カナダ国立研究機関はチャイナ企業CanSino Biologicsと新型コロナ・ワクチンを共同開発すると発表|その一方で武漢研究所からの要請でエボラとヘニパウイルスを発送したカナダ人科学者2名は今も捜査対象
カナダ国家研究会議(NRCC:National Research Council of Canada)は、5月12日、新型コロナウイルス(武漢ウイルス)へのワクチン開発のスピードを早めるために、チャイナの企業CanSino Biologicsと協力開発すると発表した。カナダの公共放送局CBCが報じた。
CanSino Biologicsは、新型コロナ・ワクチンに関してすでに人間での臨床試験を開始している。
4月時点で、5種類のワクチン候補が人間での初期段階の臨床試験に進んでいる。そのうちの一つにCanSino Biologicsの「Ad5-nCoV」と呼ばれるワクチン候補が含まれている。
5月12日に発表された声明によると、CanSino Biologicsと協力することで、カナダの公的資金が投入されているカナダ国家研究会議は、カナダ人を守るためのワクチン候補を十分生産するために、必要とされる技術をスケールアップ(規模拡大)することができるという。
カナダ国家研究会議は、同研究所の科学者たちがエボラ・ワクチンを研究していた際に開発した細胞株を使ってワクチン製造を行う計画である。
ただし、効果が認められるワクチンは、通常、開発し大量生産するのに5年〜15年かかるとCBCは報じている。
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その一方で、カナダは、今週、世界保健総会に新型コロナウイルスの独立調査を要望する決議書を支持する122か国にも名前を連ねており、チャイナとは微妙な関係が続いている。
さらに、新型コロナウイルスの発生源であると疑われている武漢ウイルス研究所からの要請で、エボラとヘニパウイルスを発送していたカナダ人科学者2名が現在も捜査の対象になっている。National Postがこれを報じている。
(Photo via National Post)
カナダでトップクラスの感染症研究所である『カナダ国立微生物学研究所(National Microbiology Laboratory)』で有名研究者であったシングオ・チュー(Xiangguo Qiu)氏(上の写真・右側)は、エボラ・ウイルスへの効果的治療法と当時目された手法を共同開発し、世界中から称賛されたことがある人物。しかし、彼女とその生物学者である夫ケッディン・チェン(Keding Cheng)氏は、昨年7月、同研究所から警察に連行されている。現在、この2人は同研究所から除籍されている。
しかしそれから約1年が経過した現在も、捜査はまだ終了していない。この2人の研究者を雇用していたカナダの公衆衛生当局は、この2人が関わっている案件が、チャイナの武漢と別の接点があったことを公表している。
カナダ公衆衛生当局の広報官エリック・モリセッティ氏は、この2人が2019年3月にチャイナに発送したエボラとヘニパウイルスの検体は、武漢ウイルス研究所からの要請を受けて行われていたことを明らかにした。
シングオ・チュー氏は、彼女が除籍処分を受けるまでの過去3年間で、生まれ故郷であるチャイナに8回渡航していた。そのうち2回は武漢を訪問しており、2017年9月には武漢ウイルス研究所で研究者たちを訓練する支援を行なっていた。
しかしカナダ政府と警察当局は、この2人の研究者たちが武漢ウイルス研究所や、今回パンデミックを引き起こした武漢ウイルスについてどのような関わりがあるか、もしくは関わりがないのかに関して、ほとんど情報を公開していない。そのため武漢ウイルスと『カナダ国立微生物学研究所(National Microbiology Laboratory)』の関係を疑う陰謀論が広まっており、同研究所の職員たちは不満を募らせているとNational Postは報じている。
マニトバ州警察の広報担当であるポール・マネガー巡査部長は、「本件はいまだ捜査中である。現時点では誰も告訴されていない」と語っている。
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