「2020年第1四半期に世界不況に突入する」とエコノミストのマイケル・ペント氏が予測
エコノミストのマイケル・ペント氏は、以前から中国で膨らみ続ける負債について警鐘を鳴らしてきた。現在、その中国が抱える負債は40兆ドルに達している(2019年の中国のGDPは14.3兆ドル。つまりGDPの2.8倍の負債。ただし中国のGDP発表は信頼性がないため、真実の負債総額はGDPの5倍という情報もある)。
中国から発生した武漢ウィルス(COVID-19)は、中国の経済問題をさらに悪化させることになるのは間違いない。(ペント氏は資産運用会社Pento Portofolio Strategiesの設立者でもある。過去に行われた彼へのインタビュー記事はここで紹介している。)
ペント氏は、「中国は、世界中どこにも起きたことがない規模の巨額の負債を抱えており、人類史上類を見ないスピードで増幅している・・・」と語る。
この国はメルトダウンの瀬戸際にある。ナイキやアップル、グーグルといった多国籍企業は・・・大手米国企業は、2020年中、何が起きるか正確な読みはできないと語っている。しかしウォール街はそんなことはお構いなしだ。なぜなら、中国、米国、そしてその他各国の中央銀行は、このウィルスの影響を鎮めようと、これまでにない量の紙幣を印刷している(*)からだ・・・(*「大量の紙幣を印刷する」というのは、市場に大量の資金を投入する「量的緩和」を行うということの比喩。)
我々は、2020年第1四半期に世界不況に突入するだろう。アメリカのGDPは1%でも達成できればラッキーだ。シンガポールは不況について警鐘を鳴らしている。オーストラリも不況について警鐘を鳴らしている。中国の最大の顧客であるユーロ圏も、不況に突入するだろう。
(しかし)だれも気に留めない。なぜなら、狂った紙幣印刷業者(中央銀行)が発狂してしまったのだから・・・
中国は、40兆ドルという不安定な負債を抱えている国である。デービッド・ストックマンは、これを「赤い出資金詐欺(Red Ponzi)」と呼んでいる。私も同感だ。これはすでにかつてないほど急速に減速している国だ・・・彼らの株式市場はすでにその価値が半分になった。そして今、このコロナウィルスがそこに加えられた。このことで、国全体が実質上、機能停止してしまっている。それは地球上で2番目に巨大な経済である。にもかかわらず、ウォール街は気にも留めない。
ペント氏はさらに次のように語る:
彼ら(各国の中央銀行)がこのように大量の紙幣をアグレッシブに印刷し続ける場合、そして明らかにジェローム・パウウェル(米FRB議長)は紙幣をアグレッシブに印刷し続け決して金利を上げさせないと語った・・・それでも次の不況が現れる場合、「我々は積極的な量的緩和政策に戻るだろう」とパウウェル議長は語っている・・・
市場は、あとどれくらいの間、不換通貨がその購買力を維持することができると考えているのだろうか?いずれそのバブル、全世界の不換通貨が持つ購買力への信仰は崩壊するだろう。その時、金(ゴールド)が(紙幣価値から)切り離された状態になるのを目撃することになる。
ペント氏はさらに次のように語る:
中央銀行は重要だ。なぜなら、彼らにできる唯一のことはさらに多くの紙幣を印刷することだけだからだ。通貨を信じることを止めそして負債を返済する能力を信じることも止めてしまった市場に対して、中央銀行はさらなるインフレを引き起こすことでその問題を解決するつもりだと言っても市場は信じない。その時が迫りつつある。それが本当の問題になり、本当の脅威となるだろう。
インタビューの最後に、ペント氏は次の予言を行っている:
この先数週間の経済データは、控えめに言っても、想像を超えた悪臭を放つものになるだろう・・・
ウォール街で自動取引を行うアルゴリズムや株価や企業情報を読み込むコンピュータ(AI)が、これらニュースを無視するだろうと考えることに対して、私は非常に慎重だ(**)。特に、もしこのウィルスが他の国々にも深刻に感染拡大し始めた場合、その時はゲーム・オーバーだ。
(**近年、人工知能を使った株の売買が浸透し、株価がこうした機械による判断によって大きく左右されているという文脈での発言。)
ペント氏へのインタビュー動画はここで視聴できる:
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