フェースブックが全世界で発生したサービス障害について謝罪:「悪意ある行為はなかった」——同社の内部告発者が議会証言を行う前日に障害が発生したことは単なる偶然か?
フェースブックのエンジニアリングチームは、FacebookおよびWhatsApp、Instagram、Facebook Messengerなどの関連製品が、米国時間の10月4日(月曜)に約6時間にわたって世界的なサービス障害を起こしたことについて、「不便をおかけして申し訳ありません」との声明を発表した。
この声明では次のようにサービス障害の原因を説明している:
当社のデータセンター間のネットワーク・トラフィックを調整するバックボーン・ルータの設定変更により、今回の通信を中断する問題が発生しました。このネットワーク・トラフィックの寸断は、当社のデータセンターの通信手段に連鎖的な影響を及ぼし、当社のサービス停止を引き起こしました。
また、この声明では次の点を強調している:
今回のサービス障害の背後には悪意ある行為はありませんーー根本的な原因は当社側の誤った設定変更です。また、今回のダウンタイムの結果、ユーザーデータがセキュリティー侵害を受けたという証拠もありません。
(太字強調はBonaFidr)
しかし、今回の大規模なサービス障害が発生したのは、フェースブックの内部告発者であるフランシス・ハウゲン氏が連邦議会で証言する前日のタイミングだった点は指摘しておかなければいけない。
米国時間の10月5日(火曜)、ハウゲン氏は、フェースブックが「人々よりも天文学的な利益を優先している」と議員たちに訴えている。さらに彼女は、フェースブックの製品が「子どもたちに危害を加え、分裂を煽り、民主主義を弱体化している」とも証言した。
フェースブックにとって都合の悪い証言が議会で行われる前日に、サービスの大規模障害が発生したというのは偶然と呼ぶにはあまりにタイミングが良すぎであり、内部告発者が議会で証言を行うというニュースをかき消すものとなっている。
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先週木曜、コネチカット州選出のリチャード・ブルーメンタール上院議員(民主党)は、強力な権力を持つ上院商業委員会の小委員会を率いて、フェースブックの安全性に関するグローバル責任者であるアンティゴン・デイビス氏を厳しく問い詰めた。これは、フェースブック社の内部告発者であるハウゲン氏がリークし、ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙がスクープ報道した大量の内部資料について問いただすことが目的だった。
リークされたこれら大量の資料によると、Instagramは精神衛生上良くないと答えている10代の少女たちの割合は驚くほど多いことが示されている他、北アフリカおよび中東地域では、サウジアラビアやその他の裕福な湾岸諸国に現代版の奴隷を勧誘するためにフェースブックが使われていることも暴露されている。そしてフェースブック社はこれらの問題を認識していた。
ブルーメンタール上院議員が開いた議会公聴会の動画:
内部告発者のフランシス・ハウゲン氏は、10月3日(日曜)に放送されたインタビュー番組「60 Minutes」にも出演し、フェースブックは自社製品が人々の自己肯定感に危害を加えている証拠を意図的に隠し、いわくありげな「デマ情報」を煽り、新興国での紛争を助長していると語っている。これらはすべて自社の利益を最大化するためだとハウゲン氏は語っている。さらに、彼女が発見した内容によると、フェースブックの取り組みが良い変化をもたらしているという同社の主張は嘘であるとも示唆している。
ハウゲン氏が出演した「60 Minutes」の番組動画:
10月5日(火曜)にハウゲン氏が行った議会証言の動画:
フェースブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏の人気は急落の一途を辿っている。昨年7月15日~19日に全米の1000人の有権者を対象にしてAccountable TechとGQR Researchが実施した世論調査の結果、ザッカーバーグ氏を支持すると回答したのはわずか20%、支持しないと回答したのは過半数の56%にのぼっている。これは同調査によるトランプ大統領(当時)の支持率39%よりも低い。
今年に入ってもザッカーバーグ氏の人気の下落は止まらず、Glassdoorが実施している「トップ100人のCEO」のリストから2013年以来初めて漏れている。社員からの支持率が2020年末から2021年初頭にかけて下落したことがトップ100のリストから陥落した要因だという。
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フェースブックに対しては、アルゴリズムを使って特定の情報を隠蔽したり検閲したりすることで、昨年の大統領選挙の「選挙妨害」を行った疑惑について、州による捜査を行うことをフロリダ州のロン・デサンティス知事が9月27日に承認したと発表している。
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