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COVID-19は<軽症>から<死に至る深刻な症状>へと変わる危険な「転換点」があると科学者たちが警鐘

COVID-19は<軽い症状>から<死に至る深刻な状況>へと変わる危険な「転換点」があると科学者たちが警鐘

Photo via Flickr

世界中で10万人以上の感染が確認され深刻な事態となっている武漢コロナウィルスであるが、逆に感染者について膨大なデータが集められることで、科学者、医者、疫学者たちによるこの新型コロナウィルスについての研究がいっそう進んでいる。そして徐々にこの新型コロナウィルスの危険な特徴が明らかになってきた。

 

非常に感染しやすい体質を持つ患者グループの中では、このウィルスが安定した状況から致命的な状況へと変わる「転換点」があることが科学者たちによって特定されたとブルームバーグが報じている

 

研究によると、多くの感染者は軽い風邪のような症状しか発症しないが、7人中1人の感染者は呼吸困難やその他の「深刻な」合併症を引き起こすことが判明している。そして感染者のうち6%は重篤な状態となり容態を安定させるために入院が必要になる。そしてこうした患者は、高度な医療を受けられなければ死亡するリスクにさらされるという

 

こうした命に関わる状況に陥る患者は、一般的に呼吸器やその他の生命にかかわる機能に不全を起こすと、先月WHOの研究者チームが作成した研究報告書は記している。こうした患者の中には敗血性ショックを引き起こす場合もあるという。

 

軽度から中程度の症状の患者のうち、おおよそ10〜15%が次の深刻な段階へと進む。そのため、医療機関や医師たちはどの患者が悪化するリスクが最も高いかを理解し、この要素をリスク評価に組み込んでおくことがとても重要となる。つまり、今は軽症であっても高リスクな患者へより多くの注意を払い、またそれに応じてリソースを配分する必要がある。なぜならこれら感染者の10〜15%(もしくは15〜20%)は、重篤な状態へと悪化する可能性が高く、彼らの命を救うには高度な医療体制と治療が必要となるためである。

 

こうした最もリスクが高いとされる患者には、60歳以上の高齢者、そして高血圧症や糖尿病、循環器疾患などの既往症のある人たちが含まれる。

 

新型コロナウィルスを診断する医師たちは、症状が季節性インフルエンザに似ているため、少なくともこうした重症度判定検査(トリアージ)に慣れておくべきであると、米国立アレルギー感染病研究所のジェフリー・K・タウベンバーガー氏は語っている。ただし、重篤化する割合は、季節性インフルエンザよりも新型コロナウィルスのほうが高い。

 

全てが順調に進めば、白血球がウィルスを攻撃し、数日以内に感染は押さえ込むことができるという。

 

感染は通常、鼻腔内から始まる。体内にいったん侵入すると、新型コロナウィルスは気道を保護している皮膜細胞に侵入するとタウベンバーガー氏は語った。同氏は、メリーランド州ベセスダにある国立アレルギー感染病研究所のウイルス病原性および進化部門のトップ。もし上気道で押さえ込むことができる場合、通常、症状は深刻化せずに終わる。

 

しかしもしこのウィルスが気管を下り呼吸気管の末梢枝や肺細胞まで広がれば、さらに深刻な症状の段階へと突入するための引き金を引くことになる。それはウィルスにより直接的に引き起こされる肺炎によるダメージに加えて、体の免疫が感染に対して反応することで引き起こされる二次的なダメージがあるためである。

 

「人の体は肺にダメージが引き起こされると、すぐにそのダメージを修復しようとする」とタウベンバーガー氏は言う。病原体を破壊し、ダメージを受けた細胞を修復する手助けを行う様々な白血球細胞は、(事故や災害に最初に対応する)救急隊としての役割を果たす。「通常、これがうまく機能すれば数日以内に感染から回復することができる」。

 

しかしこのように理想通りにはならず、ウィルスが体内に残り続け鼻腔や喉の細胞を攻撃し続ける場合、人の体がバクテリアによる二次感染から身を守ることがより困難になる。こうした二次感染は特に危険である。その理由は、二次感染により肺の幹細胞が損傷してしまうからである。そうなると基本的に患者の肺は回復することが不可能になってしまう。

 

バクテリアによる二次感染が起きるということは、特に致命的な脅威となることを意味する。なぜなら、二次感染することにより細胞の再生を司る重要な気道の幹細胞が破壊されてしまうためである。幹細胞がなければ、「患者は物理的に自身の肺を修復することができなくなる」とタウベンバーガー氏は語った。損傷を受けてしまった肺は、生命の維持に必要不可欠な重要器官へ酸素を供給することができなくなり、腎臓、肝臓、脳、そして心臓の機能を悪化させてしまう。

 

「感染が悪化すると、全てがドミノ倒しに機能不全を起こし始める。ある段階になると全てが下り坂を転げ落ちるための転換点を過ぎ、それを通過すると後戻りができなくなる」と国立アレルギー感染病研究所所長付き上級科学顧問であるデービッド・モレンス氏は語った。

 

その転換点は、おそらく高齢者にとってはより早い段階で発生すると、アイオワ大学で微生物学および免疫学の教授であるスタンレー・パールマン氏は語った。同教授は、高齢のネズミで行った実験で同様の結果を導き出している。同教授はコロナウィルスについて38年間研究を続けている。

 

しかし感染者の容態が悪化するのはこうした理由からだけではない。健康な若者でも新型コロナウィルスにより命を失っているケースがある。武漢で新型コロナウィルスの発生を最初に告発した人の1人である、34歳の眼科医、李文亮医師もこのウィルスによって命を亡くした1人だ。李医師には、抗体、抗ウィルス剤、抗生物質が投与され、酸素吸入や人口肺により血液循環も行われた。こうした治療が行われたにもかかわらず亡くなっている。科学者たちは、ある特定の人たちはこのウィルスがターゲットとする呼吸器の皮膜細胞の中に、独特な形状のタンパク質受容体をより多く保有しているという仮説を立てている。

 

 

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