米ターム・レポ取引市場で3回連続の借り入れ申し込み超過が発生:流動性の枯渇問題は解消されていないことが判明
昨年秋にアメリカのレポ取引市場で起きた流動性の枯渇危機は、ニューヨーク連銀が大量の資金(流動性)を市場に投入した昨年9月に解消されたはずだった。その後、昨年年末にニューヨーク連銀がさらなる大量の資金投入を行なったことで、この問題は確実に解消されたはずだった。
しかし年が明け2月も中旬に差し掛かろうとする今週火曜、ニューヨーク連銀は市場介入を実施したと発表したが、フタを開けてみると短期資金の借り入れ申し込み量が供給量を超過していることが判明した。これは需要が供給を上回ったターム・レポ・オペレーションとして連続3度目となる。これにより、アメリカ国内の銀行(ディーラー)の間で流動性の枯渇問題がいまだに存在していることが明らかとなった。
(ニューヨーク連銀の発表内容。Screenshot via NY-Fed)
短期資金(キャッシュ)を必要としている銀行は、404億ドル分の米国債(金利は1.58%でストップアウト)と132.5億ドル分の不動産担保証券(MBS)(金利は1.6%でストップアウト)を担保に提出した。この合計536.5億ドル分の短期資金の借り入れ申し込みに対して、ニューヨーク連銀は300億ドル分を受け付けた。
この数字が意味するのは、昨年秋にレポ取引市場の混乱が始まって以来、供給資金量の上限に対する実際の借り入れ申し込み金額の超過率が、過去最高(つまり最悪)という事態に陥っているということだ。
2月にニューヨーク連銀が実施するターム・レポ取引市場への資金供給量は、これまでの350億ドルから50億ドル減額され、1回の上限が300億ドルに設定されている。しかし、この短期資金の供給量に対して、大幅な需要の超過が継続していることは、アメリカの短期金融市場における流動性の枯渇危機は、水面下に存在し続けていることを意味する。さらに、このアメリカの金融システムにおける深刻な「目詰まり」問題は、改善するどころかますます深刻化していることを表している。
今週火曜、短期資金の借り入れ申し込みが供給量を大幅に上回ったことは、アメリカの金融機関のなかの1社、もしくは数社が、深刻な準備金不足(つまりキャッシュ不足)に陥っていることを示している。
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