欧州で銀行間融資が停止か?FRBの対外レポが過去最高の600億ドルに【追加情報あり】——「S&P500指数は50%の急落に備えよ」=投資家グランサム氏
米国時間の3月23日(木曜)午後4時30分ちょうどに、待望のFRB週間バランスシート最新版が発表された。
予想通り、この1週間、シリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャー・バンクの救済が継続されたことが示されたものの、救済額の増加ペースはそれほどでもなかった――SVBとシグネチャー・バンクを解決するために連邦預金保険公社(FDIC)が設立したブリッジバンクへのFRB融資から成るその他の信用供与は、前週の1428億ドルから1798億ドルに増加した。
しかし、FRBの新しいFIMAレポ制度に基づく対外オフィシャル・レポが、過去最高の600億ドル(カウンターパーティーの限度額でもある)に達していたことが明らかとなった。つまり、オフショアにおける切迫したドル需要はいまだ健在で、「誰か」が米ドルを深刻に必要としていたことを意味する。その「誰か」とは、救済されたばかりのクレディ・スイスか、そこを救済したUBSか、あるいはスイス国立銀行のSPV(特別目的媒体)のいずれかだろうと推察される。 FRBはカウンターパーティーの名前を「機密」とし公表していない。
パンデミック直前に、米国のレポ取引市場で短期資金が枯渇し、金融システムが崩壊しかかるという事件が起きたことを本サイトでは連続して詳しく紹介した。
そして今週、FRBがレポ取引のオペレーションを再開したことは、銀行間融資が停止したことを意味する。3月17日の段階で、すでにカウンターパーティー・リスクが懸念されていたため、ソシエテ・ジェネラルSAやドイツ銀行を含む少なくとも4つの大手銀行が、クレディ・スイス・グループAGまたはその証券に関わる新規取引を制限していると、ロイターが独占報道していた。
今週、FRBの対外オフィシャル・レポが、その限度額の600億ドルにまで達したことの意味を解説するツイート:
【訳】🚨🚨今週からFRBはレポ運用を開始した🚨🚨
これは崩壊前の最終警告であり、もはや「予言の自己成就」的な予言だ。これは銀行間融資が停止したことを裏付けるもので、私たちは崩壊の危機に瀕している。
FRBは知っている、銀行も知っている、そして今、あなたたちも知っている。
パウエルが2020年1月にジェフ・ベゾスの豪華な1%パーティーに出席したときに自由市場経済は死んだ。
これは、レポ運用が撤回される直前、緊急レポ運用がピークの時だった。そしてこれは暴落につながった。彼らは皆、6ヶ月前から何が起こるかを知っていた。
緊急レポ運用は、銀行同士の融資が停止し、FRBが介入してオーバーナイトの流動性ニーズを満たす必要が生じた場合にのみ現れる。
大手銀行は、どの金融機関が債務超過に陥っているか、どの資産が有毒(不良)であるかを把握していない。量的緩和(QE)が再開されるまで、(金融)システムはシャットダウンする。
この1週間で倒産件数が急増しており、不良債権が1週間で29%、660億ドルも急増したことがブルームバーグのデータから明らかとなっている。ブルームバーグが集計したデータによると、今年3月20日までに提出された大型倒産(少なくとも5000万ドルの負債に関連するもの)は合計48件であり、これは、3月20日までに88件の大型案件があった2009年以降で最も高い数字となっている。
【追加情報ー3月25日】FRBから「誰が」600億ドルの融資を受けたかについて、投資家やアナリストの間でも意見が分かれている。ヘッジファンドHayman Capital ManagementのCIOであるカイル・バス氏は「ドイツ/ドイツ銀行」と推測する一方、マクロ投資アナリストのアンドレアス・ステノ・ラーセン氏は「米ドル・スワップ協定に加わっていない西側以外の中央銀行」の可能性が高いと推測している。
【訳】アンドレアス・ステノ・ラーセン:ドイツには米ドルのスワップラインがあるのに、なぜFIMAを使わなければならないのか?意味がわからない
