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ロサンゼルス市警が警官に命令:呼び止めた一般市民全員のSNSデータを収集せよ——LAPDは「予測型治安維持活動技術」を導入

【資料写真】LAPD警察官(Photo via Flickr)

ロサンゼルスの警察官は、逮捕していない、あるいは罪にすら問われていない人も含めて、警官が事情聴取するすべての一般市民のソーシャルメディア(SNS)情報を収集するよう署長から指示されていると、ガーディアン紙が9月8日(水曜)に報じた。リークされた内部記録を元に伝えている。

 

この報道によると、LAPDの警察官が使用している「現場聴取カード(field interview cards)」は、一般市民のフェースブック、ツイッター、インスタグラムや他のいかなるSNSアカウントと、基本的な人物情報を記録するよう指示している。LAPDのマイケル・ムーア署長は、「捜査、逮捕、起訴」に使用するためにデータを収集するよう警官に指示し、カードが完全に記入されているかどうかを上司が監査すると警告したと伝えられている。

 

LAPDの「現場聴取カード(field interview cards)」

(Photograph: LAPD via The Guardian)

 

これら内部文書を入手した「正義・司法のためのブレナンセンター(Brennan Center for Justice)」のレイチェル・レビンソン-ウォールドマン副所長は、次のように述べている:

ソーシャルメディア上の個人情報を警察が把握することには、現実的な大きな危険が伴う。

 

ガーディアン紙は次のように伝えている:

ブレナンセンターは、米国の他の40の警察機関について調査を行ったが、聴取カードにソーシャルメディアの情報収集を義務付けている警察機関は他に見当たらなかった(ただし、多くの警察機関は[聴取]カードのコピーを公開していない)。同センターは、LAPDのソーシャルメディア監視技術に関する記録も入手しており、BLMを含む活動家グループの監視について疑問が投げかけられている。

 

LAPDの聴取カードに “SNSアカウント”の欄が設けられたのは2015年であり、一般市民のSNSアカウントの監視はこの年に始まった。

 

元LAPD署長のチャーリー・ベック氏は次のように記している:

ニックネームやエイリアスと同様に、ソーシャルメディアで使用されるオンライン上の人格やアイデンティティは、捜査にとって非常に有益なものだ。

 

ロサンゼルスタイムズ紙によると、ロサンゼルス市警(LAPD)に呼び止められて個人情報を収集された民間人の半数以上は、逮捕も検挙もされていないという。昨年10月には、ロサンゼルス市警のメトロ部門の3人の警官が、一般市民を呼び止めた際に彼らをギャングのメンバーと偽って聴取カードに記入していたとして刑事告発された。

 

警察が人々のソーシャルメディア情報を入手することは、人々の「友人」やその他のオンライン上のつながりを監視する可能性を招き、さらなるプライバシー問題を引き起こすことになるとガーディアン紙は指摘している。

 

ブレナンセンターのレビンソン-ウォールドマン副所長は、歴史的に見ても、警察当局がフェースブックの写真や「いいね!」の情報を使って、無実の人々を誤って犯罪組織の活動に関わっていると濡れ衣を着せてきたことを指摘している。

 

ガーディアン紙はさらに次のように伝えている:

『ストップLAPDによるスパイ行為同盟(Stop LAPD Spying Coalition)」のハミド・カーン氏は、LAPDが「フュージョン・センター」を通じて連邦政府の法執行機関ともデータを共有しており、これまでにも現場の警官が収集したデータに依存する「予測型治安維持活動(predictive policing)」技術を使用しており、これは有色人種のコミュニティを犯罪者にしてしまう可能性があると指摘している。

 

彼は、現場での聴取カードの使用について、「これは、ストップ&フリスク(制止と所持品検査*)のようなものだ。そしてこれは、監視という明確な目的を持って行われている」と語っている。ロサンゼルス市警は、警察官がグループを調べるためにおとり捜査を行うことを認めており、警察官が偽のSNSアカウントを作成してグループに潜入することも可能だと同氏は指摘している。

 

「ブラック・ライブズ・マター(BLM)LA支部」の共同設立者であるメリナ・アブドラ博士は、ロサンゼルス市警が特定のグループや個人のアカウントを「標的にした追跡」を行っているのではないかと以前から疑っていたが、日常的にこれらの情報が収集されていることを知って驚いたと述べている。彼女は、これが「大規模な監視活動」のごく一部ではないかと懸念している。

(*「ストップ&フリスク」とは、警察官が路上で不審人物を制止して行う職務質問と所持品検査のこと。)

(太字強調はBonaFidr)

 

ブレナンセンターによると、ロサンゼルス市警(LAPD)は現在、警察にサービスを提供しているソーシャルメディア追跡企業であるMedia Sonar社の技術に注目しているという。LAPDの2021年度予算では、「潜在的な脅威や事件が発生する前に対処する」 ために、Media Sonar社のソフトウェアの購入に7万3,000ドル(約800万円)が割り当てられている。

 

Media Sonar社とLAPDの間で交わされた1件のメッセージによると、このソフトウェアは「麻薬/ギャング/武器に関するスラングのキーワードやハッシュタグを常に把握する」ために使用できる他、脅威に対して「すぐに取り掛かるのを支援する」ため「事前に構築されたキーワードグループ」を提供し、「広い網をかける」のに役立つという。

 

ロサンゼルスでは、無実の一般市民が警察に助けを求めるのにもリスクが伴うようだ。

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