ユーチューブが「オーバーブッキング」を起こす|政治キャンペーン向けの広告枠を販売しすぎて広告を表示する動画が足りなくなる
アメリカのソーシャル・メディアは、ジョー・バイデンを当選させるために彼の息子ハンターに関する報道を検閲しているが、その一方でユーチューブはジレンマに直面している。政治広告の出稿依頼がユーチューブに押し寄せているため、ユーチューブはそれら広告を実際に表示する動画が足りなくなっているという。ユーチューブは各陣営がターゲットとする視聴者に広告を表示することに「苦闘している」とブルームバーグ通信が報じている。
特に興味深いのは、「重要な激戦州」において広告を掲載するユーチューブ動画が不足しており、その結果、広告価格が2倍に高騰しているということだ。このことは、グーグルにとって選挙広告が収益率の高い「おいしいビジネス」であることを示している。今年グーグルは広告収入が下落している。来週、同社の決算発表が行われる予定。
民主党の候補者や急進的なNPO団体に特化するデジタル・キャンペーン支援会社のLockwood Strategy Lab、そのメディア・ディレクターであるキャット・スターン氏は、「深刻な(動画)不足が発生している。政治広告を出稿しようとする人たちは全員、同じ(激戦)州で、似たような視聴者(浮動票)をターゲットにした広告枠を購入しようとしている」とブルームバーグ通信に語っている。
ユーチューブの視聴者数は、コロナ禍になって増加している。しかし経済が停滞してユーチューブに出稿される広告が減少する一方、11月3日の大統領選挙に向けて政治広告の出稿件数は急増している。最も需要が高い広告の種類は、ユーザがスキップすることができない広告となっている。また、ユーチューブ上で再生回数が多い上位の動画向けの「広告予約枠」も需要が高まっている。
共和党向けの政治広告会社Majority Strategies、そのリード・ビネイス副社長は、「広告の『予約枠』は、予算が潤沢な選挙陣営によって買い尽くされる傾向にある」と語っている。
予算が潤沢な選挙陣営がユーチューブの広告枠を買い漁る一方、それほど予算が潤沢ではない選挙陣営は、HuluやRokuといった動画配信プラットフォーム上で政治広告を出さざるを得ない状況となっている。
アイオワ州といったいくつかの州では、通常、ユーチューブの広告枠は全て売り切れになる。FlexPointの共同設立者、ティム・キャメロン氏は、「(選挙期間の後半になって)遅れて集まる(政治活動)資金の多くは、その使い道を探すことが難しい」と語っている。
ユーチューブは、広告主が用意した広告予算の75%しか消費できない事態が数回発生している。このブルームバーグ通信の記事に対してユーチューブは事前にコメントを提供していない。しかしこの記事は、広告を掲載できない事態について、グーグル社員に対して「コード・イエロー」が発令されていると記している。「コード・イエロー」が発令されたということは、この問題を解消するためにグーグルがリソースを増加させていることを意味している。
グーグルは、先月1ヶ月間だけで1億3900万ドルの政治広告枠を売り上げている。
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