ロシアのプーチン大統領が地政学的な激変を予言:「ドル覇権はまもなく終わる」
プーチン大統領がロシア国内のテレビ番組に出演し、世界の地政学的地殻変動が間も無く起きると「予言」した。
https://twitter.com/Ben__Rickert/status/1195282924624465927
【訳】ウラジミール・プーチン曰く:「ドルは世界で偉大な信用を享受した。しかしある理由からそれは政治的武器として利用されており、制限を強要している。多くの国々が、準備通貨としてのドルに顔を背け始めている。アメリカ・ドルは、間も無く崩壊するだろう。
プーチン大統領の発言を裏付けるものとして、ロシアの中央銀行が過去数年、金(ゴールド)の備蓄を加速させており、世界で最大の金の購入者となっているとブルームバーグが報じている。ロシアの金の備蓄量は、過去10年で4倍、過去1年で42%上昇しており、その備蓄の額面価値は合計1009億5000万ドルに上る。
Source: Bloomberg
アメリカによる経済制裁をかけられ苦しむロシアが、ドル覇権から脱出しようと試みているのは当然の結果だとも言える。問題は、そのロシアの試みが成功するか否かだ。
また、米ドル覇権が終焉を迎えると予言しているのは、当然プーチンだけではない。世界銀行の元チーフ・エコノミストであるジャスティン・イフ・リン(Justin Yifu Lin)氏も、米ドルの代わりに単一の世界共通となるスーパー通貨が必要であると提唱している。
「世界の金融危機や経済危機の元凶は、米ドルの支配にある。これへの解決策は、この国の通貨をグローバルな通貨へと置き換えることである」と、ブリュッセルを拠点にした政策研究シンクタンクのジャスティン・イフ・リン氏は語った。
中国系の研究者が、ドルの通貨覇権を終焉させる政策を提供している点は注意する必要がある。
しかし、本当に米ドルの通貨覇権は、その寿命がつきつつあるのかもしれない。以下のグラフは、大航海時代から現代に至るまで世界覇権を握った通貨の変遷である。大航海時代をいち早く切り開いて植民地を広げたポルトガルに始まり、その後を継いだスペイン、オランダ、フランス、イギリス、そして現在のアメリカと続く。しかしそのどれも永遠に覇権は続かず、似たような「寿命」を迎えている。歴史が繰り返されるとすれば、アメリカ・ドルの覇権もそろそろ「賞味期限」が迫ってきているように見える。
世界覇権を握った通貨の変遷
Source: The Burning Platform
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