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ピーター・ティール氏が警鐘:「ビットコインはチャイナが仕掛ける対米金融兵器である可能性がある」

ピーター・ティール氏が警鐘:「ビットコインは米国に対するチャイナの金融兵器である可能性がある」

右からピーター・ティール氏、マイク・ポンペオ前国務長官、ロバート・C・オブライエン元大統領補佐官(Photo via Richard Nixon Foundation)

リチャード・ニクソン財団が4月6日(火曜)に主催したバーチャル円卓会議で、ペイパルの共同創業者で大富豪のピーター・ティール氏は、暗号通貨のビットコインは「チャイナが仕掛ける対米金融兵器である可能性がある」と発言した。

 

シリコンバレーでは珍しい保守派でありながら同性愛者であることを公言しているピーター・ティール氏は、2018年初期の段階では「暗号技術は自由主義(リバタリアン*)、人工知能は共産主義」と言い、暗号通貨を支持する発言をしていた。

 

*リバタリアンとは?

「他者の自由を侵害しない限りにおける、各人のあらゆる自由を尊重しようとする思想的立場」(出典:Weblio)。リバタリアン党は、アメリカでは民主、共和に次いで第3番目の政党。

 

当時、ティール氏は、特に「分散化と中央化」について議論していた:

 

  • 暗号通貨は一般的にオープンソースであり、技術力のある人なら誰でも寄与することができる。その上、任意の暗号通貨の成長の仕方に不満のある人は、それを「フォーク」して新しいコインを作ることができる(これはビットコインやイーサリアムですでに見られたこと)。暗号通貨は、政府の手の届かない、超法規的なものとして設計されていることでも有名だが、もちろん米証券取引委員会(SEC)や国税庁(IRS)はそんな考えを却下したいと思っている。

 

  • 一方、人工知能は、その前に起きたトレンドであるビッグデータに依存している。ビッグデータは大きな組織によって集められている。歴史的に見ると、ソ連や毛沢東主義のチャイナなどの共産主義政権は、高度に中央集権化された統制経済の実現を目指していたとティール氏は指摘する。十分に強力なAIがあれば、何千マイルも離れた場所から、農民によるジャガイモの収穫量を数ヶ月前に正確に予測できるという官僚の夢を実現できる

 

ビリオネアーのベンチャー・キャピタリストであるピーター・ティール氏は、当時、「チャイナ共産党は暗号通貨を憎み、人工知能を愛でている」と語っていた。

 

それから3年が経過した現在、パランティア(Palantir)の共同創業者で、フェースブックの取締役会メンバーでもあるピーター・ティール氏は、トランプ政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏と同国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたロバート・C・オブライエン氏との3人で、リチャード・ニクソン財団が主催したバーチャル円卓会議に参加し、チャイナとの関係が問題視されているアメリカの巨大IT企業について議論した

 

ニクソン財団の公式ツイッターがこの円卓会議の動画を複数投稿している(以下はその投稿の一つ)。この日の発言内容を文字起こしした全文はここで公開されている。

 

ポンペオ前国務長官がピーター・ティール氏と共にこの円卓会議に参加したことは、2024年の大統領選に出馬することを意味している可能性があると一部の人たちは指摘している。ポンペオ前国務長官は、共和党から大統領候補に出馬する可能性が高いと広く目されている。また、ピーター・ティール氏も、トランプ元大統領に近い候補者を支援する意思を示している。

 

この会議の中で、ティール氏は、特にアップル社が米国の利益にとって「構造的に大きな問題を抱えているハイテク企業」と見なす発言を行っており、「アップルこそがチャイナと真のシナジー効果を持っている企業である」と述べている。さらに同氏のコメントで聴衆の注目を集めたのは、彼が米国政府に対して暗号通貨について規制強化——特にチャイナに対する規制強化——を検討するよう促したことだ:

チャイナの立場から見ると、彼らは私たちにこの基軸通貨(米ドル)を持たれるのをよしと思っていない。なぜなら、この基軸通貨は石油のサプライチェーンなどに大きな影響力を持つからだ・・・。

 

彼らは、人民元が基軸通貨になることを望んでいない。なぜなら、もしそうなると、彼らは自国の資本勘定を開かなければならなくなるからだ(そうなると、チャイナが大切にしている中央集権的なコントロールが失われてしまう)。

 

ユーロはおそらく、チャイナがドルに対抗するための潜在的な武器と見ることができる・・・過去10年間はそのようには機能しなかったが・・・しかしチャイナは2つの基軸通貨が出現することを望んでいた可能性があり、そうなればユーロを活用していた可能性がある。

 

そしてティール氏は話題を暗号通貨に変えて次のように語っている:

現時点で、ビットコインはチャイナの対米金融兵器と考えるべきなのかもしれない

 

ビットコインは法定通貨を脅かしているが、特に米ドルを脅かしている

 

(米ドルがビットコインなどの暗号通貨に対して急速に価値を失っていることは、ここで紹介したエリック・ピーターズ氏も指摘している。)

 

そしてティール氏は次の提案を行っている:

(もし)チャイナが、おそらく地政学的な観点からビットコインにロング・ポジションを取る場合、米国はそれがまさにどのような仕組みで行われるかについて、もっと厳しい質問をすべきだろう

 

シリコンバレーのIT業界で鋭い先見の明を持っていることを証明してきたティール氏は、チャイナが進める中央銀行デジタル通貨(CBDC)について次のようにコメントしている:

・・・これは本物の暗号通貨ではない。それは、ある種の全体主義的な測定装置にしか過ぎない。

 

彼の暗号通貨に関する全コメントは、以下で視聴することができる:

【訳】ペイパルの共同創業者であるピーター・ティール氏の発言:「私は暗号技術を支持し、ビットコインを支持するマキシマリストの人間だが、現時点で、ビットコインはチャイナの対米金融兵器と考えるべきなのかもしれない」。

 

暗号通貨に関するさらなる議論については、#ニクソン・セミナーから

 

一部の人たちからは、ティール氏がビットコインについて手のひらを返したように見えるという意見もあるが、おそらくティール氏は、暗号通貨がドル覇権に対する脅威(絶えず紙幣を乱発する中央銀行に対する保険)とみなされているという一般的な事実を単に述べているだけと解釈することもできる。そしてもしチャイナが、一極世界秩序との戦いの中で米ドルの弱体化を狙っているのであれば、彼らがビットコインを買う(あるいは違法でも採掘する)のは理にかなった行動である

 

ビットコインのマイニングを行っている国別ランキング(月平均)

(Graph via University of Cambridge

 

むしろティール氏は、ビットコインを金融兵器として使い米ドルを追い詰めようとしているチャイナに対抗するために、米国もビットコインを購入すべきと示唆している可能性の方が高い。

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