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「デルタ株」はワクチン抗体や自然免疫を突破することが可能【情報追加】——雑誌「ネイチャー」に掲載された新研究より

Photo via Flickr

ファイザー社製やアストラゼネカ社製のコロナ・ワクチンのデルタ株(インド型変異株)に対する有効性に関して、新たな研究結果が雑誌「ネイチャー」に掲載された。ニューヨーク・タイムズ紙が同研究について7月8日(木曜)に紹介した。

 

7月8日(木曜)に「ネイチャー」に掲載された研究結果『SARS-CoV-2のデルタ型変異株の抗体中和に対する感受性の低下Reduced sensitivity of SARS-CoV-2 variant Delta to antibody neutralization)』は、デルタ株がワクチン接種や事前の感染によって作られた抗体を迂回することができると結論づけている。

 

デルタ株(インド型変異株)は、アルファ株(イギリス型)よりも大体60%感染力が強いと考えられている。米国では、今週の新規感染者数が先週から二桁成長(ただし入院件数と死亡件数は横ばい)している中、デルタ株が主流となっていると宣言されている

 

今回、雑誌「ネイチャー」に研究結果を発表した研究者たちは、デルタ株は効果的に抗体反応を回避することができるが、南アフリカで初めて発見されたベータ株は、それよりもさらに簡単に抗体反応を回避できることを発見している。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は次のように同研究を紹介している:

研究者たちは、コロナウイルスに感染した103人の血液サンプルを調べた。このグループの中でワクチン接種を受けていない人のサンプルに対して、デルタ株(インド型)はアルファ株(イギリス型)よりもはるかに感度が低かったことが判明した。

 

1回のワクチン接種で感度が大幅にアップした。これは、COVID-19感染症から回復した人でも、いくつかの変異株を防ぐためにワクチンを接種する必要があることを示唆している。

 

この研究チームは、ワクチン接種済み59人のサンプルも分析しており、アストラゼネカ社またはファイザー/BioNTech社のワクチンを接種した1回目と2回目の後でそれぞれ分析を行った。

 

実験では、アストラゼネカ社またはファイザー/BioNTech社のワクチンを1回接種した人のわずか10%の血液サンプルしか、デルタ株(インド型)とベータ株(南アフリカ型)の変異株を中和することができなかった。しかし、2回目の接種でその数値は95%にまで上昇した。また、これら2種類のワクチンで得られた抗体のレベルに大きな違いはなかった。

 

研究者たちは、「ファイザー社またはアストラゼネカ社のどちらか一方のワクチンを1回だけ投与した場合、ベータ株とデルタ株の変異株に対する効果は低いか、まったく効果がない」と結論づけた。イスラエルと英国のデータは、この結果をおおむね裏付けているが、これらの研究では、ウイルスによる入院や死亡を防ぐためには、1回のワクチン接種でも十分であることが示唆されている。

 

また、デルタ株は、イーライリリー社が製造するモノクローナル抗体カクテル「バムラニビマブ(bamlanivimab)」のような抗体ベースの治療法にも耐性があることが判明している。

 

イスラエル保健省は、現実世界でファイザー社製ワクチンが発病を伴う感染を防ぐ効果はわずか64%である発表している。ファイザー社は、2020年に行われた臨床試験での有効率は約95%とツイッターで発表していた。入院を必要とするような深刻な症状や死亡を防ぐ効果は、依然として93%あるとイスラエル保健省は発表している(しかしファイザー社は、当初、入院と死亡を防ぐ効果は100%だと主張していた)。

 

* * *

 

デルタ株に対するワクチンの有効性に疑問符がつき始めているにもかかわらず、アンソニー・ファウチ所長はファイザー社、モデルナ社、そしてJ&J社が開発したコロナ・ワクチンはいずれもデルタ株に対して有効であると7月8日(木曜)に語っている。

 

この変異株は、パンデミックの新たな波を引き起こす可能性があるとして、各国の公衆衛生当局が注目している。しかし、疫学者たちが一般国民に明かさないのは、新型コロナ(武漢ウイルス)は今や人々の間で「風土病(エンデミック)」になっており、「感染ゼロ」を達成することは不可能であるということである。

 

一方、製薬企業は、次々と出現する変異株に対応するための3回目のワクチン接種「ブースターショット」を促進することで利益を上げようと躍起になっている。

 

もしファウチ所長が言うように既存のコロナ・ワクチンがいずれもデルタ株に有効であるならば、「ブースターショット」は不要のはずである。しかしファイザー社と同社のパートナーBioNTechは、7月8日(木曜)、デルタ変異株に対する防御を強化したコロナ・ワクチンの3回目の接種「ブースターショット」について、FDAの認可を求めると発表した。これら2社は、デルタ株をターゲットにした「ブースターショット」を開発中であり、8月から臨床試験を行う計画であるとこの日発表している

 

ファイザー社は、声明の中で同社製ワクチンのデルタ株に対する有効率は約64%であるというイスラエル保健省のデータを言及しながら、次のように発表している:

ファイザー社とBioNTech社は、これまでのデータを総合的に判断し、最高レベルの防御機能を維持するためには、2回目の投与から6~12ヵ月以内に3回目の投与を行うことが有効であると考えている。

 

しかしThe Hillは次のように専門家の意見を紹介している

専門家の中には、ワクチンメーカーがブースターショットを開発することに金銭的なインセンティブを持っており、政府がさらに多くのワクチン投与に投資することにも金銭的なインセンティブがあると警鐘を鳴らす人たちがいる。

 

米国の保健当局者たちは、これまでのところ、ブースターショットが必要かどうかは明らかではないと述べている。

 

バイデン政権はワクチン未接種の世帯をドア・ツー・ドアで個別訪問して接種率を高める計画があると発表したが、米食品医薬品局(FDA)の元局長であるスコット・ゴットリーブ医師は、「人々がどのように免疫を獲得するかは選べる」とテレビ出演時に語っている:

【訳】デルタ型の感染力の強さを考えると、(全米の)人口の約85%が最終的に新型コロナウイルスに対するある程度の免疫を持つことになる。現在のペースで感染が広がるのが収束するのはその後だ。人々は免疫を獲得する方法を選ぶことができる:ある者はワクチン接種によって、ある者は自然感染によって免疫を獲得する。

(太字強調はBonaFidr)

 

【追加情報】米CDCとFDAは7月8日(木曜)夜の共同声明の中で、2度のワクチン接種を完全に終えた人々はブースターショットは現時点では不要と発表している

 

米国人口の約48%が完全なワクチン接種を終えている。

 

訳】(引用されたJosh Wingroveのツイート)

CDCとFDAは、異例の夜間の共同声明(添付画像)を発表した。その中で3回目の接種(セカンド・ブースター)の承認を求めるというファイザー社の発表に抵抗した。

 

「完全なワクチン接種を終えたアメリカ人は、現時点ではブースターショットは不要である」と発表している。

 

(元NYタイムズ記者アレックス・ブレンソン氏のツイート)

彼らは嘘の辻褄を合わせ続けることすらできなくなっている

(太字強調はBonaFidr)

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