米西海岸の2つの金融機関の“身売りと業務清算”はウォール街にも波及するのか?——SVB株が取引停止、シルバーゲート・キャピタルは突然銀行業務を清算>>米FDICがSVBの経営権を取得
【アップデート情報】
米国の銀行規制当局は、3月10日(金曜)、国内16位の銀行であるシリコンバレー・バンク(SVB)の経営権を取得した。Axiosが速報を報じた。
連邦預金保険公社(FDIC)は、SVBの全預金を移管する新銀行を設立し、「すべての被保険預金者は、遅くとも月曜日の午前中には被保険預金に完全にアクセスできるようになる」と述べたと報じられている。
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米カリフォルニア州にあるシルバーゲート・キャピタルが「銀行業務を清算し、事業縮小する」と3月8日に発表した。そして米国時間の3月10日(金曜)朝、今度は同州にあるシリコンバレー・バンク(SVB)の親会社SVBファイナンシャル(SIVB)の株式が取引停止となった。
子会社のシリコンバレー・バンク(SVB)が経営難に陥ったため、親会社のSVBファイナンシャル(SIVB)は資金調達を試みたが、それも失敗に終わった。そして現在同社が買い手を探しているという報道を受けて、SVBの株価は木曜、60%以上下落した後、金曜の立会取引時間前に行われる時間外取引で68%急落したため、取引停止となった。
取引停止になる前のSVBファイナンシャル(SIVB)株の株価が66.6%暴落したことを伝えるツイート:
ブルームバーグ通信は3月10日、次のように伝えている(太字強調はBonaFidr):
シルバーゲート・キャピタル社の突然の閉鎖とSVBフィナンシャル・グループの性急な資金調達により、米国の銀行株は急落し、金融業界全体が次の噂話でもちきりとなった――これは、もっと大きな問題の始まりなのだろうか?
かつてカリフォルニア州で隆盛を誇った両金融機関における問題は、すぐに預金を引き揚げてしまう気まぐれな預金者たちだった。しかし、その問題の下には、金融界全体に及ぶ亀裂が横たわっている――上昇し続ける金利により、銀行は損失を出さずには売ることのできない低金利の債券を大量に抱えている。そのため、多くの顧客が一度に預金を引き出してしまうと、悪循環に陥る危険性がある。
シリコンバレーの金融危機が、アメリカの大手銀行を動揺させる理由を、米Yahoo!ファイナンスは次のように解説している:
アメリカ西海岸にある2つの小さな銀行の問題が市場に波及し、投資家たちの間でアメリカ国内最大の金融機関に対する新たな懸念を引き起こしている。
それはなぜか?それは3語に尽きる:上昇を続ける金利(rising interest rates)のせいだ。
FRBが行っているインフレ抑制のための積極的なキャンペーンが、カリフォルニア州の2つの金融機関――SVBファイナンシャル(SIVB) と シルバーゲート・キャピタル(SI)――の大問題を引き起こすきっかけとなった。預金の流出により、両社とも損失を出しながらの資産売却を余儀なくされた。これらの資産とは債券である。
銀行が国債のような資産への大投資家である理由は、自らの現金を安全に保管する場所がたくさん必要だからだ。パンデミック初期の歴史的な低金利の時代に、銀行は大量の新規預金を受け入れ、しかし融資はやや抑制される一方で、多くの金融機関がこうした投資先にどっと押し寄せた。
しかし、現在、FRBは急速に利上げを進めており、ジェローム・パウエルFRB議長は今週初め、経済をさらに冷やすために利上げのペースを速める必要があるかもしれないと警告した。これによって生じる銀行の問題は単純だ――金利が上がれば、既発債の価値は下がるということだ。
ウォール街の「ビッグ4」と呼ばれる大手銀行の中でも、バンク・オブ・アメリカが抱える「純評価損益/含み損(net unrealized loss)」が突出していることが指摘されている。
【訳】Oh、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、君は、悪い、悪い銀行ちゃんだなぁ
SIVB株を保有するトップ機関投資家リスト:
金融系ケーブル局CNBCの名物パーソナリティーで投資家のジム・クレイマー氏は、今年2月、シリコンバレー・バンク(SVB)の株は安くて買いだと視聴者に吹聴していた。アメリカの一般個人投資家たちは、その「手口」に気付き始めている。今月初め、クレイマー氏が勧める株式を全て『空売り』するETFが登場したと報じられたばかり。
BonaFidrをフォロー【訳】@Ben_Rickert
ジム・クレーマーの発言歴:
2008年: ベア・スターンズは大丈夫、あなたのお金を引き出すな
2023年:シリコンバレー・バンクは大丈夫だ…
みんな、何をすべきかわかってるよね。
@zerohedge
シリコンバレー・バンクは大丈夫。
SIVB株に関するジム・クレイマーの発言:「この株はまだ安い…. 投資家がこの株に投資するのは怖いと思っていることは正当化できないと思う。だから今、それ(この株を買うのは)非常に説得力のある状況だと思う」 – 2023年2月8日