か役に立つことをしようとした。「市長、それは本当です。私が(弁護団チームに)入って以来、私たちがシドニーに情報を提供したものは全て、彼女はいつもこう言ってました。「すぐにルディにこれを渡して」と。これは本当です。 私達が発見したものは全て、あなたと共有するように彼女から言われました。彼女から、あなたに対して何も秘密にしておくように言われたことはありません」。しかしこれはうまくいかなかった。私たちは激怒しながらホワイトハウスの居住区に向かった。

 

大統領はすでにそこにいて私たちを待っていた。私たちが中に入った後、3人の弁護士たちが再び加わってきた。メドウズも入ってきた。ウェイターが、ボトルのキャップサイズほどの小さなスウェーデン・ミートボールが入ったボウルを、小皿と一緒に持ってきた。トランプ氏は、みんなが食べることができるように小さなテーブルに置くように指示した。そのテーブルは私の前にあったのでありがたかった。私は実際、旅行中は特に菜食主義となるのだが、大統領と席を共にして彼の祖母のレシピのミートボールをご馳走してもらえるというような機会に、人はどれほど巡り合うことがあるだろうか?実際、ミートボールは美味しかった。会議の残りの時間、ミートボールを食べていたのはたった二人だけだった。ポップコーンのように食べていた私と、たまに大統領が立ち上がって私のところに歩いてきて小皿にミートボールを補充してくれた。他の誰も一口も食べなかった。

 

この居住区で、会議は数時間にわたって続けられた。内容の充実した新境地は話題とならなかった——我々は、我々が大統領執務室で行ってきた論拠を一つずつ検証し、そして計画を説明した。トランプ大統領は断固として賛成し、他の人たちは誰も押し返すことはなかった。その代わりに、彼らは不機嫌そうに、どのようにあれやこれが行われるのかについていくつかの質問をし、そしてマイクとシドニーが説明した。ようやく午前12時15分頃になり、我々全員が疲れからフェードアウトし始めたため、我々はこの会議を切り上げた。私たちはホールの外に出て、大統領が別れの挨拶に出てくるのを待っていた。私たちはそれぞれ、個別に彼との短い時間を過ごし、そして彼はまた何か意味のあることを言い、私にかなり親切にしてくれた。しかし皆は疲れ切っており、会議が終わってよかったと全員が思っていたと私は思う。

 

強調しておきたいのは、この夜の討論のどの部分でも、戒厳令や反乱法についての言及は一切なかったということだ。それに反する主張はすべて嘘であり、それは(私が想像するに)パット・シポローネによって広められたものである。(複数の情報源によると)パット・シポローネは、ニューヨーク・タイムズ紙のマギー・ハバーマンに定期的に情報をリークしている。ホワイトハウスに関するハーバーマンの著述物をざっと見ても、シポローネについてのお世辞を書くことを決して怠らないことから、この主張を裏付けているだろう。

 

数分後、アリッサ、シドニー、マイク、そして私は、ホワイトハウスの前の歩道を歩いていた。暗闇の中を、まだ雪がわずかに降っていた。メドウズとルディが別の入り口を出て、一緒に西に向かって歩いているのが見えた。我々4人は東に向かって歩き、有頂天になっていた——シドニー・パウエルがホワイトハウス特別検査官に就任し、マイクが(外部からではあったが)組織的なスキルとワシントンDCの問題に関する彼の膨大な専門知識を提供してくれたことで、私たちは順調な状態だった。そしてこの瞬間、私たち全員が成功の可能性は高いと評価したと思う。降りしきる雪の中を歩いて家に帰るとき、私たちはお互いにこう打ち明けた。私にとって、今回のことは本当はトランプについてではい。しかし、不正選挙を許すわけにはいかない。もし私たちが許してしまえば、それは内戦や中国が私たちの国を乗っ取りることを意味することになる。私たちがすべきことは、この計画に従い、投票用紙をチェックすることでこれら 6つの郡で何が起こったかを暴露することだ。もし何も問題がなければ、トランプ氏はヘリコプターに乗って立ち去る。そして内戦はない。しかし、私たちがもし不正を見つければ、国全体のために、この(不正選挙の)悪巧みを吹き飛ばす機会が与えられることになる。アメリカの選挙でどれだけの不正が判明するか、誰に分かるだろうか?私は「たくさん」だと思うが、どう思う?私たちは会議の成功に興奮して、あちこちを歩いて回った。「ヘイルメアリー(アメフトのゲーム終盤で苦戦を強いられているチームが、最後の賭けとして得点を狙うために投げるロングパス)」を投げられ、それをエンドゾーンでキャッチしたかのように。数ブロックを歩いた後、忘れ去られていた私たちのSUVが、雪の舞う中、私たちを見つけてくれた。私たちはそれに乗り込み、ホテルまでの残りの道を乗せてもらった。私はこの夜、数週間ぶりにぐっすり眠れた。

 

次の日の土曜日、シドニーは メドウズに電話してこう言った。「私はホワイトハウスの特別検査官になったので、そこにオフィスが必要だ」。

 

メドウズは彼女にこう言った。「ああ、今調べているところだ。すぐに使えるところは何もないが、すぐに見つかると思う・・・」。

 

「それから、ホワイトハウスのIDも必要になる。私が出入りできるように」とシドニーは答えた。

 

「ええ、私たちはそれにも手続きをしているところだ。それには問題があるかもしれない。何が必要になるのか、私たちは調べてみる…..」とメドウズは言った。

 

私達は皆、ひどく沈み込む感覚に襲われ、そして月曜日か火曜日までには、シドニーの「ホワイトハウス特別検査官」のポジションが実現しそうにないことを知った。私達がホワイトハウスで広範囲に議論した計画、クリスマス前に答えを得た計画(そして見つかった証拠に応じて、平和的な政権移行を許可するか、または人民の意図(投票結果)が本当は何であったかの真相を突き止めるために、より広範囲に連邦政府が関与することを正当化することになるかのどちらかとなる計画)…あの計画は中止されてしまった。

 

その代わりに、ルディは各州の裁判所やホテルでの聴聞会を通した悪戦苦闘を続けるつもりだった…。

(第3章・終わり)

 

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