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中央銀行は偽物の市場を作り出してしまった|バンク・オブ・アメリカの最高投資責任者が最新の報告書で分析

中央銀行は偽物の市場を作り出してしまった|バンク・オブ・アメリカの最高投資ストラテジストが最新の報告書を発表

Photo via Pixabay

 

ウォール街の金融機関では、マクロ・ストラテジストたちの仕事はお払い箱になってしまったようだ。

 

これまでマクロ・ストラテジストたちは、その名の通りマクロ分析を行うことで、リスク資産の将来予測を行ってきた。企業の財務状況や経済データのファンダメンタルズ分析を行い、企業の収益性と金利(これらはマクロ視点による資産分散を行う際の2大要因)を査定し、それを元に「大局的な」視点に立った取引をアドバイスしてきた。しかし、こうしたマクロ・ストラテジストの仕事は無意味なものになってしまった。各国の中央銀行が市場の価格発見(price discovery)機能を乗っ取ってしまった現在、資産価格は、中央銀行による流動性の投入(量的緩和)と資産価格の下落防止対策(バックストップ)によってのみ決定されている。ドイツ銀行のスチュアート・スパークス氏がこれを的確に表現している:

 

これらは管理された市場であり、市場の動向は、連銀と財務省の政策目標と彼らが政策実施のために利用する手段によって決定づけられている。

 

 

連銀と財務省が作り出したこうした偽物の株式市場は、分析する意味がもはやないだけでなく、マクロ分析を生業としてきたウォール街の専門家たちにとって、彼らの仕事がもはや価値のないものになってしまったという解雇通告を受けるに等しい感情を引き起こしている。バンク・オブアメリカ・メリルリンチの最高投資ストラテジストであるマイケル・ハートネット氏は、最新の報告書『The Flow Show』の中で次のように記している

 

(これらは)偽物の市場であり、国債と社債の価格は各国の中央銀行によりあらかじめ決められている・・・(このような状況で)株価が合理的に値付けされると誰が期待するだろうか?

 

 

過去8週間で全米では3800万人が失業し、2020年〜2021年のグローバルGDPが10兆ドルも失われると予想される中、世界の株式市場の時価総額は15兆ドルも急騰している。これは合理的で理性のある世界ではない。各国の中央銀行が4兆ドルの資産買い入れにより経済損失の穴埋めを行った結果、世界の株式市場の時価総額はこれだけ急騰しているにすぎない。

 

投資市場に渦巻く混乱を受けて、株式市場が底値を記録してからマイケル・ハートネット氏が投資家たちから最も頻繁に質問される6つを挙げている。これら質問には、「誰が倒産しそうか?」、「再び底値が試されるのはいつになるか?」、そして「株式市場が現実から完全に切り離されてしまっているのはなぜか?」といったものが含まれている。これら質問に対して、ハートネット氏は次のように回答している:

 

  • 偽物の市場:(これらは)偽物の市場であり、国債と社債の価格は各国の中央銀行によりあらかじめ決められている・・・(このような状況で)株価が合理的に値付けされると誰が期待するだろうか?

 

  • 文脈:3042社のグローバルな株式のうち2215社は下げ相場(ベア・マーケット)(各株価の史上最高値から20%以下)に留まっている。15兆ドルも株価が反発していることは、2月・3月に30兆ドル暴落したという文脈において考える必要がある。

 

  • 歴史:1929年、1938年、1974年に起きた下げ相場(ベア・マーケット)は、(平均49%下落した後の)底値から平均61%回復した・・・今回の反発でSPX(S&P500種株価指数)は3180まで上昇するだろう。

 

  • ポジショニング:バンク・オブ・アメリカの5月グローバル・ファンドマネジャー調査では・・・10人中たった1人しかV字回復を予想しておらず、10人中8人はU字もしくはW字の回復を予想している。そして10人中7人は、すでに現在、下げ相場であると語っている。バンク・オブ・アメリカのブル・ベア指標は、0(以下のチャート)を示しており、投資家たちが依然として非常に弱気(ベアリッシュ)であることを示している。

