北京政府がネット検閲を回避しようとするVPN利用の取り締まりを強化:人民の間で政府による言論統制に対する反発が高まる中
中国国内のインターネットは、「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる検閲が敷かれており、ツイッターやフェースブック、グーグルといった西側のサイトに普通にはアクセスできないことは有名な話だ。しかし政府による検閲をかいくぐって、中国国内で撮影した動画がYouTubeやツイッターに投稿され、新型コロナウィルスが蔓延し都市封鎖された国内の映像が西側の視聴者に漏れ伝わっている。
例えば、Epock Timesのジェニファー・ゼン記者は、中国国内からの動画を頻繁に投稿している。昨日は、以下のような動画を配信している:
During #CoronavirusOutbreak, #CCP gives you very detailed instructions including whether you should sleep together with your spouse…#COVID2019 #Coronavirus #CoronavirusOutbreak #coronaviruschina
Click here for more: https://t.co/fSwmxEsPYp pic.twitter.com/AY7Uk837Xp— Inconvenient Truths by Jennifer Zeng 曾錚真言 (@jenniferzeng97) February 16, 2020
【訳】コロナウィルスが蔓延し、中国共産党は非常に細かい指示を発令している。その指示内容には、配偶者と一緒に寝るべきではないというものまで含まれている・・・
このような中国国内の現状が西側に漏れ伝わっている状況に業を煮やしたのか、北京政府は「グレート・ファイアウォール」を回避するために使われているVPN(仮想プライベート・ネットワーク)をさらに厳しく取り締まる手段に出ているとフィナンシャル・タイムズ(FT)紙が報じた。
ここ数週間の間に、中国に駐在している外国人ビジネスマンや地元住人たちがインターネット検閲を回避するために利用している人気あるVPNサービスのほとんどが、中国政府が支援する大量の攻撃に遭っている。この攻撃により、中国国内の多くのインターネット利用者が、グーグルなど西側サイトにアクセスすることが非常に困難になっている。(本サイトも、先週、上海が都市封鎖かという記事を投稿した途端に、大量のアクセス攻撃を1日半にわたって受けている。)
中国の「グレート・ファイアウォール」は、通常、「6月4日の出来事」の記念日など政治的に敏感な時期には、自動的にVPN利用者にインターネット制限をかける。しかしここ数週間、VPNサービスを提供する企業は、中国国内で彼らのサービスを使ったネットアクセスが遮断される事象が急速に増えていると報告している:
「中国国内で、新たに遮断される件数が急増していることを当社は察知している。当社チームは、ネットアクセスに影響をもたらすこの問題に対処するため、日夜作業を進めている」と、EspressVPNは月曜、同社ウェブサイト上に注意メッセージを掲載した。
新型コロナウィルス(武漢ウィルス)の患者が発生していることを早期に警告していたリー医師が死亡し、中国人民の間では中国共産党による言論統制に反対する世論が高まっている。
先日、ブルームバーグ紙は、武漢ウィルスに感染した21歳の学生に直接取材した詳細記事を報じた。武漢に住むこの学生は、初期感染した1人であるが、幸運なことに父親が医療関係者であったため投薬治療を受けることができ発症から3週間後に完治している。
彼が経験した感染発症から完治までの悪夢のような3週間について、このブルームバーグ記事は詳らかにしている。しかし西側メディアが中国国内からの一次情報をもとに記事にする件数は、すでに減少し始めている。これは、中国政府が西側メディアのジャーナリストたちにアクセス制限を敷いているためである。一方、中国政府は300人の自国の「ジャーナリスト」たちを湖北省に派遣し、政府によるプロパガンダ記事を報道させている。
しかし「上に政策あれば、下に対策あり」の中国で、中国人民は回避策を見つけ出している。例えば、GreatFireが運営するサイトFreeBrowser.orgは、中国国内のユーザが海外のニュースサイトを閲覧することを可能にするサービスを提供しているが、このサイトの日々の訪問者数は何百万人にものぼっており、武漢が都市封鎖された2日後にあたる1月25日以降、利用者数はそれまでの約2倍に膨れ上がっている。
GreatFireのCircumvention Central(迂回セントラル)によると、中国国内の別の大手VPNサービス・プロバイダーであるAstrillの安定性が、1月にはいって4年来最低レベルにまで落ち込んでいる。これもまた、北京政府がVPNサービス・プロバイダーへ圧力をかけている証拠である:
Circumvention Central(迂回セントラル)の機能を使って自分たちが利用するVPNのテストを行う人たちも先月になって増えている。これは、VPNを利用する人々に(サイトが閲覧できないなど)問題が発生していることを意味する。Astrillにコメントを求めたが、すぐに返事はなかった。
中国国内で政府非認証のVPNの利用が取り締まりを受けるのは、当然これが初めてではない。ZDNetによると、2017年から2018年にかけても取締りが行われていたと報じられている。2018年にその取締は最高潮に達し、この夏、中国国内向けアップル・ストアーから、全てのVPN関連アプリが削除されている。さらに、北京政府は、国有企業であるISP事業者に対して、VPNを使ったインターネット・トラフィックをすべて遮断するよう命令を出している。
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