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投資業界の大変革:パッシブ運用がアクティブ運用を抜く

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バンク・オブ・アメリカは、これまでの投資資金データの推移から、パッシブ運用がアクティブ運用を抜くのは2022年頃と予測していた(上のグラフ)。しかしその予測が裏切られ、予想より3年も早く、すでにパッシブ運用がアクティブ運用を抜いたと、昨日、Bloombergが報じた

 

つまり、総額8兆ドルと言われる米国の資産運用業界において、人間のファンド・マネジャーが値上がりしそうな株式を選んで投資運用するアクティブ運用から、アルゴリズム(ロボット)やETFによって投資するパッシブ資産運用へと資産の比重が移った。アメリカでは、人間の投資判断に頼る運用ではなく、企業業績などのファンダメンタル分析を行わずにロボットやインデックス・ファンドで資産を運用するのが主流になった瞬間である。

 

MorningStarが発表した未確定の見積もり値を引用しながら、Bloombergは米国株の株価指数をトラッキングしたパッシブ運用の投資信託やETFに投資される資産が、アクティブ運用に投資される資産を、先月、初めて抜いたと報じている。

 

先月8月、アクティブ運用からパッシブ運用に相次いで資産が流れ、株価指標をトラッキングする米国ファンドが運用する資産総額は、4兆2710億ドルとなった。一方、ファンド・マネジャーが投資先を選ぶアクティブ運用されている資産総額は、4兆2460億ドルまで減少している。MorningStarの見積もりでは、今年に入って8月末までに、アクティブ運用から1241億ドルの資産が流出し、逆に889億ドルの資産が米国株のパッシブ運用ファンドに流入している。

 

この変曲点は、数十年の時を経てついに起きたことであるが、プロが大衆よりも賢いから手数料を受け取るという考えに基づいたビジネス・モデルが、根底から覆ったことを意味している。

 

 

この日がついに来てしまった今、パッシブ運用されているファンドはさらに多くの資産を投資家から集めることになる。このビジネス・モデルが低いマージン手数料で成り立つためには、規模を拡大しマーケット・シェアを拡大する必要がある。これが意味することは、ますますファンド手数料は下落し、ますます多くの資産がアクティブ運用からパッシブ運用に流れ、そして資産運用市場は急速にマイケル・ビュリー氏が警告する「シンギュラリティー」に近づいていることになる。そのシンギュラリティーとは、マーケットがひどく非効率化し、株価のファンダメンタルから乖離してしまい、ついにパッシブ運用というバブルが弾けることである。

 

マイケル・ビュリー氏がパッシブ運用に投資資金が流入していると警告を発していることについてはここで報じた

 

米サブプライム・ローン市場の破綻を予言したマイケル・ビュリー氏、次の破綻はインデックス・ファンドが引き起こす

 

 

株価指標に連動したファンドへ投資することは、各企業業績のファンダメンタルズを反映していないだけでなく、その企業に関する新たな情報を無視してしまっている。逆に、その株式が株価指標に含まれているという理由だけで、投資資金が流入するという「フィードバック・ループ」を生み出している。このフィードバック・ループにより、パッシブ運用の人気が高まるほど、アクティブ運用は意味を成さなくなる。これにより、ますますアクティブ運用からパッシブ運用に投資資金が流れることになる。

 

この問題の原因の一つは、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会にある。連邦準備制度理事会は、その金融政策により、過去10年間、市場が修正局面を迎えることを不可能にしてきた。これにより、値下がり局面や値上がり局面を正しく判断することで投資利益を出すことができにくくなり、アクティブ運用を行なっている投資家達から「生活の糧」を奪い去ってしまった。

 

しかし、米国以外のインターナショナル株式ファンドでは、依然としてアクティブ運用されているファンドがパッシブ運用されているファンドよりも扱う資産規模が大きい。ただしこの両者のギャップも狭まりつつある。

 

また、日本では日銀が大量に日本株ETFを購入していることが知られており、日本でもアメリカと同様の現象が起きている。

 

米国銀行業界の重鎮、ジェイミー・ダイモン氏も、一昨日行われた業界カンファレンスにおいてスピーチを行い、次のように金融業界の展望を語っている

 

現時点における金融業界の戦いは、優秀なトレーダーを雇用するよりも、IT分野で起きている。

 

金融業界はますます人間が不要になっており、あえて必要とするのはITエンジニアになっているようだ。金融業界は、いずれIT業界の一部に飲み込まれるのかもしれない。

 

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