米ホームセンター大手The Home DepotとLowe’sが密かに顧客の顔認証を行いデータ共有していたことが訴状で判明
中国や香港では街中に設置された監視カメラで一般市民を自動認識し、行動を監視しているのはよく知られているが、アメリカでも同様の監視が行われていることが判明した。CookCountyRecordによると、ホームセンター大手のHome DepotとLowe’sに対して最近起こされた2件の集団訴訟の中で、両社は、これら会社の実店舗を訪れた顧客の顔を自動的に認証し、個人を特定していることが明らかとなった。もちろん顧客の同意を得ずに密かに顔認証を実施している。しかも、この競合する2社は、集めた数百万人分にのぼる顧客の顔認証データを共有している。
2019年9月4日、原告団は、全く同じ内容の訴訟を、シカゴにあるクック郡巡回裁判所ではLowe’sに対して、そしてアトランタにある連邦法廷ではHome Depotに対して起こした。この訴訟で、原告団は、これら小売企業が、顧客が店舗に入るタイミングで彼らの顔を「密かに」スキャンしているのは、イリノイ州の州法に違反していると主張している。
Lowe’sに対して起こされた訴訟によると、同社の店舗では全員の顧客の顔を密かに認識している。
「Lowe’sは、店舗内を移動する各顧客の動きを個別にトラッキングできるソフトウェアを防犯カメラにインストールしており、個別の顔の形状をスキャンしている。率直に言って、被告企業は、彼らの顔認証カメラに映る全員の顔認識データを密かに収集しようとしている。(Home Depotがどのように店舗内の顧客をトラッキングしているかはここに掲載されている(英文)。)
訴状によると、Home DepotとLowe’sの両社は、顧客の生体認証データを収集していることを公表することを怠り、顧客の同意を得ていなかったと主張している。Home DepotとLowe’sは、収集した生体認証データがどのタイミングで破棄されるのかについての詳細も、公表することを怠っている。
Lowe’sに対して起こされた起訴では、「被告は、顧客の顔認証を実施していることが一般に知られることがないよう積極的に隠蔽している」と主張している。また、Lowe’sは、密かに顧客の顔認識データを11年間にわたって利用していると起訴状には記載されている。Home Depotがどれくらいの間、顔認証を行なっているかは言及されていない。
小売店舗で入店する顧客の顔認証サービスを提供するUltinousのデモ動画:
https://www.youtube.com/watch?v=O_QIVFTkGqk
集団訴訟の中身では、Home DepotとLowe’sは、各店舗で集めた顧客の顔認証データを、他の店舗と共有していると主張している。
万引き対策という名目で、これらのシステムは各店舗に導入され、入店する顧客を個人認識し、いくつかの事例では、買い物客が複数の店舗で買い物する様子をトラッキングし、「疑わしい」購買行動を特定している。
つまり、Home DepotとLowe’sは、店舗を訪れる客全員を、潜在的な万引き犯として扱っているということになる。その顧客が過去に犯罪歴があるかどうかに関わらず、全員を潜在的犯罪者と扱っている。
原告団は、「数万もしくは数百万人」へとさらに原告を増やすつもりである。両社が顔認証を使った監視システムを導入した時点から、これら店舗を訪れたことがある顧客全員がこの原告団に含まれる可能性がある。
中国国内は監視社会で、プライバシーは存在しない。しかし、アメリカのような民主主義国家で個人のプライバシーが尊重されている社会で、このような大規模監視システムが11年間にもわたって運用されていたというのは驚きでしかない。
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