「出身国に帰っては」と言われた米女性議員の一人が複数の違法行為か:移民法、婚姻法、学生ローンで詐欺行為
トランプ米大統領が今月14日、女性議員4人を指したツイートで「出身国に帰ることもできる(Why don’t they go back)」と発言したことが日本でも話題になっている。その名指しされた4人の女性議員の一人であるイルハン・オマル議員(冒頭の写真の左端)と彼女の兄弟に対して、複数の違法行為や詐欺行為を行っていた容疑が浮上している。権力監視団体であるJudicialWatchが、下院倫理委員会(House Ethics Complaint)に対して、イルハン・オマル議員と彼女の兄弟を捜査するよう、今日(現地時間で7月23日)告発した。
反トランプである野党の民主党や、民主党を応援するリベラル系メディアは、トランプ大統領のツイートを「人種差別だ」と非難している。しかし正確にトランプ大統領のツイートを読むと、女性差別とも人種差別とも取れるような差別用語は使っていない。移民国家であるアメリカで、アメリカ国民に対して「出身国へ帰っては」と言うこと自体、侮蔑的で許される発言ではないが、発言内容を正確に伝えず、「人種差別」「女性蔑視」と攻撃する側にも真実を捻じ曲げようとする悪意がある。
ここで改めて、トランプ大統領のツイートを正確に紹介しよう:
So interesting to see “Progressive” Democrat Congresswomen, who originally came from countries whose governments are a complete and total catastrophe, the worst, most corrupt and inept anywhere in the world (if they even have a functioning government at all), now loudly……
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 14, 2019
(訳)「先進的な」民主党の女性議員達は、もともと世界の中でも政府が完全崩壊し、最低で、最悪の汚職まみれの国々の出身だ(これらの国々で、少しでも機能している政府があるのだろうか)。こうした国々出身の彼女らが、声高にそして悪意を持って、米国民に対して(ちなみに米国は地球上で最も偉大で最もパワフルな国だ)、いかに我々の政府が運営されるべきか物を言う姿を見るのは滑稽だ。もともと彼女達がやってきた場所に戻って、完全に崩壊して犯罪まみれである出身地の問題解決を手助けしてはどうか。それからアメリカに戻ってきて、どのように問題解決したのか見せて欲しい。これらの国々は、あなた方の助けをとても必要としている。あなた達にぐずぐずしている時間はない。ナンシー・ペロシは、喜んであなた達が無料で(出身国に)戻れる手配を迅速にしてくれるだろう。
(訳者注:野党の民主党内部でも、下院議長のペロシ議員と、この4名の急進的な1年生議員の間で意見の対立があり不和が起きているため、トランプ大統領はそのことを皮肉っている。太字強調は訳者。)
このツイートで、トランプ大統領は「出身地に戻ってはどうか」と言っているが、その後に、「それからアメリカに戻ってきてはどうか」とも書いている。単に、「出身国に戻れ」と差別的に言っているわけではないのに、大手メディアや野党議員はツイート内容で最も攻撃的な部分だけを切り取って、「人種差別」「女性差別」というトランプ批判が展開されている。ニューヨークタイムズ紙などはその最先鋒だ。同紙は、このツイートが投稿された当日、このような見出しの批判記事を掲載している。
「トランプ、女性議員らに対して出身国へ『帰れ』と発言」https://www.nytimes.com/2019/07/14/us/politics/trump-twitter-squad-congress.html
ただし、これら4名の議員のうち、外国生まれの帰化移民はイルハン・オマル議員のみで、他の3人はアメリカ生まれ。
* * *
さてこのニュースの本題に戻るが、このトランプ大統領に名指しされた4人の女性議員の一人、イルハン・オマル議員に対して、調査報道を行っているジャーナリストのデービッド・スタインバーグ氏は、過去3年間にわたって調査を行ってきた。その調査結果に基づき、今回、JudicialWatchが下院倫理委員会(House Ethics Complaint)に対して、イルハン・オマル議員と彼女の兄弟を捜査するよう告発した。オマル議員は、ミネソタ州初のイスラム教徒の議員。
告発文では以下のように主張している:
イルハン・オマル議員は、連邦法とミネソタ州法の両法に違反して次の罪を犯した可能性がある:偽証罪、移民法詐欺、結婚詐欺、連邦税・州税詐欺、連邦学生ローン詐欺。そのことを示す、実態と説得力がある証拠、そして今日までに反論されていない証拠が見つかった。
告発を行ったJudicialWatchのトップであるトム・フィットン氏は次のように語っている。
これら証拠は、オマル議員が法律及び下院規則を違反していることを強力に示している。下院議員達は、オマル議員が行ったとされる違法行為を、早急に捜査し解決しなければいけない。我々は、アメリカ国民に対して、オマル議員の明白な違法行為について地元議員らに意見することを要望する。
スタインバーグ氏の調査結果は、次のように告訴状の中で紹介されている:
アメリカ国籍であるイルハン・オマル議員は、彼女の生物学上の兄弟であるアフメド・ヌール・サイード・エルミ(イギリス国籍)と2009年に婚姻した。これは移民法詐欺の手口と思われる。二人は2017年に法的に離婚している。その離婚の過程で、2017年8月2日、オマルは『代替手段による行政執行命令の申請(Application for an Order for Service by Alternate Means)』を提出し、2011年6月以降、アフメド・ヌール・サイード・エルミと一切連絡を取っていないこと等を主張している。彼女はまた、彼がどこにいるのか知らないとも主張していた。スタインバーグ氏と彼の同僚が突き止めた証拠は、Ms.オマルがエルミ氏と連絡を取っていただけではなく、2015年にロンドンで実際に彼と会っていたことがほぼ確実であることを示している。これを証明する写真も存在している。Ms.オマルは、(偽証した者は)偽証罪によって罰せられるという条件で提出した『代替手段による行政執行命令の申請』に署名している。イルハン・オマルが2017年8月2日に署名した書類には、彼女の署名の真上に次の文章が記載されている:「私(署名者)は、偽証罪によって罰せられるという条件下で、この文書で私が述べたことは全て真実で嘘偽りがないことを宣言する。ミネソタ州§ 358.116.
