米製薬大手P社のCEO、開発中の新型コロナワクチンが有効という中間成果を発表した当日に持ち株の62%を売却
11月9日(月曜)、米製薬大手ファイザーは、実験中の新型コロナ・ワクチンが、予備段階の結果で90%の効果があったと発表した。このニュースを受けて、同社の株価は15%急騰した。その翌日となる火曜、米証券取引委員会(SEC)に提出された文書から、ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)が持ち株の62%を前日の月曜に売却していたことが明らかとなった。
提出されたSECフォーム4には、ブーラ氏が13万2508株を売却し、その1株当たりの平均売却価格は41.94ドルであったと記されている。これを計算すると、株の売却金額は560万ドル(約5億9000万円)となる。
これは一見インサイダー取引のように見えるが、ブーラ氏の株式売却は証券取引委員会(SEC)が定めた規則 10b5-1に則って実施されている。この規則は、企業のインサイダーが、事前に決められた株式数を事前に決められたタイミングで売却することを許可している。ファイザーの広報担当者は、Axiosに対して、同社CEOによる株取引はすでに8月に決定されていたと語った。
SECの規則 10b5-1に基づいて完全に合法的に株の売却は行われたが、当然、ブーラ氏に対する厳しい批判の目が向けられている。同社の株価は、この開発中のワクチンのニュースを受けて、過去52週間で最高値圏をつけていた。
ブーラ氏を擁護するとすれば、8月の時点で数ヶ月後のワクチン開発の途中成果について予測することはできなかったと主張することはできるだろう。しかしそれでも、以前から株の売却が決まっていた日に合わせて、このプレスリリースを発表したというのは明らかに意図的だ。
また、アメリカ大統領選挙のわずか数日後に、ワクチン開発で有効な途中成果を得ることができたと発表したことについて、そのタイミングにも疑問の声が上がっている。
ドイツ銀行の主幹クレジット・ストラテジストであるジム・リード氏は、11月10日、次のように記している:
ファイザーによる(月曜)朝のワクチンに関するニュースが並外れて良かったことを考えると、このニュースが当初予想されていたよりも1週間かそれ以上早く発表されていれば、選挙結果に大きな違いをもたらしていただろうか?
モデルナ社のような他の製薬会社も新型コロナ・ワクチンを開発しているが、今回のファイザーと同じように、ワクチン開発の途中成果を発表する当日にインサイダーが数千万ドルにものぼる持ち株の大量売却を行っている。
ファイザーやモデルナなど一部の製薬会社では、インサイダーがプレスリリースを発表することによって容易に株価を吊り上げ、そのタイミングを見計って持ち株を売り抜けるということが行われている。しかしこうした行為は、米証券取引委員会(SEC)の規則 10b5-1によって合法とされている。
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