トランプ前大統領、チャイナとその協力者に責任を取らせる大統領令を計画していた=報道——またバイデン大統領はチャイナと対決しようとする国務省の取り組みを潰していた
トランプ前大統領は、就任当時、アンソニー・ファウチ所長やEcoHealth Allianceのピーター・ダザク氏を大統領委員会で審問し、チャイナやその協力者たちにコロナパンデミックの責任を取らせる計画だったと、6月6日(日曜)、The Australianが報じた。(有料記事)
ピーター・ナヴァロ大統領補佐官(通商担当)が陣頭指揮を執り、大統領令の草稿まで完成させ、賠償金法案の作成まで行っていた。しかしこの計画は実行される直前で、トランプ政権の経済担当補佐官たち(特にラリー・クドロー国家経済会議委員長)による大統領の説得が行われ、土壇場で潰されたという。こうした内部事情は、The Australianのシャリ・マークソン氏が今年9月に出版する予定の書籍「武漢で本当は何が起こっていたのか:隠蔽、陰謀、そして秘密研究(“What Really Happened In Wuhan: The cover-ups, the conspiracies and the classified research”)」に収録されている。
シャリ・マークソン氏はThe Australianに掲載した記事で次のように記している:
トランプ氏は、9.11同時多発テロやジョン・F・ケネディ暗殺を調査した委員会と同様の大統領委員会の設置に「熱心」だった。
2020年8月にホワイトハウスが草稿を作成した大統領令には、次のように記されている:
「アメリカ合衆国の憲法と法律によって大統領である私に与えられた権限により、以下のように命じる:COVID-19の起源とコストに関する全米委員会をここに設立する」。
この大統領令は、ピーター・ナヴァロ大統領補佐官(当時)のアイデアであり、国務長官だったマイク・ポンペオ氏の支持も取り付けていたという。この草稿版の大統領令によると、トランプ大統領は、トム・コットン上院議員を同委員会のトップに据え、ポンペオ国務長官(当時)の上級政策顧問であるメアリー・キセル氏とチャイナ担当顧問のマイルズ・ユー氏が共同議長と共同副議長、またはエグゼクティブ・ディレクターとして候補に上がっていた。
地政学に関するセッションで、米国メリーランド州にある生体防御プログラムの本拠地であるフォート・デトリック(米陸軍・生物兵器研究所)の将軍が、ウイルス学の審問部分を担当することになっていた。この審問において、ファウチ所長になぜ危険な武漢でのコロナウイルス研究に資金拠出したのか説明させるために彼を召喚することになっていた。NPO組織のEcoHealth Allianceの代表であるピーター・ダサク氏(ファウチ所長が所属するNIHから数百万ドルの資金提供を受けていた)は、行方不明となっている武漢ウイルス研究所のウイルス・データベース他について厳しく尋問されることになっていた。
この他にも、シャリ・マークソン氏は近著の中で次のことを明かしている:
・チャイナがこの急速に拡大するウイルスの隠蔽を行っていることや、この武漢の研究所で生物兵器条約違反の疑いがあることについて、ジュネーブでチャイナと正式に対決するという国務省の軍備管理・検証・遵守局が行っていた取り組みを、バイデン大統領は潰した。
・「慎重に扱うべきだが機密扱いではない」内部報告書の中で、米国政府高官らは、チャイナがCOVID-19アウトブレークの発生前にワクチンを開発していたのではないかと疑っていた。
・米国の複数の諜報機関は、ウイルスが「自然由来」なのか「実験室由来」なのかについて、大きく対立しているピーター・ダザク氏とノースカロライナ大学のラルフ・バリック教授に助言を求めた。ダザク氏とバリック教授は、ともに武漢ウイルス研究所のコウモリ研究者らと長年仕事をしてきた経験があり、このウイルスは自然起源でしか出現しえないと主張してきた。その結果、国家情報長官室は「人為的に作られたものではありえない」という声明を発表した。
シャリ・マークソン氏の書籍によると、この大統領令で、同委員会は「COVID-19パンデミックの起源、米国が負担したパンデミックの経済的、政治・社会的、人的、その他のコスト、そして、中華人民共和国またはチャイナ共産党(CCP)がパンデミックを利用して自らの経済的、地政学的、軍事的、領土的な計略を推進したかどうか」を調査する任務を負うことになっていた。また、同委員会は、「あらゆる損害およびすべての試算コストを回収するために」チャイナ政府に送りつける「請求書」を集計することにもなっていた。
ピーター・ナヴァロ大統領補佐官が主導し作成した大統領令の草稿:
しかし、チャイナに賠償請求させようとするナヴァロ大統領補佐官らの活動は、政権内部で抵抗に遭った。The Australianのシャリ・マークソン氏は次のように記している:
チャイナ共産党の責任を追及し、パンデミックによる経済的・人的被害に対する賠償を彼らに求める決意をしたこのような大統領委員会は、一触即発の暴発を引き起こしかねず、すでに緊張していた米中関係を著しく悪化させるものであった。マイルズ・ユー氏はホワイトハウス内に委員会運営のためのオフィスを設置し終え、ナヴァロ氏は「私たちはもう少しでゴールにたどり着くところだった」と語っている。
しかし、大統領執務室で行われた会議で、トランプ氏の経済担当顧問たちがそれに猛反対を唱え、この大統領委員会は潰された。
他の政府高官たちは、この委員会が11月の選挙を間近に控えた政治的な戦略と見なされ、メディアに嘲笑されることを懸念していた。
ホワイトハウスのある高官は次のように述べている:
「それは実際には素晴らしいアイデアだったが、提案されるのが遅すぎた。
それは非常に政治的な印象を与えただろうし、(我々は)チャイナ問題を超党派的なものにしようと非常に努力していた。
そのような調査はまさに正しいことだが、超党派的に見られるような委員会をトランプ大統領が任命することはほとんど不可能だった・・・(政権内部の)人々は左派に発狂しすぎていた。左派はそれに参加しなかったと思う」。
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一方、ピーター・ナヴァロ氏は、この計画を潰したのは失敗だったと言い、次のように語っている:
「彼らは皆、チャイナのために弁明をするような人たちだ。(国家経済会議委員長のラリー・)クドローはただのバカで脳なしだ。私のこの発言を引用してもらっても構わない。
あれは私がホワイトハウスにいた4年間で最も失意に突き落とされた出来事だった。私はあの委員会を設立するために、本当に懸命に働いた。
真珠湾攻撃、BP原油流出事故、そしてケネディ暗殺の際にも大統領委員会が設置された。コロナウイルスの起源について調べるためにも、我々は同様の委員会が必要だ」。
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