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【オピニオン】1929年のウォール街大暴落が連鎖反応を引き起こし1939年の第2次世界大戦へと導いた

【オピニオン】1929年のウォール街大暴落が連鎖反応を引き起こし1939年の第2次世界大戦の原因となった

エリック・ピーターズ氏(Photo via AllianceBernstein)

ヘッジファンドOne River Asset Management最高投資責任者(CIO)、エリック・ピーターズ氏・筆|2021年3月7日掲載

 

失われたアーク*

(*ノアの方舟、またはそのような避難場所)

 

非流動性がクレジット市場に忍び寄っている。ハイマン・ミンスキーが特定したような信用リスクは、銀行システムから資本市場へと移行している」と、業界を代表する考古学者であり探検家でもあるインディアナ氏は述べている。

 

社債発行による企業の借入は、ETF(上場投資信託)に組み込まれており、この信用リスクの移行において重要な部分を占めている。「クレジットスプレッド(企業の信用力の差による利回りの差)が安定していたとしても、今回の金利上昇は信用資金に打撃を与えた」。LQD(iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF)は、年初来マイナス6%。「資金の流出は年初来68億ドル——2020年2月中旬〜2020年3月中旬までのパンデミックによる資金流出はわずか45億ドルだった」。

 

「今週は、クレジットETFが純資産価値に対して割安で取引されることが戻ってきた。今のところは小幅であり、過去3日間で平均20ベーシス・ポイント以下だ」とインディアナ氏は続けた。原資産の流動性が低下すると、ETFを通じてその流動性を提供する市場参加者の能力も低下する。「この割引(債権が額面価格よりディスカウントされて取引されること)は、流動性の条件における限界的な擦り減りを捉えており、早期の警告となっている」とインディアナ氏は語った。

 

また、世界の金融市場の重要資産である米国債は、今週、債権借り入れコストが急上昇した。そして米国債の非流動性は急上昇した」。

 

急激な計画外の崩壊 

 

1929年のウォール街大暴落(大恐慌)は連鎖反応を引き起こし、急激な計画外の崩壊が10年間続いた。そして人類を1939年の第2次世界大戦へと導いた。1930年代の米国の失業率は平均18.2%、消費者物価指数(CPI)は平均マイナス2.0%だった。この10年でS&P 500種株価指数は42%が消失した(実質投資利益率はマイナス29%だった)。1970年代の「急激な計画外の崩壊」は2つの残酷な不況をもたらし、米国の失業率は平均6.4%、消費者物価指数(CPI)は平均+7.25%だった。S&P 500種株価指数は17%の上昇であり、経済があたかも健全であるかのような錯覚を与えた。実質投資利益率は1930年代よりも悪く、42%の下落となった。

 

  • 1930年:アメリカの消費者物価指数(CPI)=マイナス2.7%S&P 500のインフレ調整後収益率=マイナス23% 、米国 10年物中期国債インフレ調整後収益率=プラス7.4%
  • 1931年 CPI =マイナス8.9%、S&P 500=マイナス38%、米国 10年物中期国債=プラス7.0%
  • 1932年CPI =マイナス10.3%、S&P 500=プラス2%、米国 10年物中期国債=プラス21.3%
  • 1933 年CPI =マイナス5.2%、S&P 500=プラス58%、米国 10年物中期国債=プラス7.4%
  • 1934年 CPI =プラス3.5%、S&P 500=マイナス5%、米国 10年物中期国債=プラス4.3%
  • 1935年 CPI =プラス2.6%、S&P 500=プラス43%、米国 10年物中期国債=プラス1.9%
  • 1936 年CPI =プラス1.0%、S&P 500=プラス31%、米国 10年物中期国債=プラス3.9%
  • 1937年CPI =プラス3.7%、S&P 500=マイナス38%、米国 10年物中期国債=マイナス2.3%
  • 1938年CPI =マイナス2.0%、S&P 500=プラス32%、米国 10年物中期国債=プラス6.4%
  • 1939年 CPI =マイナス1.3%、S&P 500=0%、米国 10年物中期国債=プラス5.8%