特に重要なのは、イルハン・オマルが2015年にロンドンへ行った際に撮影された写真である。このロンドン旅行は広く公言されたものであり、彼女自身のインスタグラムに投稿されている。彼女のインスタグラムのユーザ名は“hameey”である。そのインスタグラム上で、彼女は夫(実の兄弟と思われる)アフメド・エルミと一緒にポーズを取っている。これら2015年以降の写真は、2011年6月から、彼女が離婚申請書に署名した2017年8月までの間に、彼女が実際はエルミ氏と会っていたことを示す物的証拠であり、これにより彼女がエルミ氏と2011年6月以降会っていないと主張する信憑性に疑念が生じる。
イルハン・オマル議員が犯したと思われる犯罪は、ミネソタ州の法廷に提出された偽証罪に問われる書類だけではない。
オマル議員の行為は、移民法詐欺を犯している可能性がある。オマル議員が自身の兄弟と結婚したのは、彼をイギリスからアメリカへ移民する手助けをするためと考えられる。同じ移民法詐欺の手法は、エルミ氏がノースダコタ州立大学へ通うために連邦政府支援の学生ローンを受給するのを助けるためでもあった可能性がある。エルミ氏とオマル議員は、同時期にノースダコタ州立大学へ通っており、二人で移民法詐欺を実行し、それにより違法に利益を享受していた可能性がある。
ミネソタ州選挙運動資金及び公開委員会は、オマル議員が選挙資金を不適切に利用したとしてすでに州の選挙資金規制法に違反したと決定している。彼女は、数千ドルの選挙資金を強制的に返金させられた。さらに重要なのは、同委員会が、オマル議員が2014年と2015年に申告した連邦税の納税が、彼女の夫ではないアフメド・ヒルシという名の別の男性と(夫婦の)合算所得税申告を行っていたことを発見したことである。この期間、彼女はアフメド・エルミと婚姻関係にあった。
連邦法、具体的には法令“26 U.S. Code & 7206.1”において、「偽証罪が問われる条件下で行われたと文書で宣誓した又は確認できる場合、真実ではなく正しくないと信じていながら意図的に納税したり、声明を行なったり、その他の文書を作成したいかなる者も・・・重罪で有罪となり、起訴され有罪判決を受ければ最大10万ドルの罰金が科され(法人の場合は50万ドル)、または3年未満の禁固刑、またはその両方の罰が科される」。–Judicial Watch
オマル議員は、地元有権者、同僚議員、そしてメディアからの質問を全て回答拒否しており、これら複数の容疑について、一つも反論・反証していない。
それどころか、オマル議員は、情報隠蔽を行なっているように見える。例えば、2016年8月、スコット・ジョンソン氏とプレヤ・サムサンダー氏がオマル議員の疑惑について報じた直後、オマル議員は自身のSNSアカウントを複数閉鎖した。アフメド・エルミ氏の複数のSNSアカウントも閉鎖された。これら一度は閉鎖されたアカウントは、再び公開されたが、違法行為を証明すると思われる写真等の大部分が削除されていた。
オマル議員は慎重に言葉選びがされた声明を発表したが、答えを求める人たちを人種差別主義者と逆に非難し、質問への回答を拒否している。
スタインバーグ記者は、情報源である人々を守る等の理由により、全ての証拠を公表しているわけではないと言う。オマル議員とその兄弟が行なった結婚詐欺等の容疑について情報をリークする者に対して、オマル議員の親族らが脅迫する写真や動画が公開されており、情報源の人物らは恐怖を感じているという。公開されている証拠以外に、脅迫を示すさらなる証拠を、スタインバーグ記者は情報源の人物らから受け取っている。すでにスタインバーグ記者は、連邦当局とこの情報を共有している。
スタインバーグ氏は次の声明を発表している:
スコット・ジョンソン、プレヤ・サムサンダー、そして私が3年間かけて報道してきた記事、コラム、その他の投稿は、法執行機関が捜査を開始するに十分すぎるほどの証拠を提示している。そして現在、法執行機関と、オマル議員が所属する下院の議員たちは、腐敗に対して誠実に対応する時であり、法律を公正に適応する時である。
JudicialWatchのトップであるトム・フィットン氏による声明はここで視聴できる:
Photo via Washington Examiner
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