武漢ウイルスは回復した感染者に<慢性的な多臓器疾患>を引き起こす可能性があると医師たちが懸念:LAタイムズが報道
武漢ウイルスの感染者を治療している医師たちは、このウイルスが回復した人たちに対しても複数の臓器に対して慢性疾患を引き起こす可能性があることを懸念しているとロサンゼルス・タイムズ紙が報じた。
最も重症化する患者たちにとって、新型コロナウイルスに感染するということは全身への肉体的攻撃となることが判明しており、肺だけにとどまらない損傷を引き起こしている。重症化した患者たちは、たとえ回復し体内からウイルスが消えても、この感染症が引き起こす後遺症の証拠があることを医師たちは観察するようになっている。
今週投稿された研究の中で、チャイナの科学者たちは、34人のCOVID-19患者に対して入院期間中に行われた血液検査の結果を精査した。この研究者たちは、症状が軽かった感染者も重症化した感染者も関係なく、回復した人たちの多くの生物学的尺度が「平常に戻っていない」ことを発見している。–Los Angeles Times
一つの懸念すべき観察内容は、回復した患者が引き続き肝機能に障害が残っていることを検査結果が示していることだ。
また心臓専門医が懸念しているのは、COVID-19が心臓に直接与える影響についてであり、ダメージがどれほど持続するかについて疑問を提起している。LAタイムズ紙によると、「チャイナにおけるCOVID-19感染者に対して行われた初期の研究では、回復した患者の12%近くに心不全がみられた。こうした感染者の中にはまったく呼吸困難の症状が現れない人たちもいた」という。
この研究報告書によると、肺が十分な酸素を体に送ることができない場合、心臓障害は容易に起きうるが、しかし、呼吸困難の症状が現れていないのにこれが起きる場合、「医師たちはCOVID-19が長期的な大きなダメージを(心臓に)起こしうるということについて彼らが甘く見ていたかもしれないと考えなければいけない」と記している。
イェール大学の心臓専門医であるハーラン・クルムホルツ医師は次のように語っている:
COVID-19は単なる呼吸器疾患ではない。それは心臓、肝臓、腎臓、脳、内分泌系、そして血液系を病気に冒すことがある。
現時点ではこの病気から回復して長期間生存している人は存在しない。チャイナで最初に感染が確認された患者たちは、この感染症から回復してからまだ3ヶ月程度しかたっていない。また、この感染症を治療している医師たちも、いまだ重症化する患者たちの数が多いため、世界で37万人いるとされる「回復した」人たちを詳しく追跡調査できていない。
それでもなお、医師たちは、感染から回復した後になっても機能が狂ってしまったいくつかの臓器は早急に回復しないか、もしくは完全に回復することはないだろうと懸念している。このことは、患者たちを今後数ヶ月もしくは数年にわたって脆弱な状態にさらすことになる。
イェール大学の心臓専門医、ジョセフ・ブレナン医師は、「長期的な後遺症が起きるだろうと私は考えている。それが実際に起きるかはわからない。しかしこの病気はあまりに(臓器を)打ちのめす征服的なものである」ため、回復した患者の中には慢性的な健康問題に直面する可能性が高い人たちがいると語っている。–Los Angeles Times
その一方で、COVID-19は本当に体内から排出されるのだろうかという疑問が沸き起こっている。つまり、体内で何年にもわたって潜伏し、形を変えて再出現することはあり得るだろうかという疑問である。
水疱瘡のようないくつかのウイルスには、このような性質があることがわかっている。(水疱瘡は、帯状疱疹として後になって症状が現れることがある。)また、B型肝炎は、初期の感染が治っても、何年も後になって肝臓がんを引き起こすことがある。また別の例として、エボラは感染者の眼球の中の硝子体液に潜み、感染から回復した患者の40%に対して失明もしくは視力障害を引き起こす。
武漢ウイルスは、第一に肺を攻撃する傾向にあることが知られている。武漢ウイルスと近い関係にあるコロナウイルスSARSは、回復から3年たった患者の約3分の1に肺機能障害を残している。ただし、こうした患者の大部分は15年以内にその肺機能障害を消散している。また、MERSから回復した患者の3分の1には、線維症として知られる肺組織の永久的な瘢痕化が起きている。
香港の病院から退院した12人のCOVID-19患者を追跡調査した研究結果が3月半ばに公表されたが、この研究報告書には、このうち2、3名にかつて問題なく行えていた作業を行うことが困難になったと記されている。
香港のプリンセスマーガレット病院の感染症課ディレクター、オーウェン・ツァン・イン医師は、何人かの患者は回復後、「肺機能が20〜30%低下している可能性がある」とレポーターたちに語った。
UCLAの放射線科医師であるメリナ・ホッセイニ医師が主任を務めるチームは、SARSおよびMERS患者に長期間の肺障害の後遺症歴があることを引用しつつ、COVID-19から回復した患者たちは、「線維症を含む、長期的もしくは永続的な肺障害を調べるために」肺スキャンを行い経過観察することを勧めている。
医師たちがCOVID-19から回復した患者たちの臓器損傷を調べようとする中、事態を複雑化させる要因がある。それは心臓、肝臓、血液、および肺に影響する疾患を持っている患者たちは、そもそもCOVID-19に感染すると非常に重症化しやすいというリスクに直面しているということである。このことは、COVID-19が引き起こす後遺症と、そもそもそうした患者たちを重症化させた問題とを区別することを困難にしている。感染が広がり始めてまだ初期段階では特に。–Los Angeles Times
医師や科学者たちがCOVID-19の秘密を解明しようとする中、すでに判明しているのは、いったん感染者にその症状が現れ始めると複数の臓器系が病気に冒されるということ、そして一つの臓器が不全に陥ると、他の臓器もそれと連動してすぐさま不全に陥るということである。これはすべて炎症反応にまとめられる。この炎症反応は、「血管壁からプラークおよび血栓を引き離すことがあり、それが脳卒中、心臓発作、そして静脈塞栓症を引き起こす」とLAタイムズは報じている。
先ほど紹介した心臓専門医のクルムホルツ医師は、COVID-19に感染することで、心臓およびそれを包む心嚢にダメージを与えることがあり、それがある患者に対しては急性期に心不全および不整脈を引き起こすと語っている。これが意味することは、COVID-19から回復した元患者であっても、彼らが最初の症状から回復した後も生涯にわたって心臓病患者になる可能性があるということである。
さらに、血栓をより引き起こしやすくなる血液の異常も持続する可能性がある。
今週、(医学情報誌)ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに掲載された事例報告の中で、チャイナの複数の医師たちは重症化した一人のCOVID-19感染者と抗リン脂質抗体と呼ばれる免疫タンパク質について説明している。この男性患者の体の数カ所には血栓の証拠があった。
抗リン脂質症候群と呼ばれる自己免疫疾患の特徴は、これら抗体がときに感染に対して一時的な反応しか示さないことである。しかしまたあるときにはこれら抗体がいつまでも残り、そのことで脚、腎臓、肺、そして脳に危険な血栓を引き起こす。妊娠中の女性に対しては、抗リン脂質症候群は流産や死産を引き起こすこともある。–Los Angeles Times
イェール大学のブレナン医師は、現時点ではコロナウイルス患者に対して長期的な予後診断を行うための十分なデータが揃っていないと語っている。
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