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新型コロナウィルス:チャイナによる真実に刃向かう戦争 − イタリア人記者ジウリオ・メオッティ氏による論説記事

新型コロナウィルス:チャイナによる真実に刃向かう戦争

Photo via Flickr

GateStone Instituteに掲載された、イタリア人記者ジウリオ・メオッティ氏による論説記事『新型コロナウィルス:チャイナによる真実に刃向かう戦争 Coronavirus: China’s War on the Truth 』を翻訳して紹介する。

ジウリオ・メオッティ記者は、Il Foglio紙の文化担当編集者。イタリア人記者であり作家でもある。

【訳者注記】「China」は「中国」ではなく「チャイナ」もしくは「支那」と訳した。

参考:『シナ(支那)を「中国」と呼んではいけない三つの理由』)

* * *

新型コロナウィルス:チャイナによる真実に刃向かう戦争

1月29日付けのウォール・ストリート・ジャーナル紙で、コラムニストのダニエル・ヘニンジャー氏は、「現在の状況のまま進むと、チャイナは偶然もしくは意図的に、残る全世界に対して深刻な損害をもたらす恐れがある」と記している

2月20日、歴史家のヴィクター・デービス・ハンソン氏は、「チャイナの共産党政府は、自国の14億人の国民に対してのみならず、全世界に対してますます存続にかかわる脅威をもたらしている」と記している

The Sunday Times紙は次のように記している:

チャイナにある複数の研究所では、昨年12月末までに非常に感染力が高い新たな病原体としてこの不思議なウィルスを特定していた。しかし彼らはそれについてテストを行うことを禁止され、サンプルを破棄し、このニュースを秘密にするよう命令を受けていたことを、チャイナの報道機関が暴露している。

感染拡大の発生源となった武漢にある地方公衆衛生当局者の1人は、この説明のつかないウィルス性肺炎の原因だと実証することに役立った、研究所保有のサンプルを1月1日に破棄するよう要求した。チャイナは、それから3週間以上も後になるまでヒトからヒトへの感染が発生していることを認めなかった。

信頼されている独立系メディアの財新国際(Caixin Global)が報じた詳細な暴露情報では、クリティカルな感染の初期段階において大規模な隠蔽が行われていたという、非常に明白な証拠を提供している。この隠蔽により、感染拡大を制御する大切な機会が失われてしまった。

2019年12月31日に行われたスピーチの中で、習近平は、最初の100年目標(*1)を達成するための重要な節目となる新年を得意満面に歓迎している。

(*1)共産党は2021年に創立百年を迎える。

「検閲、それは命に関わる結果を招く。もしチャイナが自国のジャーナリストや海外のジャーナリスト、そして医療関係者たちが自由に発言し調査することを許可していたならば、チャイナの政府当局者たちそして他の国々は、今回の問題に対してずっとよりうまく準備することができていただろう」と米国務省のマイク・ポンペオ長官は2月25日に語っている。

残念ながら、世界保健機関(WHO)はそれと真逆のことを行った。WHOは、チャイナがこのウィルスにうまく戦ったと「称賛」した。欧州もまた、チャイナへ譲歩することに忙しい状態が続いている

チャイナでは、その人口の約半分にあたる7億8000万人が移動制限の下で生活している。そして国のトップである習近平は、この危機を利用して統制を強化している。2013年以降、彼は自身の強大な権力を拡大し続けており、「終身主席」の座にとどまっている。そして現在、新型コロナウィルスを利用することで、反体制派を封殺しながら、国民に対する自身の統制力をさらに強化しようとしている。

イタリアは現在、他のヨーロッパ全体で発生している感染者数を合計したよりも多くの人が感染している。そんなイタリアが被った影響は、ミラノのサッコ病院の一流の感染症専門家、マッシモ・ガッリ医師が次のように説明している

我々は最大限の緊急事態にある。その通りだ。私は懸念している。この伝染病は、どう見てもイタリアの一部をすでに占領してしまっている・・・率直に言って、この状況は医療制度の観点から見て緊急事態だ。重大な病気により一度に入院した患者数という観点からして、これは「津波」状態だ。これは氷山の一角にしかすぎない。世界で最高の医療体制を整えた国であっても(実際私たちはそんな中の一国だが)、これほどのインパクトには耐えられないかもしれないというリスクに晒されている。

