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米中戦争は貿易戦争から資本戦争へエスカレート|「我々はすべての関係を断つことができる」とトランプ大統領

米中戦争は貿易戦争から資本戦争へエスカレート|「我々はすべての関係を断つことができる」とトランプ大統領

FOXのインタビューを受けるトランプ大統領(Screenshot via FOX)

トランプ大統領は、彼のお気に入りの1人と言われるFOX Businessのマリア・バルティモロ司会者と、1対1の着席形式のインタビューに応じた。このインタビューは、5月14日(木曜)に放送された

【そのインタビュー動画】

その中で、米中二国間の関係について質問されると、トランプ大統領は「我々はすべての関係を断つことができる・・・(米国はそうすることで)5000億ドルを節約することができる」と語った。トランプ大統領はなにをもって5000億ドルを節約することができると語ったのか。これはチャイナが保有している巨額の米国債のいくらかを無効にするということを指している。

トランプ大統領は次のように語った:

我々にできることはたくさんある。我々はすべての関係を断つことができる。もしすべての関係を断つと、(米国は)5000億ドルを節約できることになる。私はこれについて何年も言い続けてきた・・・他の国々についても私はそれを言っていた。NATOについて、私は彼らに追加で何千億ドルを支払わせることができる(とも語っていた)。世界の中で私の最大のファンは誰だか知っているか?(NATO事務総長の)ストルテンベルグだ。

次にバルティモロ司会者は、トランプ大統領が習近平主席に対して、彼が抱えている不満を告げたのかと質問した。今年に入ってから、トランプ大統領は少なくとも一回、習近平と電話会談をしたと報じられている。

この質問に対して、トランプ大統領は、習近平とは最近は会話をしていないと語り、またそうする予定もないと示唆した。しかし、チャイナは、昨日と今日、貿易協定について「電話をかけてきた」と語った。米中間では、先週、バーチャル会議が開かれたと報じられている。しかし残念ながら、チャイナとは「公平な取引はできない」とトランプ大統領は語っており、「第1弾」の貿易合意は反故になったことを匂わせている

このインタビューが放送されると、チャイナ国営メディアであり、プロパガンダ機関でもある環球時報の英語版Global Timesは、早速、次のように反応している。

チャイナが米国からCOVID-19のワクチン情報を盗んでいると非難しているように、米国による最近の加熱した挑発行為をみるにつけ、チャイナは、米国に対してより厳しい対策を取る必要がある。専門家たちやチャイナのネット市民らはそのように語っている。

環球時報の英語版Global Timesの編集長で、北京政府の代弁者として、英語で過激な発言をツイッターに投稿することで有名なフー・シジン氏は、次のようにツイートしている:

【訳】私は最近この質問を多く受けている:米中間で戦争は勃発するだろうか?私の答えはこうだ:この二国は、ますます互いを嫌悪し、様々な衝突が発生しているため、軍事衝突のリスクが高まっている。しかしその一方で、両国とも戦争は望んでいない。そうですよね?

しかし、フー・シジン氏は、中共に対して損害賠償請求を要求する米連邦議員やミズーリ州政府、そして個人・組織に対して、北京政府が罰則対策をすでに準備しているとツイートしている:

【訳】COVID-19に関して行われているアンチ・チャイナ訴訟の乱用に対抗するために、北京政府はすでに米国連邦議会の議員たち、ミズーリ州政府、そして関係ある個人・組織に対して、必要な罰則対策をすでに準備していると、情報源の人物らはGlobal Timesに語った。

* * *

トランプ大統領へのインタビューが放送されると、アルファベット(グーグルの親会社)の元会長であるエリック・シュミット氏は、金融系ケーブルテレビCNBCに出演し、トランプ大統領の発言に反論している。アメリカの政界では反中の機運が高まっているにもかかわらず、シリコンバレーのIT企業は、依然としてチャイナとのビジネス関係を有益であると考えているというシグナルを政界に送ろうとしているのは明らかである。

シュミット氏は、チャイナからの「デカップリング」を進めようとするタカ派の政治家たちに対して次のように反論している:

(一度デカップリングをすると)彼ら(チャイナ)は戻ってこない。そしてそれは我々に損害をもたらすことになる。我々は互いにコミュニケーションを取る際に、共通の情報プラットフォームがあれば、我々はグローバルにより強力になれる・・・我々は二度と親友にはなれなくなる。しかし我々は共通の問題について協力することができる。

ビジネス界では、互いに信用していない企業同士が協力関係にある事例が多くある・・・我々は、なぜチャイナとそういう関係になれないのだろうか?我々は競争に勝ちたいと思う・・・私は、アメリカの技術は他のあらゆる競合相手に打ち勝つことができると強く信じている。

我々は、チャイナにこうしたプラットフォームを使ってもらうという基盤に立つ必要がある。その逆ではない。

シュミット氏は、依然としてアルファベット社と非常に近い関係を保っているだけでなく、現在は、国防総省の国防イノベーション諮問委員会(Defense Innovation Advisory Board)の議長を務めている。シュミット氏のこうした発言は、シリコンバレーがいまだにチャイナを「金がなる木」であり、広大な市場であるという幻想を抱いていることを示している。

* * *

トランプ大統領は、このインタビューの中で、米国の会計制度に従わない、ニューヨーク証券取引所とナズダックに上場されているチャイナ企業を精査しているとも語っている。「われわれはこれについて非常に強力に調べている」とトランプ大統領は語っている。しかし、実際、アメリカ政府がアクションを取れば、それがアメリカの株式市場や経済にとって裏目に出る可能性があるとも語った。

トランプ大統領がFOXのバルティモロ司会者に、「グローバリゼーションの時代は終わりだ」と取れる発言を行ったのを見て、シュミット氏はおそらく大きく顔を歪めたに違いない。

しかしシュミット氏の論理には明らかな誤りがいくつかある。まず、中共は、アメリカの多国籍企業に対してチャイナ国内で支配的な地位を築くことを許可しようとは全く思っていない。さらに、中共は、チャイナで国の後ろ盾がある国内企業には助成金を与える一方、外資系企業には不利となる政策を導入している。習近平体制では、これまでにいくつかの「自由化」に向けた仕草を見せてきたが、トランプ大統領との貿易戦争を経て、北京政府は1970年代以来、米国をますます敵視し態度を硬直化させているのは明らかである。

* * *

そして米中戦争は、『貿易戦争』から『資本戦争』へと進んでいる。今週、トランプ大統領は、政府の年金ファンドをチャイナ株に投資することを禁止する大統領令に署名した

さらにこれとは別に、アメリカのNPO組織である『National Legal and Policy Center (NLPC=全米法律政策センター)』は、世界最大の資産運用会社であるブラックロック社に対して、米国の株式市場に上場されているチャイナの137社から、顧客の投資資金を引き上げるよう要請する書簡を5月13日付けで送付している。チャイナが人権侵害を行っていること、そして新型コロナウイルスの責任があることをその理由として挙げている。『全米法律政策センター (NLPC)』は、比較的右寄りのNPO組織であることが知られており、公職にある人物たちが倫理的な行動を行っているかを監視し報告するだけでなく、リベラルな問題や全米の労働組合を支援している。

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