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ボブ・シラー教授が予測:経済不況が起きればトランプ大統領の再選は絶望的。ただしその可能性は50%以下

ボブ・シラー教授が予測:経済不況が起きればトランプ大統領の再選は絶望的。ただしその可能性は50%以下

2013年にノーベル経済学賞を受賞し、イェール大学で教鞭をとっているボブ・シラー教授が、経済不況が起きればトランプ大統領の再選の可能性を決定的にくじくだろうと予測した。ただし、来年11月までにそうした不況が起きる可能性は50%以下だろうとも語った。バークレイズ・インベストメンツが主催した電話会議でシラー教授は投資アドバイザーたちに語った。バークレイズは、シラー教授が考案したCAPEレシオ (Cyclically Adjusted Price-to-Earnings Ratio)に基づいて多くのインデックス投資商品を提供している。

 

CAPEレシオ (Cyclically Adjusted Price-to-Earnings Ratio)とは:

 

CAPEレシオ (Cyclically Adjusted Price-to-Earnings Ratio) は、景気循環調整後の株価収益率(PER)を示す投資指標である。株式市場の長期的な評価に用いる。1988年にエール大学のロバート・シラー教授とジョン・キャンベルが公式に定義し、シラーPERとも呼ばれる。単年度の1株当たり利益ではなく、インフレ調整後1株当たり利益の10年移動平均値を用いてPERを計算する。これにより一時的要因による収益変動や景気循環の影響が除外されるため、実質的な企業収益力との関係で株価の割高・割安性が示される。-WikiPedia 

 

シラー教授による選挙予測は、彼の新たな研究テーマである「ナラティブ分析(narratives)」に基づいている。彼はこのテーマについて彼の13冊目となる書籍「Narrative Economics(ナラティブ経済学)」を今月上梓している。ナラティブとは、「話術」や「物語」という意味。

 

 

トランプの「物語」は彼が不動産業界に足を踏み入れた50年前にまで遡るとシラー教授は言う。トランプは、経済不況が、「アメリカを再び偉大にする(Make America great again)」という彼のテーマにそぐわないということを知っている。さらに、現職の大統領にとって経済不況は再選を阻害する悪いニュースであり、それを示す十分な歴史的証拠もあるとシラー教授は語った。

 

「経済不況は、トランプの大統領任期に終焉をもたらすだろう」とシラー教授は語った。

 

しかし、トランプとは違う新たな大統領の当選を祈る人たちにとって、シラー教授によるCAPEレシオについての見解は心躍らせるものではないかもしれない。

 

CAPEレシオは、現在、歴史的に見ても高いレベル(米国では30に届く勢い)であり、それは一部、トランプに関する物語のおかげであるとシラー教授は指摘する。「たとえ彼のことが好きではない人たちでも、トランプのタフな経営姿勢にはインスピレーションを受けている」と教授は言う。

 

トランプの物語は、成長株にとって力強いインパクトをもたらしている。一方、バリュー株に関する物語は、「自制し、退屈な株を購入せよ」と要求しているとシラー教授は語る。しかし、今のご時世、バリュー株へ投資する風潮ではないとも語る。

 

「トランプ・ラリーの波に乗って、素晴らしい話題に溢れる株式に投資する方が、株に投資しないよりよっぽど楽しい」と彼は語る。

 

シラー教授の新刊本は、彼が2017年に米国経済学会(American Economics Association)で行なった講演の副産物だ。そこで教授は、経済学者たちが物語(ナラティブ)を無視してきており、明らかに見過ごしてきたと指摘していた。

 

人間の頭脳は、物語によって影響を受ける。我々の思考は、物語が変われば変わる。特に物語がバイラルに口コミで広がり、地球規模で素早く起きる場合はそうだ。

 

シラー教授によると、私たち自身が、自分たちを思い込ませ、不況を引き起こすことが可能であるという考えは、大恐慌時代の時から始まった。

 