その一方で、チャイナが行っている真実に刃向かう戦争は着々と進められている。上海医療センターの研究所が、1月12日に閉鎖された。これはジャン・ヨンジェン教授のチームが、このコロナウィルスのゲノム配列をオープン・プラットフォーム上で公開した翌日の出来事である。チャイナの政権は、自国の科学者たちが感染拡大を封じ込める方法を発見することを妨害した。彼らが犯した「罪」とは?チャイナの政府当局が行う前に、ゲノム配列を世界に公表したことである。

「この感染症は、この国が腐敗、官僚主義、情報統制と検閲に完全に埋没していることを白日の元に晒した」と北京在住のフリーランスの作家であるフィリップ・ウー氏は語っている

チャイナ政権が自国内の言論にのみ口を挟んでいると考えている人は、イギリスの報道を読むべきだ。それはいかにチャイナがイギリスにおけるアカデミズムの自由までも阻害しているかを明らかにしている。

新型コロナウィルスの震源地である武漢出身の2人の看護師、ゼン・インチュンさんとジェン・ヤンさんは、医学雑誌の「ランセット(The Lancet)」に衝撃的な書簡を送った。その中で、この2人は国際的科学コミュニティーに対して支援を求めている:

武漢における現状と私たちが置かれた環境は、かつて想像できた以上に過酷を極めています。N95マスク、フェイス・シールド、ゴーグル、上着、手袋といった防護用の備品は深刻な不足状態です。ゴーグルはプラスチック性のため、病棟で何度も洗浄・殺菌していると(傷などがついて)よく見えなくなっています。

しかし(この書簡が掲載された)翌日、この2人の看護師はこの書簡を取り下げるよう要請している

チャイナ政権は、この流行病について最初の警告を発した李文亮医師を拘束した。李医師はこの病気で間も無くして亡くなった。12月30日、彼は自分の医療現場の同僚たちに対して警告を送った。しかし警察は彼に対して「誤った意見を流布」するのをやめろと告げた。多くのジャーナリストたちが真実を語ったが、彼らは逮捕されるかもしくは「忽然と失踪」している。チャイナ国内のソーシャルメディアでは、政府が発表する何週間も前からこのウィルスが話題になっていた。そして現在、チャイナの共産党政権は、この流行病について6カ国語で書籍を出版する計画であると発表している。この書籍では、習近平のことを「偉大なリーダー」であり「人民に対する思いやりがある」と描写している。

中国科学院武漢ウィルス研究所( Wuhan Institute of Virology)では、中国本土としては最高の生物学的封じ込めレベルを備えたラボで科学者たちが研究を行っており、世界で「最も危険な病原体」について研究を行っている。新型コロナウィルスが武漢にあるウィルス研究所と関係があるということは、一部の人々には「陰謀論」と考えられているが、米国の疾病管理センター(CDC)からの支援をすぐさま拒否したという事実は、当然、疑惑を呼び起こす。世界銀行の元総裁であり国防総省の元次官であるポール・ウォルフォウィッツ氏は次のように語っている

武漢という場所が、中国科学院武漢ウィルス研究所として知られる中国の先端ウィルス研究所のお膝元であるという事実が、予想通りに、新型コロナウィルスはこの研究所からどういう経緯でか漏洩した可能性があるという疑惑を生む。この研究所は、チャイナの軍向けに機密作業も行っている。

チャイナの専門家であるスティーブン・モシャー氏は、ニューヨークポスト紙の中で「チャイナの発表を信じるな:新型コロナウィルスは研究所から漏洩した可能性がある」と記している。我々は真実をまだ知らないし、決して知ることはないかもしれない。このウィルスが生物研究施設から漏洩したという仮説は、実際に「非主流派」の考えであることが証明されるかもしれない。しかしチャイナの秘密主義の程度やこのウィルスについての言論を弾圧する危険な言論統制を考えると、これは少なくとも合理的で筋の通ったまっとうな仮説であることは間違い無いのではないか?

