台湾の外交部長が中国による軍事侵攻を警戒:中国経済が崩壊するほど台湾侵攻の可能性は高まる
世界的な同時不況が深まる中、中国が国内経済をソフトランディングに導くことができなければ、中国が台湾へ侵攻する脅威が現実的なものとなると台湾政府が警戒感を示した。台湾のジョセフ・ウー外交部長(外務大臣に相当)が、今週水曜、ロイターとのインタビューの中で語った。
台湾のウー外交部長(写真)は、もし中国が経済をソフトランディングできなければ、中国共産党幹部は、国内経済の不満を逸らすために、かつてから自国の領土と主張している台湾へ侵攻する可能性があると危機感を露わにした。
「もし国内の安定性に深刻な問題が生じる場合、もしくは政権トップが経済減速の問題を解決できないと判断する場合、我々は非常に警戒する必要に迫られる」とウー氏は語る。
Taiwan's top diplomat Joseph Wu on threat from Beijing: “If the internal stability is a very serious issue…that is the occasion that we need to be very careful…We need to prepare ourselves for the worst situation to come…military conflict.”@MOFA_Taiwan https://t.co/qtAlhefldJ
— Jonathan Cheng (@JChengWSJ) November 7, 2019
【訳】台湾の外交官トップ、ジョセフ・ウー氏が北京政府からの脅威について語る:「もし国内の安定性に深刻な問題が生じる場合・・・我々は非常に警戒する必要に迫られる・・・我々は、最悪の事態・・・軍事衝突が起こり得るものとして備える必要があります」。
中国国内で膨れ上がる持続困難な借金や、その結果、北京政府がクレジットインパルス(GDPに対する与信の伸び率の変化)を拡大することができない状況が、ウー氏に危機感を抱かせている。実際、中国経済はすでに過去30年間で最低レベルとなっており、中国経済の崩壊が続けば、台湾は中国との軍事衝突の可能性が近付くことを意味するとウー氏は理解している。
また、ウー氏は、現在、中国経済の足元が揺らいでいると語った。ただし、軍事衝突が目前に迫った脅威であることを示すサインは何もないとも語った。
「もしかすると、習近平は中国経済の成長を続けられないという理由で、彼自身の正統性について疑問視されているのかもしれません。これこそが、中国の指導者たちが国内の注目を逸らすために対外行動を起こす決定を下す可能性がある要因です」と習主席についてウー氏は語った。
台湾海峡、南シナ海、東シナ海、そしてフィリピン海における中国の高まる軍事プレゼンスは、「非常に深刻化している」とウー氏は語る。
「私たちは、当然、台湾と中国が共に平和に過ごすことができることを望んでいます。しかし、私たちは中国によって引き起こされている問題があることも理解しており、我々はそれについて対処するよう試みるつもりです」と同氏は語った。
さらに事態を深刻化させているのは、米下院外交委員会が最近、米国政府と台湾政府の関係を強化することを目的にした新たな法案を、全会一致で可決したということだ。同法案は、「台北法」(Taiwan Allies International Protection and Enhancement Initiative Act)と呼ばれており、アメリカ政府が、中国からの外交圧力から台湾を防衛することを可能にしている。
トランプ政権は、台湾政府に対して、数十億ドルにものぼる戦闘機、戦車、その他の軍事兵器を販売しており、中国政府による台湾侵攻から守るために台湾の軍事力を増強している。
マクロ経済の向かい風が世界を席巻する中、中国経済は2020年も減速を続ける可能性が高い。つまり、中国のGDPが下落するたびに、それと相関関係を持つ中国による台湾への軍事侵攻の確率が上昇するということになる。
Photo via Taiwan’s Official Twitter
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