FIMAは、スワップラインを持たない中央銀行に利用されるもの
カイル・バス:欧州の「ミルトン・フリードマンの瞬間」が今、訪れている。ドイツ銀行のデフォルトに対する保険料(CDS)が今日、急騰している。ドイツ銀行は、世界で最もシステム的に重要な銀行30行(G-SIFIs)の一つである。
ここでユーロ自体の問題が生じる: ドイツの3大銀行は、銀行資産の97%を保有している(米国では35%)。
もしあなたが米国の議員であるならば、ここに注目してください。FRBは法定限度額(600億ドル)を「報告されていない外国主権」に(レポを通して)貸しつけたばかりです(ドイツを考えてみてください🇩🇪)。
預金は完全に集中していることを考えると、その預金はより安全な外国の法的管轄区域に流れる可能性が高い。
ドイツ銀行は破綻するには大きすぎるし、尚且つ救うには大きすぎる可能性がある。
欧州中央銀行(ECB)には何ができるのか?ECBはFRBが持つようなリソースと権力があるか?彼らはそれらを持ってはいない。
(2007年~2009年の)世界金融危機の後、欧州の銀行の大半は資本増強を行わなかった。その理由は、欧州には今日でも国家のアイデンティティーが存在するからだ。中央集権的な権力、中央集権的な税務当局がないため、故に「本当の」連合ではない。私たちは欧州経済通貨統合(EMU)の終わりの始まりに立ち会っているのかもしれない。
【訳】アンドレアス・ステノ・ラーセン:私見ながら、今日、皆を恐れさせたのはこのことだ。(FXスワップ枠でカバーされていない)外国の中央銀行が、FIMAレポを限度額までMAXに借り入れた。
良くない兆候
【訳】アンドレアス・ステノ・ラーセン:つまり、世界のどこかの銀行システムが米ドルを必要としているということだ。どの法的管轄区域かはわからないが、西側諸国ではない可能性が高い。
■ S&P500指数が50%急落するリスクに備えよ
有名投資家のジェレミー・グランサム氏は、S&P500指数が50%急落し、痛ましい不況に陥ることを覚悟せよと今週警告している。
ジェレミー・グランサム氏は、「エブリシング・バブル(あらゆる投資先がバブル状態)」の崩壊により、S&P500指数が最大50%下落し、米国経済が痛みを伴う不況に陥る可能性があると警告した。
グランサム氏は、株式、債券、不動産、美術品、その他の投資先の価格は、パンデミックの間に持続不可能な高値まで膨れ上がったと述べている。金融市場の歴史家でGMOの共同設立者であるグランサム氏は、最近配信されたローゼンバーグ・リサーチのウェブキャストで、経済学者のデビッド・ローゼンバーグと自らの理論を共有した。
現在のバブルは、過去のバブルと比較して「かなり大きなもの」であり、その規模はドットコム・ブームを凌駕していると、グランサム氏は言う。
「2000年の株式市場(の暴落)だけでも十分悪かったのに、今回、私たちはあの時の株式市場とそっくりなものを作り出してしまった。それに加えて、今回は株式市場だけでなく、住宅市場や債券市場でもそれをやってしまった」と彼は言う。
「2000年のような生やさしい後退ではないことをご承知おきください」と、グランサム氏は続ける。そして、弱気相場は来年の終わりまで続く可能性があると予測している。グランサム氏は、ドットコム・バブルの崩壊は軽い不況にとどまったが、それでもその間にナスダック指数は82%の急落、そしてS&P500指数は半分の価値になったことを指摘した。
金融危機が再燃する中、今週ジョー・バイデンは気候変動への取り組みを自慢するツイートを投稿した。それに、イーロン・マスクが返信している:
BonaFidrをフォロー【訳】ジョー・バイデン:私の就任1年目には、ジョン・F・ケネディ以来、どの大統領よりも多くの土地と水域を保護しました。
また、気候変動と闘うために、これまでで最大規模の投資を行いました。
今日、私たちはさらに自然の素晴らしさを保護することで、この勢いを足掛かりにさらに拡大しています。
イーロン・マスク:うーん…銀行が溶けてなくなっていってるんですけど。