グーグルは邪悪な存在となってしまった|保守派のニュース・サイトの収益化を無効にした事件はグーグルの身勝手なダブルスタンダードとワシントンDCで暗躍するロビイストの存在に改めて焦点を当てる
(この記事は、『NBCニュースの記者がグーグルに働きかけ保守系ニュースサイトの収益化を停止させる|米共和党上院議員らは政治的発言を検閲する大手IT企業を提訴できる権利をユーザに与える法案を提出』の続報です。)
NBCニュースの記者が海外の極左活動グループと協力して、グーグルに保守寄りのニュースサイトの収益化を停止させたことが全米で議論を巻き起こしている。これらニュースサイトの収益化を無効にする判断基準として、グーグルの公式ツイッターは以下の投稿を行なっている:
Our policies do not allow ads to run against dangerous or derogatory content, which includes comments on sites, and we offer guidance and best practices to publishers on how to comply. https://t.co/zPO669Yd0p
— Google Communications (@Google_Comms) June 16, 2020
【訳】当社のポリシーは、危険もしくは名誉を傷つけるコンテンツに対して広告を掲載することを許可していない。そのコンテンツには、サイト上におけるコメントも含まれている。(グーグルのポリシーに)いかに準拠するかについて、当社は発行人らに対してガイダンスとベストプラクティスを提供している。
(太字強調は訳者。)
この投稿に対して、上院のジョッシュ・ホーリー議員は次のツイートを投稿している:
Wait, wait – you want to treat the @FDRLST comment section, which they don’t curate, as THEIR speech but simultaneously say the content you directly host and modify IS NOT your speech under Section 230? Wow, this is getting really interesting https://t.co/QEtpCtssco
— Josh Hawley (@HawleyMO) June 16, 2020
【訳】待ってくれ。あなた方(グーグル)は『ザ・フェデラリスト』のコメント欄を彼ら(ニュースサイトである『ザ・フェデラリスト』)の言論として扱いたいと希望しながら、あなた方(グーグル)がホスティングし修正を行なっているコンテンツについては、セクション230(起訴免除特権)の下、あなた方自身の言論ではないと言っている?ワオ、これはかなり興味深いことになってきた。
つまり、グーグルは保守寄りのニュースサイトの収益を無効化する根拠として、そのサイトのコメント欄にユーザが投稿する内容はそのサイト運営者に責任があると主張している。しかし、グーグルはユーチューブやその他自社サイトに掲載される誹謗中傷コメントに対して、グーグル自身は責任がなく訴訟対象から免除されるべきとして法令のセクション230により訴追免除の優遇措置を受けている。これは完全なダブルスタンダードである。
このグーグルによる完全なダブルスタンダードを問いただすために、テッド・クルーズ上院議員は6月17日(水曜)付けでグーグルのピチャイCEOに質問状を送付している:
7日以内(6月24日まで)に、グーグルは小委員会に以下を回答するよう要請する:
1.過去1年間で、グーグルとNBCニュース検証部門とが『ザ・フェデラリスト』に関してやりとりした全ての連絡内容。
2.過去1年間で、グーグルと『デジタル・ヘイトに対抗するためのセンター』とが『ザ・フェデラリスト』に関してやりとりした全ての連絡内容。
3.グーグルもしくはユーチューブの社内で、『ザ・フェデラリスト』に関してやりとりした全ての社内連絡内容もしくは討議内容。
また、グーグルは以下の質問についても2020年6月24日までに書面で回答するよう要請する:
1.この書簡にリスト化された「急進的な」組織のいずれかに対して、グーグルはそのコメント欄を調べたことはあるか?そしてグーグルは、それらコメントと、収益無効化の根拠となったと主張されている『ザ・フェデラリスト』のサイトに投稿されたコメントとを比較し評価したことはあるか?
2.グーグルは、同一の基準を全てのメディア組織に適応しているのか、それとも自社とは政治的意見が一致しないメディア組織に対してのみ適用しているのか?
3.グーグルは、セクション230(訴追免除資格)が『ザ・フェデラリスト』にも適用されると考えているか?そう考えている場合その理由は?もしくはそう考えていない場合その理由は?