シラー教授は、「節約の物語」が大恐慌時代を長引かせたと主張する。当時、「質素な生活」が隆盛を極めていた。しかしそれが意味していたのは、誰も消費したくないということであり、消費の落ち込みにより経済成長を阻害していた。1929年から1933年にかけて新車販売台数は85%も下落したと彼は言う。節約の物語が、消費の意欲を圧倒していた。

 

「近所の人たちが金銭的に困窮している時、誰も新車を自宅のドライブ・ウェイに駐車させたいとは思わなかった」とシラー教授は語る。

 

昨年から、経済不況に関する話題が「花盛り」であると彼は言う。その議論の一部は逆イールド曲線についてであり、その物語によると、不況が起きる可能性が高まっているということになる(ただし、最近、逆イールド曲線は解消された)。シラー教授によると、このような物語は50年前には存在しなかった。

 

シラー教授は、逆イールド曲線に関する物語は、データ・マイニングが生み出した産物であると疑っている。実際、この逆イールド曲線の話題というのがあまりに説得力があるため、部分的にこの物語のせいで、逆イールド曲線が発生した後に実際に経済不況が起きたり、またその不況の期間を長引かせることになったと語る。

 

また人工知能(AI)に関する別の物語が背景にあるとシラー教授は語る。人々は、AIにより作業が自動化され職を失うのではないかと怯えている。この物語はまだ優勢ではないが、もし経済不況が起きればまた人々の話題に上り、不況をさらに悪化させるだろうと語っている。

 

もし隣の住人が突然解雇され、新しい仕事を見つけられず、そして家を売りに出さなければいけなくなった場合、人々はハッと我に返る。もしこれが長期にわたるトレンドだと思うなら、当然、あなたはバカンスを節約しその他の出費も控えるだろう。

 

マクロの先行きと投資の見通し

 

シラー教授は、財政政策が経済不況に対抗できる能力があるという考えに慎重である

 

各国の中央銀行は、前回の金融危機の時に協力して行なったように、経済不況に対抗するためのある程度の能力はあるとシラー教授は認める。しかし、現在、超低金利であり、特に欧州では、さらに金利を切り下げる政策はもう効果がない

 

「金利がさらにマイナスになれば、人々は現金を引き出すだろう」とシラー教授は言う。

 

財政政策に関して、政治が二極化しているため、負債に対する耐性が低くなっているとも指摘する。

 

彼はMMT(現代貨幣理論)を「一時的なブームの物語(fad narrative)」と呼ぶ。この理論はニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授によって発明され、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員(NY州選出・民主党)によって大衆化された。「我々は負債について心配しなければいけない。なぜならそれらは返済されなければいけないのだから」とシラー教授は語る。

 

マクロの視点では、主なリスクはヨーロッパにおける不況、中東の紛争、そして原油価格の急騰から発生する。ヨーロッパにおける不況はすでにドイツで起こっているとシラー教授は指摘する。また、原油価格の急上昇は、歴史的に見ても破壊的な混乱を引き起こしてきた。

 

米国のCAPEレシオが高いということは、株価が高すぎる(オーバープライス)ということを意味している。しかし、これは投資先を株式から債券へ移すことを示す明確な指標ではないとシラー教授は言う。債券の価格も高騰しており、長期的な観点からするとオーバープライスである。シラー教授は、投資を米国内のCAPEレシオが低いセクターへ分散させるようアドバイスを行なった。

 

「いつでも割安な投資先はある」と彼は語った。

 

S&P500にある11のセクターのうち、4つのセクターはCAPEレシオが歴史的に見て比較的低い状態であるという。その4つのセクターとは、通信サービス、原材料、テクノロジー、そしてヘルス・ケアである。テクノロジーのセクターは、絶対値で見ると株価は高いが、歴史的に見ると比較的低い状態である。

 

最後に、シラー教授は次のようにまとめている:

 

長期的視点で見れば、我々は大丈夫だ。米国内で株価は多少、高くなりすぎているかもしれないが、長期的視点で見た場合、株は依然として優秀な投資先だ。

 

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