「米国がノルドストリームを破壊した。西側メディアは報道しないが」——コロンビア大学ジェフリー・サックス教授がブルームバーグTVで西側メディアの嘘を糾弾
「ノルドストリーム・パイプラインの爆破は、『もちろん米国がやった』と西側メディアの記者たちですら私に語っている。それが西側メディアで報じられることはないが、おそらく米国とポーランドが背後にいる。その証拠は・・・」ーーコロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、10月3日(月曜)に出演したブルームバーグTVの番組内で西側メディアの嘘をこのように糾弾した。番組司会者がサックス教授の発言を遮ろうと慌てふためく様子も放送された。
ジェフリー・サックス教授については、先月、ロバート・F・ケネディJr.氏との対談番組をここで紹介した。
以下はこのインタビューを抄訳したもの(動画開始後10秒あたりから。動画は記事末尾でご確認いただけます)。
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男性司会者:さて次に、コロンビア大学の経済学教授であるジェフリー・サックス教授にお話を聞きましょう。彼による貢献を全て紹介することはできませんが、彼は10年も前からアメリカの教育の崩壊と2つのアメリカ(二極化したアメリカ)の闘争について先頭にいた人物だということに言及したいと思います。
本筋からはそれますが、ジェフ、あなたはウクライナでの戦争についてどう解釈していますか?あなたはロシア、エリツィン時代のロシアについてよくご存じでいらっしゃいます。今週、雑誌『アトランティック』(*)があなたについて取り上げ、シカゴ大学のミア・シャイマー教授と並べて「外野のリアリスト」として紹介しています。
(*雑誌『エコノミスト』と並び、アメリカのエリート層が好んで読むインテリ雑誌。)
人類に対する残忍行為が報道されている中、この侵略戦争に関するあなたのお考えと併せて、プーチン氏に対して私たちはどのように対応するべきなのかをお聞かせください。
サックス教授:はい。『アトランティック』誌の中で、私は平和の側に立っていることを攻撃されました。私は平和の側に立っていることを告白します。私たちが核戦争にエスカレートしていく道を歩んでいることを、私は非常に心配しています。それ以外の何ものでもない道です。
・・・ロシアは、この戦争が自国の安全保障上の核心的利益であると感じています。米国は、ウクライナがロシアを打倒するためであればいかなる支援でもすると断言しています。ロシアは、これを米国との代理戦争と見ています。誰がどう考えても、これは異常で危険なエスカレーションを辿る道です。私はとても恐怖を覚えています・・・
男性司会者:・・・あなたはエリツィンと一緒に(彼の経済アドバイザーとして過去のロシアでの危機を)乗り越えました。あなたはあの時、ゴルバチョフとエリツィンと共にいました・・・1回目の(ロシア経済自由化の)実験が粉々に砕け散った後、あなたがJFK空港で飛行機から降りてくるのを見たのを私は覚えています。あなたにお聞きします。プーチンは孤立していると思いまいすか?それとも軍が彼を支援していると思いますか?
サックス教授:世界の多くは、これらの出来事を恐怖の気持ちで見ています。世界の多くは、このNATO拡張を忌み嫌っていて、それがこの事件の核心であると解釈しています。彼らはアメリカとロシアの間で妥協点を見たいと考えています。
国連で繰り返される採決では、基本的に西側諸国が(ロシアへの)制裁や非難、その他の措置を行うことに票が投じられてきました。一方、世界の大半の国、つまり人口で言えば確実に世界の大半の国は蚊帳の外に置かれて傍観している状態です。彼らは、これをロシアとアメリカの恐ろしい衝突と見ています。彼らは、私たちのメディアで言われているような、ロシアによるウクライナへのいわれのない攻撃とは見ていないのです。
米国では誰もが、「それ以外の何だというんだ?」と思っています。しかし、それは私たちのメディアがこの件について行う報道の仕方が原因です。この紛争は長い間続いており、2022年2月24日に始まったわけではありません。実際、この戦争は2022年ではなく2014年に始まっています。そして、それ(2014年の「マイダン革命」クーデター)すらもそれに先立つ前兆があったのです。
世界の大半の人々は、私たち(西側メディア)が説明するような見方をしていません。世界の大半の人々は、率直に言って、今、ただ恐怖に怯えています。
一方では「必要なら核兵器を使う」と言い、他方では「我々を脅すことはできない」と言っているのを聞くなどとは、信じられないほど異常なことです。
女性司会者:サックス教授、私もあなたの懸念を共有しています。私も正直に話しましょう。週末、私は米国がどのように反撃するかを準備していること、そしてこれら攻撃のいくつかに対して米国ならどのように反撃するかについて複数の記事を読みました。明らかにとても憂慮すべきことです。
さらに問題なのは、あなたがおっしゃるように、ヨーロッパそしてそれ以外の国・地域における経済展望の大変化です。その一部はエネルギー危機によってもたらされています。突然、私たちは第2次世界大戦以来、誰も目にしたことがないインフレーションについて話をするようになっています。潜在的に、また新たなとてつもない軍事介入が行われるという苦悩の最中に、です。
「ハイパーインフレ」とは言いたくありませんが、ドイツ、ユーロ圏での目標値をはるかに超えた「持続的なインフレ衝動」に私たちはどれくらい近づいているのでしょうか?彼らが金利を上げる中、周辺地域が制御不能になるのを抑制するための代替手段を彼らは探しています。
サックス教授:ヨーロッパは非常に急激な景気後退に陥っています。生産量や生活水準の急激な低下も物価の上昇として表れていますが、主な要因は、エネルギーが突然遮断されたことによってヨーロッパ経済が打撃を受けているためです。
そして現在、それを決定的なものにしたのは、ノルドストリーム・パイプラインの破壊です。これは米国の行為、おそらく米国とポーランドの行為であると私は確信しています・・・
男性司会者:ジェフ!話を止めなさい!