 

  • 1970年:アメリカの消費者物価指数(CPI)=プラス5.8%S&P 500のインフレ調整後収益率=マイナス2% 、米国 10年物中期国債インフレ調整後収益率=プラス10.3%
  • 1971年CPI =プラス4.3%、S&P 500=プラス10%、米国 10年物中期国債=プラス5.3%
  • 1972年CPI =プラス3.3%、S&P 500=プラス15%、米国 10年物中期国債=マイナス0.4%
  • 1973年CPI =プラス6.8%、S&P 500=マイナス19%、米国 10年物中期国債=マイナス2.4%
  • 1974年CPI =プラス11.1%、S&P 500=マイナス33%、米国 10年物中期国債=マイナス8.2%
  • 1975年CPI =プラス9.1%、S&P 500=プラス25%、米国 10年物中期国債=マイナス5.0%
  • 1976年CPI =プラス5.7%、S&P 500=プラス17%、米国 10年物中期国債=プラス9.7%
  • 1977年CPI =プラス6.5%、S&P 500=マイナス13%、米国 10年物中期国債=マイナス4.9%
  • 1978年CPI =プラス7.6%、S&P 500=マイナス1%、米国 10年物中期国債=マイナス7.8%
  • 1979年CPI =プラス11.3%、S&P 500=プラス6.5%、米国 10年物中期国債=マイナス9.5%

 

1940年代と1980年代は共に、直前10年間に資本を残しておくことができた投資家が巨万の富を築き、株式市場は活況を呈した。

 

逸話

 

「19 世紀は、国民国家の形成がその特徴となった。米国は、ちょうど英国との関係を切り抜け浮上していた。ウィーン議定書はオランダなどの国を形成した。フランスでは革命が起き、ナポレオンを排除した。ドイツは統一され、イタリアは国民国家となった」と、このオランダ人男性は語った。個人投資家である彼は、市場、貿易、金融で財を築いた。

 

「20世紀は、国内そしてグローバルにおける政府機関、同盟関係、米国連邦準備制度(Fed)、国連、そしてその中間に位置するその他多くが設立された時代だった」。国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界保健機関(WHO)、NATOなど、リストは延々と続く。政策も同じだ。社会保障、メディケア(高齢者向け医療保険制度)、メディケイド(連邦と州が負担し、州が運営する低所得者向け医療費補助制度)、州の年金などだ。政府機関も無数に生まれた:CIA、FBI、NSA(国家安全保障局)、NASA、EPA(環境保護庁)、FDA(食品医薬品局)、等々。

 

「最近、これらの政府機関の多くが非難の対象となっており、これら政府機関に組み込まれた信頼のレベルが低下している」とこのオランダ人男性は言った。(1月6日の議事堂襲撃で暴徒の中にいた)アメリカの角を被ったシャーマン男のイメージが世界の意識に焼き付いていると言った。

(Photos courtesy of @KelemenCari)

 

歴史の動きはゆっくりとしたものから、急速なものへと一気に変化していく。私たちは本を読んだり、映画を見たりするが、それらは何年、そして時に何十年もの時間を狭い章に圧縮しており、大きな時代の変化が展開しながら、その時代の中で生きていた人たちにもその変化が明らかであったかのような錯覚を起こす。そしてこうしたことは、私たちの足下の地面がガタガタと震動しているにもかかわらず、私たちが今日起きている地殻変動(劇的な変化)に気が付かず、無視してしまうことを許してしまう

 

信頼性に対する必要性がこれまで以上に高まっている時期に、このような信頼の低下は連邦準備銀行(FRB)についても言えることである。そのことは、今後の金融市場の進路軌道を特に難しいものにし、非常に不安定なものにする可能性がある」と同氏は語った。

 

「そして、富を資本家から労働者へと再分配する力が今、動き出しているように見える」と、このことをじっくりと考えながらこのオランダ人男性は語った。

 

毎世紀において数十年間は、実質的な富(実質資産)を維持する者が勝者となる傾向がある。今はそのような時代に入っているようだ」。

 

(太字強調はBonaFidr)

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