反トランプ共和党グループ「リンカーン・プロジェクト」が弁護士事務所に圧力をかけペンシルバニア州の訴訟を取り下げさせる|トランプ弁護団はミシガン州、ペンシルバニア州、アリゾナ州で苦戦が続く
ペンシルバニア州の選挙結果に異議申し立て訴訟を起こしているトランプ陣営の弁護士事務所Porter Wright Morris & Arthur LLP(以下、ポーター・ライト)は、11月12日(木曜)午後、訴訟案件の一つを取り下げると発表した。
ポーター・ライト弁護士事務所はその理由を明らかにしていないが、ここが「リンカーン・プロジェクト」によって標的にされているトランプ陣営の2つの弁護士事務所の1つであるとブルームバーグ通信は報じている。「リンカーン・プロジェクト」とは、「ネバー・トランパー」と呼ばれる反トランプの共和党グループであり、トランプ大統領を引きずり下ろすことに注力していることで知られている。
今週火曜、「リンカーン・プロジェクト」グループは、人々にSNSのLinkedIn(リンクトイン)に登録し、ポーター・ライト弁護士事務所と、もう一つのジョーンズ・デイ(Jones Day)弁護士事務所の社員を個人的に標的にするよう呼びかけていた。そしてこれら弁護士事務所の社員たちに対して、「アメリカ国民の意思を覆そうとしている組織で、どうすれば勤務できるのかと質問するように」と呼びかけていた。
以下は「リンカーン・プロジェクト」が実際に人々に呼びかけているツイート:
Defend your democracy:
— The Lincoln Project (@ProjectLincoln) November 10, 2020
1. Created a LinkedIn account.
2. Message someone who works at @JonesDay or @PorterWright.
3. Ask them how they can work for an organization trying to overturn the will of the American people. https://t.co/Q3NR5xM4tjhttps://t.co/65DOcAUHYb
【訳】君たちの民主主義を擁護しろ:
1. LinkedIn(リンクトイン)のアカウントを作る
2. ジョーンズ・デイ弁護士事務所もしくはポーター・ライト弁護士事務所で勤務している人たちにメッセージを送る
3. アメリカ国民の意思を覆そうとしている組織で、どうすれば勤務できるのかと質問する
そして実際に、これら弁護士事務所の社員が受け取ったメッセージが投稿されている:
https://twitter.com/divakeys/status/1326214623008337920
【訳】(eメールのメッセージ)
ヘイ、あんたら2人(訳者注:ピッツバーグ特有の方言でyinz)(俺もピッツバーグ出身だ)
ペンシルバニア州民は投票した。合法的に。歴史の間違った側にお前たちは身を落とす必要はない。俺が言うことを信じろ。それ(歴史の間違った側に身を落とすこと)は生やさしいことじゃない。
トランプ側の最新の陰謀論(セントラルパーク5/出生地主義/(不法移民)キャラバン/メキシコが国境の壁に資金を出す/等々)にお前たちが入れ込むことは、お前たちが現在、自分たちの良心を見つけることにトラブルを抱えていることを示している。
お前たちはそれ(良心)を見つけることができる。俺はお前たちを信じている。
敬具
1人のピッツバーグ民
Sent to all of the US based employees starting with the letter A. pic.twitter.com/5gSiTzY4GS
— Scot 🇺🇸 🇺🇦 (@scottieb1025) November 10, 2020
【訳】(引用されたリンカーン・プロジェクトのツイート)あなた方が(実際に送った)メッセージのスクリーンショット画像をつけて返信しろ。
+++
アルファベットのAから始まる、米国を拠点としている社員全員に送信した。
(添付されたeメール)
件名:アメリカの民主主義に対する攻撃
あなたの会社が、積極的にアメリカ国民の意思を転覆させようと動いていることについて、あなた方がそれを支持しているのか世界に知らせてください。私は個人的に、あなた方の反アメリカ的で反民主主義の立ち位置に吐き気を催している。あなた方とあなた方の会社は恥を知るべきだ。ドナルド・トランプからのこのような偽りの申し立てを支援することに対して。
敬具
スコット・ベネット
トランプ陣営の広報責任者であるティム・マートー氏は、弁護士事務所が訴訟案件を取り下げることになったのは、こうした「キャンセル・カルチャー」のせいであると非難している:
極左の暴徒たちは、トランプ大統領陣営の代理人を務めている弁護士たちの一部に対して襲いかかり、彼ら(弁護士たち)は屈服した。もし標的となったのがドナルド・トランプ以外の人物であれば、メディアはその不当な行為について悲鳴を上げ、法的代理人を立てる基本的な権利を声高に叫ぶだろう。大統領のチームは阻止などされない。そして全てのアメリカ国民に自由で公正な選挙を保証するために、盤石の弁護団と共に前進する。
「キャンセル・カルチャー」を支持する人たちは、今回の活動の「成果」をツイッターに投稿している:
UPDATE: On Wednesday, Popular Information reported on the corporate clients of Porter Wright, a prominent law firm helping Trump try to undermine democracy in court
— Judd Legum (@JuddLegum) November 13, 2020
Late Thursday, Porter Wright announced it would no longer represent the Trump campaign https://t.co/MzjXb94Bgs pic.twitter.com/xmJhv35fQe
【訳】更新:法廷で民主主義を土台から壊そうとするトランプを援助している有名弁護士事務所のポーター・ライト、その法人クライアントたちについて、水曜、Popular informationが報じた。
