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米連銀はアメリカ国民の税金でトヨタ、フォルクスワーゲンなどの外国企業を救済|連銀は無期限の買い入れを行っている社債の企業名を公表

米連銀はアメリカ国民の税金でトヨタ、フォルクスワーゲンなどの外国企業を救済|連銀が無制限の買い入れを行っている社債を公表

連邦準備銀行ビル(Photo via Flickr)

 

2週間前、米連銀(FedもしくはFRBと略される)は無期限の量的緩和の一環として、(ETFとしてではなく)社債の買い入れを再び行うと発表した。この発表により市場では多少の上昇ラリーが起きていた。連銀が無期限の量的緩和を実施すると最初に発表したのは3ヶ月前だったが、機関投資家が株の売買を自動で行っているアルゴリズムや、最近の株価高騰を牽引している個人のデイトレーダーたちは、この3ヶ月前のニュースに反応を示していなかった。

 

しかし一見古いニュースに思える2週間前の連銀の発表には、新たな情報が含まれていた。

 

3月にマクロ経済に精通した投資家ジム・ビアンコ氏が寄稿した解説記事を読んだ人は、その中に「セカンダリー・マーケット社債ファシリティーSMCCF(Secondary Market Corporate Credit Facility)」と呼ばれる、連銀による新たな資産買い入れプログラムがあったのを覚えているだろうか。このプログラムには2種類の投資資産カテゴリーが含まれており、それらは「投資適格個別社債」と「投資適格ETF」である。

 

そして6月15日(月曜)、連銀はこの資産買い入れプログラムの「セカンダリー・マーケット社債ファシリティー(SMCCF)」に3番目の投資資産カテゴリー「投資適格ブロード・マーケット・インデックス社債」を追加した。この新たに追加された投資資産カテゴリーにより、連銀は、当初予想されていたよりも大量の個別社債を、すぐさま買い入れることができるようになる

 

そして6月28日(日曜)、連銀はこの「投資適格ブロード・マーケット」の社債インデックス(指数)を構成する社債をついに公表した(エクセル・ファイル)。連銀が新たに買い入れを行うこれら社債には794社の社名が含まれており、自動車メーカー大手のトヨタや、フォルクスワーゲン、ダイムラーから、ティファニー、ワーナー・メディアなどまで多岐に渡る。

 

今回の発表に関して連銀は声明の中で次のように記している:

 

「ブロード・マーケット・インデックス」は、「投資適格ブロード・マーケット・インデックス社債に関する条件規約書」で指定された基準を満たすセカンダリー・マーケットの社債について、その幅広く分散された母集団を構成する社債をトラッキングすることを広く意図している。ただしこの条件規約書が指定する発行人レベルの上限値が一般的に適用される。それは最低4、5週間ごとに再計算されるが、買い入れに適格の社債リストは、適格要件を新たに満たす、もしくは逆に満たさなくなった社債を追加・削除するために、それよりも頻繁に更新される。「ブロード・マーケット・インデックス」は、おおよそ1ヶ月に1度発表される

 

この社債インデックスに占める加重比率が大きい上位10社は以下の通りとなっている:

 

(出典:ニューヨーク連銀

 

 

連銀が新たに買い入れを行う社債インデックスの上位6社で、インデックス全体の10%を占めている。さらにその中で最大を占めているのが外国(非米国)企業のトヨタとフォルクスワーゲンとなっている。そのため、アメリカの中央銀行にあたる連銀が、外国企業の社債を買い入れ救済することが、はたしてアメリカの中流階級を助けることになるのだろうか?という疑問が起きている。トヨタやフォルクスワーゲンは米国内に工場がありアメリカ人労働者を雇用しているとはいえ、全人口に占める割合は微々たるものである。

 

さらに、連銀はAT&Tや、Apple、Verizonの社債についても大量に買い入れを行っている。少なくともこれらは米国企業であるが、Appleの社債を買い入れ、同社の自社株買いを支援することが、はたして(株式などほとんど保有していない)アメリカの中流階級を助けることになるのだろうか?という疑問も生んでいる。

 

「初日に実施された2億700万ドル分の買い入れのうち、約21%は非景気循環的な耐久消費財セクターの企業が起債した社債であり、15%は景気循環的な耐久消費財セクター、そして10%はテクノロジー・セクターとなっている」とブルームバーグは報じている。

 

そして興味深いのは、連銀が買い入れを行った社債のうち3.6%がジャンク債であるということだ。

 

このように、コロナ災禍によって疲弊してしまった米国経済と中流階級を救済する名目で連銀が実施している無期限の量的緩和は、その中身を見ると実はミドルクラスを救済する役に立っているのか疑わしい点が含まれている。

 

歴史的に見ても米国の中流階級は減少の一途をたどっており、すでに現在、その割合はチャイナ、トルコ、ロシアと同レベルにまで下がっている。(以下のグラフ)

 

 

一方、連銀に最も多くの社債を売却している金融機関のリスト(以下)についても連銀は公表している(エクセル・ファイル)。そのトップ4銀行は、モルガンスタンレー、バンク・オブ・アメリカ、RBC、そしてバークレイズとなっており、このうち2行は外国銀行である。このリスト中には、みずほ証券や大和証券の関連米国企業も含まれている。

 

(出典:ニューヨーク連銀

 

 

アメリカ国民の税金を使って連銀が多額の社債を直接買い入れることで、社債価格が吊り上がり、市場を支える役割を果たしている。しかし、こうした金融政策は社債価格がファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)からますます解離するという歪みを生んでいる

 

そして連銀は、アメリカの中央銀行であるにもかかわらず、アメリカ人納税者(特に中間層)の利益となる金融政策を行っていないという批判が起きている。しかし、その批判はその前提が間違っていることを多くの人は知らない。連銀は社会公共の利益のために存在している公的機関と考えている人が多いが、実際は連銀は民間機関なのである。日本銀行とは異なり、アメリカの連銀は一握りの商業銀行によって所有されていることは、昨年、イングランド銀行も指摘している。(本サイトでも、ここで以前指摘した。)つまり、アメリカの中央銀行は、その所有者である一部の商業銀行の利益を第一に考えて行動しているのかもしれない。

 

 

アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度の構造

 

出典:連邦準備制度理事会

 

 

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