サブプライム住宅ローン危機2.0?——ブラックストーンが不動産ローン担保証券でデフォルト//クレディ・スイスの大株主は全保有株を売却//スイス中銀は過去最大の損失を計上
長年クレディ・スイスの大株主だった米運用会社ハリス・アソシエイツが、保有株を全て売却した。ロイター通信が3月5日に報じた。
ロイターは次のように伝えている:
スイスの金融大手クレディ・スイスの長年の大株主だった米運用会社ハリス・アソシエイツは、過去数カ月で保有株を売却した。ハリスのデビッド・ヘロー副会長兼最高投資責任者(CIO)が5日、明らかにした。
ヘロー氏は売却の理由を明かさなかったが、先に英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に、持続的な損失や顧客流出を食い止めるための同行の戦略に対する忍耐を失ったと話していた。
ハリスは昨年8月にクレディ・スイス株を約10%保有していることを明らかにしたが、保有比率は今年1月には5%に低下した。
ヘロー副会長がFTに語ったところによると、ハリスはクレディ・スイスが40億スイスフラン(42億7000万ドル)の増資を実施した昨年10月に株式保有を縮小し始めた。
欧州の銀行の間には多くの問題が噂されている。クレディ・スイスとドイツ銀行のどちらかが倒れれば、金融システム全体が崩壊する可能性があると言う金融関係者がいるくらいだ。
アナリストで金融ライターのジョン・ルビノ氏は、先月、次のように警告している:
1兆ドル規模の複合デリバティブが吹き飛ぶという問題の予兆を示す警告サインとして、ヨーロッパの大手銀行が破産することに気をつけろ。
さらに先週、ブラックストーンが北欧の不動産ローン担保証券でデフォルトを起こしたことが報じられている。ロイター通信は3月2日、次のように伝えている:
米資産運用大手ブラックストーンは、フィンランド企業スポンダが保有するオフィス・店舗ポートフォリオを裏付けとする5億3100万ユーロ(5億6250万ドル)の商業用不動産担保証券(CMBS)をデフォルト(債務不履行)にした。
政治コメンテーターでライターのローレンス・パーソン氏は、ブラックストーンがデフォルトしたニュースについて次のようにコメントしている(太字強調はBonaFidr):
フィンランドの話だが、この話は「不動産ローン担保」という切り口から、もっと注目されてもいいのではないだろうか。
2008年に起きたサブプライム住宅ローンのメルトダウンを覚えているだろうか。これは、納税者が支援するファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の低利資金とサブプライム住宅ローン証券によって引き起こされた。そして、あらゆる銀行の大物は救済され、彼らはその悪事の代償を払わずに済んだことを覚えているだろうか?
しかし、住宅ローン担保資産(証券)は決して消滅したわけではなく、商業用不動産に移行しただけなのだ。商業用不動産担保証券(CMBS)は世界中に数兆ドル規模で存在するが、その実態を把握している人はほとんどいない。平均的な個人投資家は、おそらく2008年のサブプライムローンについて知るよりも、今のCMBSについて知っていることのほうが少ないだろう。
そして、「フルー・マンチュー*」によるロックダウン後、最も大きな打撃を受けたセクターのひとつをご存知だろう。商業用不動産だ。
(*武漢風邪のことを「フルー・マンチュー(Flu Manchu=満洲風邪)」と呼んでいる。これは「フー・マンチュー(Fu Manchu)」という1913年の小説“The Insidious Fu Manchu”に登場する犯罪の天才キャラクターに掛けている。)
さらに今週、スイス国立銀行(中央銀行)が、2022年に過去最大となる1325億スイスフラン(1415億4000万ドル)の損失を計上したと発表したことが報じられている:
【訳】スイス国立銀行が年間損失額1415億4000万ドルを報告!
– 同中央銀行の115年の歴史で最大規模
– 債券+株式市場の下落によるスイス中銀の投資価値の急落が原因
一方、大西洋をはさんだ反対側でも警告のシグナルが鳴り響いている。
BonaFidrをフォロー【訳】米国債のデフォルトに対する保険(CDS)の価格は、2013年の前回の債務上限危機以来、最高値(前回の危機から債務が88%増加、米国の一時借入負債は182兆ドル)