米中貿易戦争:「中国は取引に合意しない場合のシナリオを考えている」と中国国営メディアが牽制
中国国営メディアは、「もし米国が香港カードを使うのであれば、中国が貿易交渉について妥協することはない」とアメリカを牽制した。さらに、中国国営新聞Global Timesの編集長であるフー・シージンは、「中国は(米国との交渉に)合意しない場合を考えて準備を進めている」とツイートした。最近、トランプ大統領は戦略を変え、中国との貿易交渉に香港の状況を利用しようとしている。
As for Washington’s threat to link trade talks with the situation in Hong Kong, what I heard on various occasions is scorn on this idea. China is making arrangements on scenario of no deal. The deterrence of the US not signing the deal on China is close to zero.
— Hu Xijin 胡锡进 (@HuXijin_GT) August 21, 2019
(訳)貿易交渉と香港の状況を関連づけようとするワシントンDCの脅迫に関して、私が様々な機会で聞いた内容は、この考えを冷笑するものだった。中国は(米国との交渉に)合意しない場合を考えて準備を進めている。中国との取引に合意しないことで得られる米国の抑止力は、ゼロに近い。
これと呼応するかのうように、中国は金融センターとしての香港を切り捨て、その機能を深センに移行する計画をすでに立てているというニュースが報じられた。
報道によると、中国政府はIT集積地である深センを「新たな香港」に「変革」する計画であるという。さらにビジネスに優しい改革を進め、そこで働く人たちに優れた社会サービスを提供する計画であるという。つまり、深センで、香港が多国籍企業に提供してきた市場へのアクセスを提供しながら、大陸中国で実施している言論統制や政治活動の制限は維持していく計画。
これら「変革」の多くは、先週日曜、中国国務院が発表した文書に概要が記載されている。
香港の機能を深センへ移行することで、アメリカ企業を中国市場から締め出す可能性が生まれるだけでなく、中国政府は深センにおける5G開発を迅速に支援するという。
中国は、世界中の多国籍企業を、同国のIT集積地に引き寄せようと目論んでいる。この動きは、本質的に、投資資金を集める金融センターという香港の強みを奪い取ることになる。この方針は、香港で何週間も続いているデモの最中、深センで民兵将校が訓練するという状況で公表された。これは、中国政府がこの反抗的な地域に対して、経済的圧力と軍事力の両方を適用するかもしれない可能性を示している。
深センは、中国社会主義のための「ショールーム地区」として機能することになると同政府文書は記している。これには、高度な医療インフラや、世界レベルの教育制度、職業訓練を含んでいる。
同市は、5Gの無線ネットワーク開発を加速させる予定。中国大陸以外からも、才能ある人々が容易に越境し深センに居住することができるようになる。
深センは、2025年までに「経済的な強さと成長の質という観点で世界でトップレベルの都市の一つ」になるだろうとこの政府方針は記している。同市は、2035年までに「高度成長の国家モデル」になるだろうとし、21世紀半ばまでに全世界の中で「一流の国際都市」になるとも記している。
もし中国政府がこの計画を実現させると、それは香港およびその金融政策にとって大きな問題となる。この記事でも報じたように、香港からはすでに資産が流出するキャピタル・フライトが起き始めており、投資家は脅威にさらされている。有名ヘッジファンドのカイル・バス氏が指摘するように、米ドルにペッグされた香港ドルが崩れるというシナリオが現実味を帯びてくる。
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