 

 

  • 政策:過去8週間、各国の中央銀行は1時間毎に24億ドル分の金融資産を買い入れている(これはこの先数週間で6億800万ドルまで逓減する)。

 

  • 二極化:株価の反発は、「成長株」、「高配当株」、「クオリティ株」に集中している・・・FAAMG株の時価総額>新興市場、MAGA株>ユーロ圏、米国ヘルスケア分野>米国以外のグローバル銀行株

 

クライアントに投資アドバイスを行うというのがハートネット氏の仕事である。これらを念頭に、ハートネット氏の投資アドバイスを見てみると、市場と実体経済が分断されているというのが彼のアドバイスの中にも見てとれ、強気と弱気が混在している。

 

  • 戦術的には強気:ポジションニングとしては依然として弱気と考えるべきであり、政策立案者たちが「モラルハザード」を引き起こしている。これにより2020年、投資家たちは買い、銀行は貸し出し、ゾンビ起業は(社債の)起債を強要されている。しかしテクニカル分析では大きな水準が目前にまで迫っている(SPXは3000、NDXは10000、DXYは100)。

 

  • 構造的には弱気:政策立案者たちが税金、関税、規制により(経済へ資金を)払い戻すことを要求しているため、一株当たり利益は、2020年の下落傾向を乗り越える可能性のほうが高い。米国の金利がマイナスになる可能性、銀行による配当金へかけられたプレッシャー、大統領選挙、そしてピークに達したグローバリゼーションが、この秋、明確になる。

 

 

しかし、連銀による注入資金や財務省によるアメリカ国民への救済金が、株価を上向かせるために使われるかどうかというのは議論の余地がある。ハートネット氏はより具体的に次のように分析している:

 

  • 積み上がった現金はピークに到達:過去8週間、(投資資産から)1兆ドルが現金化された。今週、2月19日以来初めて、現金から投資への逆流(59億ドル)が起きた。

 

  • (市場を牽引する)リーダーたち:月曜、2011年以来、1日としては5番目の規模となる投資資金(12億ドル)がテクノロジー・セクターに流入した(2019年7月以来最大)。過去8週間で167億ドルの投資資金がヘルスケア・セクターに流入。

 

  • ラガード(活気のないセクター):小型株は愛されるべきである。新興市場への愛情はない・・・今週、2019年12月以来、最大の投資資金(19億ドル)が米国小型株へ流入した。新興市場の債券と株式市場からは38億ドルが流出した。

 

 

■ 「ババ」をつかまされるのは常に情報弱者の大衆

 

現在の下げ相場における株価の反発について、同氏はさらに分析を行っている。過去6週間連続して、「情報通の投資家(スマート・マネー)」と言われる投資家たちのほとんどは株式市場から資金を引き上げており、それを買い取って株価を上昇させているのは個人投資家たちであると指摘している。

 

これと同じことをブルームバーグが本日5月22日に報じている。自宅待機命令が世界各地で発令され、時間を持て余した個人投資家たちが、デイトレーダーとして株だけでなくオプション取引や複雑なETFの売買を大量に行っていることを報じている。しかし彼らのほとんどは、投資の元本を回収するどころか大火傷をするだろうと予想されている。

 

その理由として、バンク・オブ・アメリカは次の2つのチャートを示している。「情報通の投資家(スマート・マネー)」(上のグラフExhibit 3)は、株価と連動して株式市場への投資資金を増減させているのに対して、下層90%の個人投資家たちは、株式市場とは全く逆の動き(下のグラフ)で株式市場へ投資資金を増減させている。つまり、大衆投資家たちは、歴史的に見ても常に「ババ」をつかまされていることをこのグラフは示している。そして過去6週間においても、この状況は同じであるとバンク・オブ・アメリカとブルームバーグは口を揃えて指摘している。

 

(Source: BofA Global Investment Strategy)

 

 

(Source: BofA Global Investment Strategy)

 

 

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