木曜遅く、ポーター・ライト弁護士事務所はトランプ陣営の代理人を降りると発表した。
しかし、ポーター・ライト弁護士事務所とは関係のない別の弁護士が、ペンシルバニア州のウィリアムズポートで起こされたこの訴訟を担当し続ける予定。ブルームバーグ通信は次のように報じている:
この訴状は、同州の選挙結果が疑わしく信用できないと主張している。その理由は、同陣営(トランプ陣営)が、民主党寄りの郡における票集計作業を監視するのに、十分なアクセス権を与えられなかったためである。この訴訟に関する公判は、11月17日に予定されている。
同様に、票集計プロセスにおける選挙監視人たちのアクセス権を根拠に、票集計結果に対して異議申し立てを行なっている訴訟案件がペンシルバニア州最高裁に向かっているが、ポーター・ライト弁護士事務所がこの案件のトランプ陣営の代理人となっている。同弁護士事務所は、票に欠陥があるとしてそれらを無効化するべく、郡レベルでさらに数件の異議申し立て訴訟を行っている。ポーター・ライト弁護士事務所がこれら訴訟の代理人からも降りる意図があるかについては不明である。–Bloomberg
ポーター・ライト弁護士事務所でトランプ陣営のための訴訟作業を統括してきたのは、同社ピッツバーグ事務所で選挙法を専門とするパートナーのロナルド・ヒック氏。
■ トランプ陣営は票の受付期限に対するペンシルバニア州での不服申し立てに敗訴
ポーター・ライト弁護士事務所が訴訟案件を降りると発表した数時間後、ペンシルバニア州上級裁判所は、同州における9300票以上の郵便票の受付期限に対してトランプ陣営が起こしていた訴えを却下した。
ペンシルバニア州が選挙日当日後に不在者投票の締切期限を設定したことに対して違憲訴訟が起こされたが、それを却下する下級裁判所の命令を第3巡回区控訴裁判所は支持した。下級裁判所は次の命令を下していた:
・・・我々の民主主義プロセスにおいて論争の余地がない判断に徹して我々はそれを行う:つまり、どの国民のものでも、合法的に投じられた票は集計されなければいけない。
しかし、この訴訟とは別に、連邦最高裁に提出された訴訟が継続中であるため、ペンシルバニア州で選挙日後に届いた票の運命はまだ結審がついていない。
■ アリゾナ州で票の審査を求める訴訟をトランプ陣営が撤回
ケイリー・マクナニー大統領広報官は、この日、大統領は依然として2期目を務めるつもりであると記者団に語った。しかしトランプ陣営の弁護団にとっては、11月13日(金曜)は挫折が続いた。
トランプ陣営はアリゾナ州の裁判所に提出した書類の中で、「昨日の公判が終了して以降、州全体における票集計のレンダリングにより、大統領選の選挙人に関して司法判断を仰ぐ必要がない状態となった」と記している。しかし、大統領選以外の2件の下位選挙については、依然として審査請求への裁定を求めている。
このアリゾナ州の訴訟は、先週土曜に起こされていた。選挙日当日、一部の投票者たちが混乱し、共和党寄りの地域で一部の票が票集計マシーンによって間違って報告されたと主張していた。
こうした票は、いわゆる「投票過多(overvotes)」と呼ばれ、票集計マシーンによって誤った表示がされた票。実際、そのような「投票過多(overvotes)」は見つかっているが、その数は両候補の各得票数の差を埋めるレベルには達していない。昨日行われた6時間にわたる公判の中で、トランプ陣営の1人の弁護士が司法判断を求める要請を撤回した。さらに、同弁護士は、トランプ大統領がこれら票(投票過多)の100%を獲得することはできないため、もし勝利するために必要な得票差に達した場合にのみ、異議申し立てを行うと語った。
アリゾナ州マリコパ群と州務長官の代理人である弁護団は、票集計マシーンによって191票が「投票過多(overvotes)」としてフラグが上がったと語っている。
アリゾナ州の州務長官は、金曜、同州における得票差は1万票を僅かに超えている程度と発表している。
■ ミシガン州の判事は、票の認証の阻止を求めるトランプ陣営の申し立てを却下
この日、トランプ陣営の弁護団にとっては悪いニュースが続いた。ミシガン州デトロイトでバイデン候補が勝利したことを認証することを阻止しようとする2人の投票立会人による申し立てを、同州の判事が却下した。これをブルームバーグ通信が報じている。さらに、この判事は、選挙に対する監査請求も却下した。
金曜、巡回裁判所のティモシー・ケニー判事は、ミシガン州で最大の都市(デトロイト)における票集計を認証することを停止させる理由、また票集計に対して監査命令を出す理由をこの訴訟は示すことができなかったと判断した。
ケニー判事を前に水曜に行われた公判で、デトロイト市の代理人であるデービッド・フィンク弁護士は、トランプ陣営による不正選挙という「根拠のない陰謀論」を後押しするいかなる命令を下さないよう牽制していた。
ミシガン州におけるこの判決については、アンドルー・フライシュマン氏が詳しくツイッターに連続投稿している:
A Michigan judge has denied the Trump campaign's motion to cease certification of the vote in Detroit, noting that if the election challengers had attended orientation, they would know that what they were witnessing was routine.https://t.co/iU0BB9Wqoa pic.twitter.com/Wgos3XPUoX
— Andrew Fleischman (@ASFleischman) November 13, 2020
【訳】ミシガン州の判事は、デトロイトでの票を認証することを差し止めるトランプ陣営の請求を却下した。もし選挙立会人たちがオリエンテーションに参加していれば、彼らが目撃したことは一連の決められた動作であると分かっていただろうと記している。
トランプ陣営は、同様の訴訟をミシガン州の連邦裁判所にも起こしており、主にデトロイトがあるウェイン群で不正選挙が行われた疑いがあるにもかかわらず、同州の投票結果を認証しないよう求めている。
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