だれもが見る限り、チャイナの共産党政権は、人の命や自由、尊厳に対してなんら尊重しない。この政権は、囚人から臓器を収奪するために彼らを殺害している。そして「人口抑制」のために「強制堕胎」を実行している。様々なウィルスによる流行病が発生しているだけでなく、「幼児殺害」も行われている。75歳のチャイナ出身の人権活動家、ハリー・ウー氏が行った調査によると、チャイナの「再教育施設」では現在、600万〜800万人の囚人が強制労働させられている。その一方で、チャイナ政権はこの殺人コロナウィルスについての真実を封殺することで、自国民だけでなく国際コミュニティーさえも危険にさらしている。

イタリアが犯してしまった致命的な過ちは、チャイナ政権を信頼してしまったことだ。支那人だろうとイタリア人だろうと、1月以降チャイナから戻ってくる人たち全員の検査を行う代わりに、イタリアは国境を開き続けた。現在、数万人(*2)のイタリア人が隔離されており、(3月6日時点で)3858人が感染し148人が死亡している。北イタリアの経済は麻痺し、人々の間では恐怖とヒステリーが蔓延し、ミラノのスーパーマーケットは空の状態となっている。これらは、新型コロナウィルスの影響のほんの一部である。イタリアは、現在、チャイナと韓国に次いで3番目に最も感染者数が多い国である。そのすぐ後にはイランが続く。

(*2)今週からイタリア全土が封鎖され、全6000万人のイタリア国民が自宅隔離されている。

シカゴ大学の政治科学部教授であるダリ・ヤン氏は、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙とのインタビューの中で、新型コロナウィルスの予期せぬ影響と、1986年にウクライナで起きたチェルノブイリ原発事故とを比較している。「これはチェルノブイリ規模のクライシスになるでしょう。特に、この先何年にもわたって私たちはこのウィルスと戦わなくてはいけなくなるのですから」とヤン教授は語っている。世界の製薬会社およバイオ技術企業は、ワクチンの開発を進めており、これによりある時点で損害は食い止められることが期待されてはいる。1979年に旧ソ連のスベルドロフスク(Sverdlovsk)で炭素菌の漏洩事件が発生した。ソ連の生物兵器施設から炭素菌が漏れ出し、少なくとも64人が亡くなった。ソ連(当時)とロシアの当局者たちはこの事件を1992年まで隠蔽し続けることに成功した。核、ウィルス、生物兵器による大事故、そしてこれらの秘密を隠蔽しようとする国家主導のキャンペーン。どれもが独裁国家で繰り返し起こされるものであるように見える。

残念ながら、我々西側の人間は、ソ連に対して行ったのと同じように、共産主義のチャイナに対して許しがたい過ちを繰り返しているようだそれはすなわち、被害妄想に犯された無慈悲な独裁政権を信頼するという過ちである。

「習近平による全体主義体制というウィルスは、チャイナの人々だけでなく、世界のあらゆる場所にいる我々全員の健康と自由に脅威であるというのは明らかである」と反政府活動家のマ・ジアン氏は記している

亡くなった李文亮医師に捧げられたWeChatのとある投稿には、ソ連の化学者、ワレリー・レガソフ氏の言葉からの引用が含まれている。レガソフ氏はチェルノブイリ原発事故を調査した人物であり、真実を語ろうとしたにもかかわらずソ連政府に封殺・迫害され、嘘をつくことを強要された人物である。

嘘の代償は何か?それは我々が嘘を真実だと誤解するということではない。真の危険は、我々が嘘を十分なまでに聞き続ければ、我々は真実を認識することがもはやできなくなるということなのだ・・・

レガソフ氏は、後に自ら命を絶っている。いつの日か、我々西欧人は、チャイナの共産主義政権に対してその冷血な犯罪行為の責任を負わせなかったことに対して後悔の念を感じるかもしれない。我々がソ連に対して行ったように、チャイナに譲歩する行為は、単なる失敗ではすまされない。それは命に関わる脅威なのだ

【更新情報】

https://twitter.com/BFidr/status/1237534577343647744?s=20

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