4.もし侮辱的コメントがユーチューブに投稿された場合、グーグルは子会社であるユーチューブをすぐさま収益無効化するつもりか?『ザ・フェデラリスト』に与えられた3日以内という期限内に、(ユーチューブに対しても)それを行うつもりか?
5.グーグルが、『ザ・フェデラリスト』に適用された条件よりも何倍も好条件でユーチューブを優先的に扱っていることは、シャーマン反トラスト法と矛盾していないか?そうである場合の理由は?そうでない場合の理由は?
グーグルによる明明白白なダブルスタンダードを認めさせようとするこれら質問に対して、グーグルのピチャイCEOがどのように回答(言い訳)をするのか全米が見守っている。
* * *
一方、グーグルは、ロビイストを使って保守の言論人やシンクタンクにグーグルを擁護する発言をさせ、傷ついた企業イメージを回復させようとしていることが明らかとなっている。
2017年にグーグルに採用されたロビイストであるマックス・パパス氏は、今週火曜夜、ワシントンDCで政治的影響力を持つ100人近い人物らに以下のメール(以下の画像)を送信しているとThe National Pulseが報じている。
グーグルのロビイストであるマックス・パパス氏が約100人の言論人に送信したメールの画像
【訳】
件名:ザ・フェデラリスト
メッセージ:NBCは当初、グーグルが『ザ・フェデラリスト』に対してコンテンツの収益化のために広告配信を停止したと誤って報じたが、NBCがそれを訂正したのをあなた方も既に目にしているかもしれない。
それは正しくない。グーグルによる以下のパブリック・ツイートを参照。
あなた方は誰でも、『ザ・フェデラリスト』、もしくは自分が興味あるどのサイトを訪問し、バナー広告の角にある小さな三角をクリックすれば、どの企業がその広告を配信しているか確認することができる。もしそれがグーグル広告(アドセンスはグーグルの商品)であれば、それは我々(グーグル)がそのサイトのために広告(枠)の購入者を見つけ出し、広告収入の小切手を(そのサイトに)送っていることを意味している。これが広告ビジネスの仕組みであり、広告収益によって成り立っているサイトが売り上げを生む仕組みである。
(グーグルによる公式ツイッター)
【訳】当社のポリシーは、危険もしくは名誉を傷つけるコンテンツに対して広告を掲載することを許可していない。そのコンテンツには、サイト上におけるコメントも含まれている。(グーグルのポリシーに)いかに準拠するかについて、当社は発行人らに対してガイダンスとベストプラクティスを提供している。
このメールの送信先は、主要な保守系シンクタンクや出版社に所属する重鎮とされる言論人(インフルエンサー)となっている。こうしたシンクタンクや出版社の中には、グーグルから寄付金を受け取っているところもある。
早速、このメールを受け取った保守派の言論人たちの中に、ソーシャルメディア上でグーグルを擁護する投稿を行なっている人たちがいる。
保守系シンクタンクであるアメリカン エンタープライズ公共政策研究所(The American Enterprise Institute:AEI)の客員研究員であるマーク・ジェイミソン氏は、以下のツイートを投稿している:
Big Tech bias is a good thing, but some of the techniques need work. #bigtech #antitrust #regulation https://t.co/3mFRRXBCeg
— Mark Jamison (@drj_policy) June 16, 2020
【訳】大手IT企業がバイアスを持っているというのは良いことだ。しかしその手段(バイアスの行使の仕方)の中には改善を必要とするものもある。
同じ研究所でジェイミソン氏の同僚であるジェームス・ペトクキス氏もまた、グーグルのロビイストであるパパス氏から送られてきたメールの指令に従い、グーグルの行動を擁護する記事を同研究所の公式サイトに掲載している。
ケイトー研究所や雑誌『Reason』の寄稿者であるフリアン・サンチェス氏は、次のツイートを投稿している:
Basically all the supposed evidence for political bias on platforms turns out to be political asymmetry of whining once you scratch the surface even slightly.