サックス教授:(突然、話を止めろと声を荒げる司会者に、サックス教授はショックを受けた様子で、口を真一文字にきつく結んでいる。動画開始後5:03あたり。記事冒頭の写真はその時のスクリーン画像。)
男性司会者:なぜそれが米国の行為だとあなたは感じるのですか?どんな証拠があるんですか?
サックス教授:えー、まず、通常グダニスクに駐留する米軍のヘリコプターがこの地域の上空を旋回していたことを示す直接的なレーダーの証拠があります。また、今年の初めには、米国(バイデン大統領)から、「いずれにせよ、我々はノルドストリームを終わらせるつもりだ」という脅しがありました。
また、先週の金曜日の記者会見で、ブリンケン国務長官は(ノルドストリームの爆発について)「これはとてつもないチャンスでもある」という驚くべき発言をしています。極めて重要な国際的インフラに対する海賊行為をもし心配しているのであれば、それは奇妙な発言です。
(女性司会者が何度も話を遮ろうとするが、サックス教授は話を続ける。)
これが私たちのストーリー(報道角度)とは逆行していることを私もわかっています。西側諸国ではこのようなことを言うことは許されていない。しかし、実際のところ、私が世界中の人々と話したところ、彼らはそれを米国がやったと考えています。私たち(西側)の新聞社に所属する関係記者たちでさえ、「もちろん(アメリカがやった)」と私には言ってくれています。でも、私たちのメディアではそれが表に出てこないのです。・・・
もっと大きな問題は、アメリカとロシアだけでなく、アメリカとチャイナという大きな地政学的な対立があることです。また繰り返しますが、アメリカ側から多大な挑発が行われているので、まさに今、安定感が崩れてきています。今のところ、ヨーロッパの多くの人々は、アメリカは最も近い同盟国であり、彼らは(今の困難に)持ちこたえる必要があると言ってくれていますが、政治的に何が起こっているのかを注視する必要があります。ヨーロッパでは(社会・経済・生活の)大混乱・大激動が起こっています。まさに今、国から国へと(大混乱の状態)です。私たちは、非常に不安定な時代に突入しています。米国も今、不安定な状態です。私たちは暴動を経験したところですが、まだそれが終わったわけではありません。
つまり、私たちは過去何十年間で最も不安定な地政学的時代に突入しているのです。私たちは、40年以上ぶりのハイパーインフレに突入しています。そして、60年ぶりに核(戦争)の崖っぷちへエスカレーションする段階に突入しているのです。60年前のちょうど今月はキューバ・ミサイル危機でした。今はキューバ・ミサイル危機以来、最も危険な瞬間です。
これは異常な過負荷(オーバーロード)の状態です。なのに、これを和らげたり、鎮静化させようという試みは見あたりません。毎日がエスカレーションの繰り返しで、「相手を打ち負かす」、「自分たちには権利がある」、「自分たちが望むもののために立ち上がることができる」、といったことの繰り返しです。ペロシ下院議長が台湾を訪問しました。この大きな不安定性の真っ只中にあって、私たちはあまりに多くの挑発行為を行なっています!
ブルームバーグTVが放送したこのインタビュー動画はユーチューブに投稿されている:
言論検閲しない動画共有サービスRumbleにも、低画質版が投稿されている:
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