— Julian Sanchez (@normative) June 16, 2020
【訳】保守派サイトだけがそれ(IT企業によるバン)について不満を言う。なぜなら、他のサイトは、被害妄想や、より大きな声で哀れを装って不満を言えば訪問者数や人々の注意を集めることができるという考えを育てていないからだ。
基本的に、いったん(問題の)表面を少しでも引っ掻き中身を暴露すれば、(IT企業の)プラットフォーム上にあるとされる政治バイアスの証拠は全て、不満を言う声という政治的非対称性を示しているにすぎない。
ケイトー研究所のマシュー・フィーニー氏(同研究所の新興テクノロジー・プロジェクトのディレクター)は、これを機にFox Newsのタッカー・カールソン氏やトム・コットン上院議員(共和党)を攻撃しつつ、グーグルを擁護している:
This clip (which I found on Google-owned YouTube) shows that Carlson is confused about what he calls "free speech."
— Matthew Feeney (@M_feeney) June 17, 2020
Sen. Lee seems to understand the Constitution doesn't allow Congress to bully companies at the behest of whining pundits. #Section230 https://t.co/k3Esi8fj3p
【訳】この動画(グーグル傘下のユーチューブ上で私は発見した)は、カールソンが「言論の自由」と呼ぶことについて彼自身が混乱していることを示している。
不平不満を言う評論家たちの強い要請を受けて、連邦議会が企業をいじめることを憲法は許していない。そのことをリー上院議員は理解しているようだ。
競争的企業研究所(Competitive Enterprise Institute: CEI)のパトリック・ヘッジャー氏(反トランプのブログ・サイトThe Bulwarkでライターも務めている)もまた、同研究所のサイト上に複数の大手IT企業を擁護する記事を投稿している。
ヘッジャー氏はツイッターにもグーグルを擁護する意見を投稿している:
https://twitter.com/PatHedger18/status/1273022533927931904
https://twitter.com/PatHedger18/status/1273015424234512385
この他にも、保守派の論客たちがこぞってグーグル擁護の意見を表明している。しかし元を辿れば、グーグルのロビイストによる指令メールが彼らに送信されていることを忘れてはいけない。
ヘリテージ財団のロブ・ブルーイ氏は、The National Pulseの取材に声明を送信しており、その中でヘリテージ財団がグーグルから寄付金を受け取っていることを認めている。ただし、「ヘリテージ財団は誰からも命令を受けない」と記されているが、企業がシンクタンクに寄付金をするのは、当然、その見返りを求めてのことであるのは誰の目にも明らかだ。
以下はグーグルのロビイスト、マックス・パパス氏が「指令メール」を送信した受取人リスト:
氏名 |
雇用主・所属先 |
Jennifer Huddleston |
American Action Forum |
Douglas Holtz-Eakin |
American Action Forum |
Sarah Hale |
American Action Forum |
Scott Fyall |
American Enterprise Institute |
Windle Jarvis |
American Enterprise Institute |
Matt Au |
American Enterprise Institute |
Michael Strain |
American Enterprise Institute |
Claude Barfield |
American Enterprise Institute |
Roslyn Layton |
American Enterprise Institute |
Jason Bertsch |
American Enterprise Institute |
Gus Hurwitz |
American Enterprise Institute |
Mark Jamison |
American Enterprise Institute |
Daniel Lyons |
American Enterprise Institute |
Bret Swanson |
American Enterprise Institute |
Shane Tews |
American Enterprise Institute |
James Pethokoukis |
American Enterprise Institute |
Bartlett Cleland |
Innovation Economy Alliance |
Brent Gardner |
Americans for Prosperity |
Billy Easley |
Americans for Prosperity |
Grover Norquist |
Americans for Tax Reform |
Katie McAuliffe |
Americans for Tax Reform |
Christopher Butler |
Americans for Tax Reform |
Lorenzo Montanari |
Americans for Tax Reform |
Alexander Hendrie |
Americans for Tax Reform |
Jeff Roe |
Axiom Strategies |
Norm Singleton |
Campaign for Liberty |
Julian Sanchez |
CATO Institute |
David Boaz |
CATO Institute |
Matthew Feeney |
CATO Institute |
Peter Van Doren |
CATO Institute |
Ike Brannon |
CATO Institute |
Walter Olson |
CATO Institute |
John Samples |
CATO Institute |
Alan Reynolds |
CATO Institute |
Tom Firey |
CATO Institute |
Harrison Moar |
CATO Institute |
Jesse Blumenthal |
Charles Koch Institute |
Neil Chilson |
Charles Koch Institute |
Taylor Barkley |
Charles Koch Institute |
Curt Levey |
Committee for Justice |
Ashley Baker |
Committee for Justice |
Steve Moore |
Heritage |
Phil Kerpen |
American Commitment |
Kent Lassman |
Competitive Enterprise Institute |
Wayne Crews |
Competitive Enterprise Institute |
Jessica Melugin |
Competitive Enterprise Institute |
Iain Murray |
Competitive Enterprise Institute |
Patrick Hedger |
Competitive Enterprise Institute |
Christopher Koopman |
Growth Opportunity |
Will Rinehart |
Growth Opportunity |
Dean Reuter |
Federalist Society |
Jon Staab |
Federalist Society |
Devon Westhill |
Federalist Society |
Alexander Biermann |
Federalist Society |
Jason Pye |
Freedomworks |
David Barnes |
Americans for Prosperity |
Tim Chapman |
Heritage Action |
Josh Arnold |
Heritage Action |
Robert Bluey |
Heritage |
Diane Katz |
Heritage |
Bridgett Wagner |
Heritage |
Martin Gillespie |
Heritage |
Paul Larkin |
Heritage |
Klon Kitchen |
Heritage |
Thomas Binion |
Heritage |
Paul Winfree |
Heritage |
Jack Spencer |
Heritage |
Amber Schwartz |
Independent Women’s Forum |
Carrie Lukas |
Independent Women’s Forum |
Patrice Onwuka |
Independent Women’s Forum |
Nicole Neily |
Speech First |
Tom Giovanetti |
Institute for Policy Innovation |
Wayne Brough |
Innovation Defense |
Aaron Ginn |
Lincoln Network |
Garrett Johnson |
Lincoln Network |
Zach Graves |
R Street |
Ryan Radia |
Competitive Enterprise Institute |
William Upton |
Lincoln Network |
Charles Sauer |
Market Institute |
Adam Thierer |
Mercatus Institute |
Brent Skorup |
Mercatus Center |
Anne Hobson |
Mercatus Institute |
Andrea Castillo |
Mercatus Institute |
Matthew Mitchell |
Mercatus Institute |
Andrew Moylan |
National Taxpayers Union |
Brandon Arnold |
National Taxpayers Union |
Pete Sepp |
National Taxpayers Union |
Genevieve McCarthy |
National Taxpayers Union |
Steve DelBianco |
Netchoice |
Carl Szabo |
Netchoice |
Robert Winterton |
Netchoice |
Chris Marchese |
Netchoice |
Lauren Hyland |
Netchoice |
Joe Coon |
Niskanen Center |
Jerry Taylor |
Niskanen Center |
Will Wilkinson |
Niskanen Center |
Brink Lindsey |
Niskanen Center |
Mike Godwin |
R Street |
Eli Lehrer |
R Street |
Thomas Struble |
R Street |
Arthur Rizer |
R Street |
Caleb Watney |
R Street |
Shoshana Weissmann |
R Street |
Charles Duan |
R Street |
Kevin Kosar |
R Street |
Peter Suderman |
Reason Foundation |
Berin Szoka |
Tech Freedom |
Dan Benavente |
Tech Freedom |
Ian Adams |
Internation Center for Law & Economics |
Ashkhen Kazaryan |
Tech Freedom |
Jim Dunstan |
Tech Freedom |
Scott Wallsten |
Tech Policy Institute |
Tom Lenard |
Tech Policy Institute |
Glenn Lammi |
Washington Legal Foundation |
Cory Andrews |
Washington Legal Foundation |
Casey Given |
Young Voices |
John O McGinnis |
Federalist Society |
William Shughart |
The Independent Institute |
Lindsay Craig |
National Review Institute |
Andrea O’Sullivan |
James Madison Institute |
Sal Nuzzo |
James Madison Institute |
Rea Henderman |
Buckeye Institute |
Robert Alt |
Buckeye Institute |
Asheesh Agarwal |
Tech Freedom |
(Source: The National Pulse)
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